第3話 お母さん……。

 家に帰ってから俺は自分の部屋でBL小説をパソコンで書いている。


 全く、ひやひやするぜ。


 なんで俺の周りには草田なでしこのファンが多いんだ?


 コンコン。


「はーい?」


 ドアのノックが聞こえてお母さんが入って来た。


「ねぇねぇ? 何をしていたの?」


「小説を書いていたけど?」


「あ! 小説で思い出したけど、草田なでしこっていう小説家さん、知っているかな?」


 お母さんの口から出た言葉に俺は耳を疑う。


 お母さん……。


 お母さんは腐女子だったのか……。


「知らないけど?」


 俺は落ち着いて言った。


「そうなの? 面白いよ? 調べてみたら?」


 おい、お母さん?


 なんで息子の俺にそんなことを言うのだ。


「やめとくよ」


「あら、残念ね? 草田なでしこの限定サインはあげないからねw」


 お前かよ。


 俺の限定サインをもらった内の一人って、お母さん、お前かよ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る