第48話大体使い方が分からないから廃棄なんて馬鹿がやることなんですよ、馬鹿が。

「複数のダンジョンや遺跡を回りましたが、一つ分かったことがあります。この国の文化っていうのは古代魔導文明をおいそれと他国に渡さないぞっていう文化だと思いいます」


「それってつまり?」


「遺跡のものは俺のもの、ダンジョンのものは俺のもの、お前の領地も俺のもの!使い方わかんねーものは解析せず破棄でいいや!」


「ただの変形ジャイアニズムじゃんさー!?」


 まあでも一理あります。この国は古代遺産のものや魔法の品が産出されますが、それを輸出するのはあんまり積極的ではありません。

 つまりですね、お金があるブキョーに輸出して、魔道具研究が盛んなサガットに物渡さないんですよ。国家戦略ですから何も申し上げませんが……ちなみにサガットとは険悪な関係。


「大体使い方が分からないから廃棄なんて馬鹿がやることなんですよ、馬鹿が。研究者呼び寄せて研究させればいいのに」


「そーだねー」


「あ、あんまり聞く気ないですねレイ様。私寂しいのでブラッシングが本日はできませぬ」


「きくきくきく、きくからブラッシングはやってー!」


 最近アメジットは従士というか友達の感覚で接してきてくれるようになりました。死線をくぐるとそういう仲になるもんなんですかね。



 ブラッシングきもちよいんじゃー(溶けてる)


「それでメインのお話はなんだっけアメジット」


「ええ、ですから戦争になる前に一度サガットにお戻りになられるほうが。祠で無属性魔法の再強化を行うおつもりでしょう?」


「え、戦争するの?」


「領土問題でもうそろそろ危ないとコンシェルジュのケンさんが申してましたよ。この都市も冒険者が減ってきてます」


「どこの領土でもめてるのよさ」


「サカキ国の帰属問題ですね。」






 サカキだと。





「そ、そ、そ、それで詳細は」


「はい、数年前にサンクチュバリヌスに併合されたサカキ国ですが、今再独立しようという動きが盛んでして」


「併合されたんだ」


「はい。併合前に仲の良かったサガット国を頼りにそろそろ本当に独立しようという動きらしくて、独立すれば戦争かなと」


「……確かサンクチュバリヌスとサガットとの交易ルート上にあったよねサカキ、早いところ通過して戦争回避しようか。」


「ええ、そうですね。危ないですがサカキ通過してサガットに入るほうがブキョー経由より半年は早くサガットに入れます。サカキも遺跡が多いので、近い将来調査できると嬉しいのですが」


「……アメジットは学者向きだね!」



 サカキ王国。


 元だけど、私が王女だった国。




 いまはどうでもいいな。狐だし。狐は楽天家である。


「そんなわけだからここは私の国だったところだから。エヘン」


「お家騒動に巻き込まれて……というかそれクーデターですよ。しかも逃げる途中に背中から刺されて体内焼かれるって。よく死にませんでしたね」


「一応死んだらしい。即座にエリクシールのんだから復活しました(どやー)」


「なるほど……それで、なんとか護衛が暗殺者をひきつけている間に1人だけ逃げおおせて、なんとかかんとかサガットの村にたどり着いたんですね。冒険者カードの名前はどうやって偽装を?」


「偽装呪文かけていたんだけど死んだからその名前に本名が変わった。以上。レイは零って表記も出来るんだよ。零から始まるいせk「すとーっぷ。」」


「しかし16ちょうどでそんな事件に遭うなんて……おいたわしやレイ様、レイ様は私が一生お守りいたします!!」


「16で王位継承できたからね。私は女王になる可能性が高かった。16ちょうどで冒険者カード取っておいてよかったよ。16で取るっていう、そういう儀式なんだけどさ。」


「守るって言ったのにそこはスルーですかー酷いー」


「ギフテッドは自立なさい。私とギフテッドが一緒にいるってなったらお国再興派が動いてきちゃうよ。」



 さて、逃げるなら早いほうが良いということで次の日にはダンジョン都市を脱出。筋肉エルフをもっと弄り倒したかったな。


「サンクチュバリヌス国の北側から移動開始して、南に抜けるのでちょっと遠いですが、10日もあれば抜けられるんじゃないでしょうか」


「そっかー、じゃあ私はその間ゴロゴロしてるよ、ごろーん。」


 御者をアメジットに任せて私はごろーんごろーん。

 ガタゴト揺れるっちゃ揺れるけどなんたってブキョー金貨1000枚の魔導馬車、ごろ寝する程度には快適さを提供してくれます。

 2頭引き幌馬車なんで日差しもシャットアウト。積荷も食料と水しかないんでそれなりの広さ。ごーろごーろ。

 こりゃーごろ寝してるだけでサガットにつくな。



 着きませんでした☆


 基本的に貴族の領土を抜けることになるので、一々お役人に賄賂やら無償依頼やら渡したり受けないと抜けられないんです。面倒な国だな。

 Lv20の壁を超えている、Lvが高いペアなんで貴族と直接面会したりもして、夕食を一緒にしたりもしましたよ。

 マキシワンピ持っていてよかったよかった。度肝抜いてやったハッハッハ。


 まあでも歩んでいけば進むわけで、えっちらおっちら進んでサカキにまでは着きました。

 サカキはサガットとサンクチュバリヌスの間に挟まれている小さな国、でしたね。

 遺跡観光と遺跡で復活する魔法の品で食べていた国でした。遺跡に頼っていたんだね。


 今はそういうのはいいのでとにかくサガットに抜けましょう。




 あっらー既にサガット国-サカキ国間の国境が封鎖されてました。遅かったか。


 なので国境からちょっと離れた街バルーアに一度滞在。

 戦争直前ということで国境の街には軍隊が駐留し傭兵や冒険者がいっぱいいるみたい。そんな街にいたら巻き込まれてしまうわ。


 サカキもバルーアも4年ぶりくらいかなあ。16歳で出て今20だし。


「バルーアにも遺跡あったと思うし、ちょっと行ってみるかー」


「のんきですねえ……」


「私はココア王女じゃなくてレイちゃんだもーん。」

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