まじょになるための、試験

 女の人について、店のおくに入ってみると。


 そこには、たくさんの瓶が並べられた戸棚がいーっぱい。


 瓶には、青、赤、黄、紫。色んな色が入ってる。


 とーってもきれい。


 部屋の中心には、まさに占い師の部屋って感じの水晶玉がある。


 その水晶玉を、女の人は見つめて、次にあたしを見て言った。


「この水晶玉に手をつっこんで、杖を手に入れるんだよ」


「杖?」


「そうさ、まじょには、杖が必要不可欠だからね。さっさと手を入れな」


「え? 手をつっこむ?」


「アンタにまじょになる資格があるのなら、杖の方からアンタの手によって来る」


 杖が、寄ってこなかったら。女の人は続ける。


「杖が手に入らなかったらアンタは、まじょになる資格がない。簡単だろう」


 うん、わかりやすい。とーってもわかりやすい試験だけど。


 おそるおそる、あたしは水晶玉に手を近づける。うう、なんだかこわい。


 ホラー映画みたいに、とつぜん、にゅって手が出てきて。


 それで水晶玉に閉じこめられたらどうしよう。


 実はこの女の人は、とーっても悪い人で。


 子どもを水晶玉に閉じこめては、食べてしまう人だったら、どうしよう。


 それでも、あたしは水晶玉へ手をのばしてしまう。


 まるで、見えない力に引っ張られているように。

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