まじょ小学生に、なりたい。

星座ランキングは、たぶん十二位

 始まりは、小学校の帰りに、お店を見つけたことだった。


 そのお店は、とーってもかわっていて、とーってもふしぎな感じがした。


 どこがって? うーんと、説明は、とても難しいんだけどね?


 最初から説明すると。


 その時、あたしは学校から家へ帰る道を、とぼとぼ歩いていたの。


 どうして、とぼとぼ歩いていたのかって?


 学校の宿題が、とーってもたくさん出たから。

 

 算数のプリントに、ドリル。国語の音読。


 それに、漢字の練習。


 他にもあった気がするけど。とにかく、たーくさん。


 だからあたし、とーっても気持ちが落ちこんでいたの。


 落ちこんでいる理由は、もう一つあった。


 いつも学校から一緒に帰る友達の、石口絵海いしぐちえみ ちゃん。


 その絵美ちゃんが放課後、あたしの席にきて言ったの。


立夏りつか ちゃん。今日は先に帰ってて。図書室によりたくて……」


 ごめんね、と悲しそうな顔で、あたしを見つめる絵海ちゃん。


 仕方がないからあたしは、横に大きな文字で


鳴川立夏なるかわりつか


 と書いてあるランドセルを持って、とぼとぼ一人で帰ることになっちゃった。


 絵海ちゃんは、とーっても本が大すきなんだ。


 だけどあたしは、あんまり本がすきじゃない。


 一緒に図書室について行っても、何にも面白いことがない。


 絵海ちゃんは、それを知ってるから、先に帰っててと言ったんだ。


 絵海ちゃんと一緒に帰ることはできないし、宿題もいっぱいだし。


 今日はいいことなしだよ。きっと、星座ランキングは十二位だ。


 そう思って、あたしはついつい周りに人がいることも忘れて。


 つい、大声で言ってしまったんだ。


「あーあ、まほうが使えたらいいのに!」


 そうしたら、学校からお家までひとっとび。


 宿題だって、やらなくてすんじゃうかもしれないのに!





 


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