26日目

「こんばんは」


「今日は私から話すね」


「・・・うん」


「長居くんも勇気を出して話してくれたから、私もちゃんと話したいんだ。30秒だと話せないから、少し長くなるけどいいかな」


「うん」


「あの日、放課後に長居くんに呼び出されて、告白してもらって、とっても嬉しかったんだ」


「え、そうだったの?」


「うん。そうだよね、あんなこと言われたら不安に思うよね。ごめん」


「いや、いいんだ。俺が何か悪かったのかなって、思ってたんだけど、そうじゃないならよかった」


「長居くんは何も悪くないよ!あの時私が“直接会わないでまずは電話だけのお付き合いにしたい”って言ったのは、私の問題なの」


「相田さんの問題?」


「うん。私、人と目を合わせるのが苦手なの。特に男の人とは。だからふたりで会ってもきっと私が避けてるみたいになっちゃって、長居くんに嫌われちゃうと思ったの」


「そんなことで嫌わないよ」


「うん。でもその時はそう思った。あと、みんなに付き合ってるって知られるのも恥ずかしかったから、しばらくは隠しておきたかったって気持ちもあるかもしれない」


「そっかあ、俺はどっちでもいいけどね」


「そんな理由で、直接会わないなんて言っちゃったの。ごめんね」


「いや、謝らないで。話してくれてありがとう」


「うん。それに、まさか電話は30秒だけって言われるとは思わなかったから。でもそのおかげで長居くんと仲良くなれた気がする」


「そうだね」


「今日は話を聞いてくれてありがとう。おやすみなさい」


「おやすみ」


 直接会って話をするのが苦手な彼女と、電話が苦手な俺。相性が最悪なようだけど、きっと最高なんだと思う。

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