21日目

 夜9時。いつもなら時間ぴったりにかかってくる電話が今日はかかってこない。


 毎日30秒の電話なんて妙なことになってしまったと思ったけど、慣れてくると大切な繋がりに感じる。いつもは聞こえる声が聞こえないこの時間で、相田さんは間違いなく自分の恋人で、愛しているのだと再確認する。


 でも、ずっとこの関係というわけにもいかない。これからも恋人として関係を続けたいのであれば、前に進まなければならないはずだ。電話の時間を60秒やいっそ5分まで伸ばしてみようか。いや、それは根本的な解決にはなっていない。


 俺は相田さんとどうなりたいのか。少なくとも彼女と会話をして笑い合う時には、その笑顔が見たい。そのためにはこの関係になった原因を解決しなくてはいけない。それはとてもささいなことかもしれないが、本人にとってはきっと重要でどうにもならないことなのかもしれない。


 相田さんはなぜ、二人の関係を電話だけにしようと言ったのだろう。


 相田さんに俺が告白をしたあの日。

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