第26話 事業拡大

ちなみに真実まみは保育園には行かないことにした。

田舎なので別に待機児童がいるわけではないが、行く必要もないので構わないだろう。

庭ももうキレイに整備し終わったので、ヨチヨチ歩きの練習もここでできる。まだ、ハイハイもできていないけど。


身体の成長は大分遅れているが、頭の冴えは素晴らしく、冬の間に伐採した木を使い新ブランド『新月』を立ち上げた。

これは大人向けの家具ブランドらしいので、普通に昔から山中さんが作っていたものと相違ないものだ。


違いはトレーサビリティだという。

いつ伐採された木から作られた家具なのかが明確にわかる仕組みが作られているのだという。


なぜそんな仕組みが必要なのか?

実は新月伐採の木には虫がつきにくく、腐りにくいなど優れた効果があるそうなのだ。

ただ見た目では分からないし、公的な規格もないので、消費者からすると二の足を踏んでしまうものなのだという。


そこでこのトレーサビリティだ。

伐採した際につけたマーキングを手始めに、その丸太が運び込まれた工場から先、全ての場所にカメラが設置されている。

木を木材へと加工する様子を記録しているのだ。


そして、最終的な製品にはQRコードを貼り付けるのだが、顧客はこのQRコードをスキャンするだけで、丸太の段階を含め全ての記録が見れるようになっているという。


どうやら人間の顔認識プログラムや指紋認証プログラムの木目バージョンといったプログラムを使い管理しているようだ。

そんなプログラムよく見つけたな、と感心すると『私が書いたの』と返信があった。


もはやこの程度では驚くに値しないので、まあ、そういうこともできるのだと理解しておく。

かなり手間を掛けているが、儲けがあるのか心配になる。



ちなみに、スケールの小さな話になるが、私の方は畑に挑戦し始めた。無農薬野菜作りを目指している。

私より断然経験豊かな従業員達がいろいろアドバイスと手助けをしてくれるので、なんとか形になりそうだ。






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