うちの子天才症候群

k3nn76

プロローグ

「ど、ど、どういうこと、家買ったって!?」


我が家は父子家庭で控えめに言っても裕福ではない。

むしろかつかつの家計だといったほうがいい。


それにも関わらず千平米もの敷地を持つ物件の詳細PDFが『I bought a house for us.』というメッセージと共に良夫よしおへと送られてきたのだ。


読み間違えてないよな?

そう考え何度も読み返す。


勘違いでないことを確認するとそれ以外の疑問が次々と湧いてくる。


金もないのにどうやって買ったのだ?

誰が...いや誰がやったのかはわかっている。娘の真実まみだ。

いたずらではないことは分かっている。そんな子じゃない。

だが、どうやって?いつ?


...そういえばいろいろと兆しはあった。


私はフリーランスの翻訳で生計を立てているが、最近下請けの仕事がだんだん減ってきたのだ。

そうなると生活も厳しくなるし、家賃や生活費の安い田舎へ引っ越したほうがいいかも知れないと考えいろいろと調べていた。


真実まみもそれを手伝ってくれて、数週間前にはいくつかの物件の資料を見せられどれがいいと訊かれたので、そう言えば適当にそのうちのひとつを選んだ。


だが、数千万円もする物件をネットショッピングをするかのごとく簡単に購入するとは夢にも思っていなかったのだ。


特にまだにもなっていない娘が、 自腹を切って家を買ってくれるなど誰が想像するだろうか。


しかし、考えてみるといくつか前兆はあったように思う。









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