貧しい食卓

西居ちき

果物

バナナ

 バナナは安い。果物の中でも特に安い部類だ。

 スーパーマーケットの特売なら百円で小ぶりなものが五本買える。時には大ぶりなものが三本買えたりもする。


 そんなバナナも、昔は高級品だったらしい。

 その殆どを南国から運んでくるのだ。輸送や冷蔵の技術が今ほど発展していなかった頃はさぞや大変だっただろう。


 そしてバナナはクイックリーだ。

 ものの数秒で剥ける皮の剥きやすさは比類無いほどにクイックリー。

 ものの数秒で一本食べ終えられる食べやすさもクイックリー。

 ついでに腹持ちもクイックリー。

 残念なことである。


 何でああも腹持ちが悪いんでしょうね。いや、まったく。


 食パンとの相性は抜群だ。

 バナナをおかずに食パンを囓るなんてのは、忙しい朝には最適ではないだろうか。

 きっと、バターを塗ったパンに生クリームと一緒に挟むだけで、美味しいサンドイッチになる筈だ。


 しかし、意外にもバナナサンドはコンビニなどでは見掛けない。

 きっと切り口が直ぐに黒ずんで見た目が悪くなるのが原因なのだろう。


 見た目が悪いと言えば、切らずとも容易に黒くなっていくのはどう見たものか。

 人は「その熟してる所が美味いんだ」と言うかも知れない。


 しかし、熟しているのか傷んでいるのか、どうやって見極めれば良いものか。


 それはさておき、バナナには永遠の謎が一つ有る。


「先生! バナナはおやつに入りますか?」

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