012: 商人――戦争で儲けるために

「越後屋!」

「これは、上杉さま」


「頼んで置いた鉄砲は揃ったか?」

「確かに一千丁を揃えております」


「越後屋!」

「あ、これは武田さま」


「頼んで置いた鉄砲は揃ったか?」

「間違いなく一千丁を準備しております」


「越後屋、我が仇敵の武田に武器を卸すとは!」

「越後屋、不倶戴天の上杉と取引するのか?」


「いえいえ、ご両家からご注文がありましたので、取り揃えただけでございます」

「そのような不義理をするとは情けない」

「裏切る気か!」

「いえ、商人は注文されたものをご用意するだけでございます」


「ならば、我が上杉は二千丁だ」

「我が武田は三千丁を」

「ならば三千五百丁を」

「こちらは四千丁を」


「目論み通り、商売繁盛」

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