011: 眠れぬ夜――羊が一匹、羊が二匹

「羊が一匹、羊が二匹……」

 眠れぬ夜は羊を数える。


「羊が三匹、羊が四匹……」

 段々眼が冴えて来る。


「羊が……」

 おい、群で横一列になるなよ。


「羊がぴょん!」

 兎が混じってなかったか?


「羊がほぃ!」

 いま、赤の水玉柄が通らなかったか?


「羊がくるくる!」

 いま、宙返りしなかったか?


「睡眠には全く役にたたん!」


「ところで、羊ってどんな動物なんですか?」


「我が長距離遠征艦隊に羊はいないからなぁ、想像もできん」


「資料にはこうあるな」

 螺旋形になった角を持つ。

 瞳が横になっている。

 四つ脚で二つに割れた蹄を持つ。

 大鎌をかざして人を襲う。

 メェと鳴く。


「悪魔の様相ですね」

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