喫茶 石動庵
石動 守
001: 生物心理学――真実の追求は難しい。
「やっほ~、やっと着いたわ」
「現地では、地球と呼ばれているようですね」
「そう、私の卒業研究テーマは、”ある星の歴史的偉人に対する一考察”」
「現地調査は必須といって良いでしょうね」
「さーて、時間もないから急ぐよ!」
「嘘だ! 我らが聖人がこのような破廉恥なことをするはずがない」
「それは実写の記録なんですが?」
「捏造に違いない。これ以上、根も葉もない虚偽をバラ撒くなら、そちたちを収監することになる」
「我が開祖は、純真無垢、無誤謬じゃ」
「それは本人の書いたそのもののコピーなんですけど」
「そのような嘘偽りを信者の前で発言するとは、我々を陥れようとする企みに違いない。即刻出て行ってくれ!」
「私たちの聖女は、そのような淫らなことするはずがございません」
「これは、その場でとった画像なんですけど」
「あぁ悪魔が誘惑に参りました。みなさん聖女に祈りましょう」
「おっかしいなぁ、全部リアルタイムでの実録なんだけどなぁ。過去を覗き見ることの出来るタイムスコープでも確認したんだけど」
「これは、自分の信じたくないことは虚偽にする傾向があるという地球人観察レポートとも一致しますね」
「これじゃあ、現地調査をしても意味ないね」
「むしろ心理学の対象かと」
「生物心理学専攻のフレに連絡するね」
「それがよろしいかと」
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