夜の口笛
伍一 降人
序
「夜に口笛を吹いたらいけません。」
小さい頃には、母親にそう言われたものです。
そんなことを言われてたことも忘れた中学生のころの話。
「おい、先に公園行っといて。トイレ行ってから行くわ。」
もう、中学3年生の夏、部活も引退して高校受験を考えなきゃいけない時期。
周りのみんなも学校が終わった後に、受験のために塾に行ってるわけで、同じクラスで仲良くなったのが今話しかけた木下。
最近は、塾に行った後に、近くの公園で木下と雑談するのが楽しみの一つになっている。
「おう、待った?」
先に公園のベンチで座ってた木下に話しかけた。
「いいや、そんなに」
「ところで、最近の授業意味わかる?」
「英語の現在完了ってやつ?過去形となにが違うかいまいち分かんないんだよなあ」
こんな、感じの勉強の話から最近のジャンプの話、新作のゲームの話、アニメの話といろいろ話すのが楽しみになっている。
木下は、だいたい頭の良さも同じくらいで、趣味も似ててあっている。
「そういや最近、あのCMの曲が耳に残ってるんだよなあ、なんか音ゲーの音楽っぽいやつ。あのジュースのCMだよ」
「どんな音楽やったっけ?」
「こんなやつだよ。」
ひゅー、ひゅひゅー、ひゅひゅひゅーひゅひゅー。
「おい、もう20時過ぎてるんだぜ。口笛は吹いちゃだめだろ」
「うるせーな、うちの親みたいなこというなよ、木下」
そういえば、口笛は吹いちゃダメか、そんなこと忘れてたなあ。
「そういや、ジュースのCM思い出したら、喉かわいてきたわ。そろそろ帰るか」
「また、明日な」
木下と別れて家に帰ることにした。家までは、徒歩で10分くらいだ。
おや、野良猫かな。公園の奥の木の近くでなにかが、動いたような気がした。
夜の公園、街灯も多くないので奥の方は暗くて見にくい。
最初は見間違いかと思ったが、よく見てみると、やっぱり何かが動いてる。何かが、ざわざわ、ゆっくり動いているようだ。影が動いてくるように、地面を黒いなにかが這ってきている。
近づいてくると、街灯の灯りで少しわかるようになった。大量のミミズか芋虫のようなものがこちらへ這ってきているようだ。
キモいもん見てしまったなあ、早く帰るしかないな。
走って、家に向かって帰っていった。
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