第二十六話・6

 私の部屋。ベッドの上。

 私は楓の体の上に騎乗位の体勢で乗り、スキンシップを迫っていた。


「どう? 弟くん。私のベッドの上なら文句はないでしょ?」

「いや……。それ以前のことのような気が……」


 お互いに裸なら、楓だって文句は言わないはずだ。

 楓の下半身にあるソレは立派に勃っており、私の最も敏感な箇所のところに入る寸前だった。

 ちなみに下着などは穿いてないから、挿入しようとすればすんなり入るだろうな。

 でも何の断りもなしにそうするのは、楓にだって悪いからやめておいてあげている。

 楓本人もそうするつもりはないだろうし、このくらいまでなら大丈夫かと思う。

 シャワーから上がった後、私はまっすぐに楓を私の部屋まで連れて行ったのだが…やっぱりまずかったかな。

 楓の部屋よりはマシだとは思うのだが……。


「今は、どんな気分?」

「えっと……。気分的には普通かな。これ以上は、何もないよね?」

「わからないよ。これからするかもしれないし」

「これから…か。なんか怖いな……」


 楓は、そう言いながらも下半身のソレは興味津々みたいだった。

 私の中に挿入したくて、今にも入りそうな勢いだ。

 それでも入れないのは、楓なりに遠慮しているんだろう。

 無理をしなくてもいいのに……。

 私の裸を見て何の反応もないのは、『男』としてどうだろうって話だし。楓がどんなに我慢をしても、楓のソレが一番素直だし、当然の反応だろうと思う。

 そもそもの話。

 私がちょっとずらしたら、中に入っちゃうんだけどなぁ。


「もうしちゃってる仲だっていうのに怖いの?」

「香奈姉ちゃんは怖くないの? 一歩間違えたら、とんでもないことになっちゃうんだよ」


 その辺りは楓は現実的なんだろう。

 何回目かのセックスで妊娠したなんていう事案は聞いたことがあるから。

 でも大人になったら、よけいにセックスに対して消極的になっちゃうのも事実だ。

 きっと発情期が過ぎてしまうからなんだろうな。

 先のこともあるからだろうし。だけど──


「うん。そうだね。万が一にもそんなことになったら、とんでもないことになっちゃうね。だけど私の気持ちは変わらないかな。こうしたいっていう気持ちにウソはないから──」

「香奈姉ちゃん」


 なんだか諭すようなことを言っちゃったけど、問題はないはず。

 楓のソレに着けるゴムが必要なら、私がしてあげればいいことだ。

 しかし、そうなると──

 当然のことながら、楓のすっかり勃ってしまっている立派なソレに手を触れないといけないわけで。

 男のソレって、できるなら触りたくないんだよなぁ。


「でも、できるならゴムは自分で着けてほしいかなって」

「そうだよね。だけど、今の体勢だと……。ちょっと無理っぽいかも……」

「そっか。それなら、そのまましちゃった方がいいかな?」

「それこそダメだよ。僕のあそこは結構敏感なんだ。香奈姉ちゃんの中に挿入しちゃったら絶対に反応しちゃう。ただでさえ、香奈姉ちゃんのは結構締まるから──」


 楓は、焦った様子でそう言っていた。

 要するにお風呂場で出しちゃったアレを、私の中で出しちゃうってことか。

 それは確実にまずいかも。

 私って、生理の方は少しだけ重い方だから、そんなものが入ったらしばらくは動けなくなってしまうだろうし。

 ただでさえ、今の体勢でも私のあそこは結構敏感になっているから。


「私って、そこまでひどいの?」

「香奈姉ちゃんは自覚がないのかもしれないけど、前のセックスの時、香奈姉ちゃんのあそこ、結構敏感になってたよ。もしかして──」

「言わないで! 私も結構気にしてることだから」


 私は、急に恥ずかしくなり楓の顔から視線を逸らす。

 楓の勃っているソレが急に私の中に入ってきたような気がしたが、気のせいだろう。

 しかし、それは気のせいではなかった。

 途端、私の体が敏感に反応してしまう。


「んっ。ちょっと弟くん。そんな急に──」


 これ以上は言えなかった。

 なぜなら楓の勃っているソレは、そのまま一気に私の中に挿入してきたからだ。

 それも当然だろう。お互いに裸でいたのだから。

 裸だから、そのくらいの間違いは簡単に起こる。


「ごめん、香奈姉ちゃん。香奈姉ちゃんの裸を見ていたら、我慢ができなくなってしまって──」

「そっか」


 私は、楓の顔から目を離すことができなくなってしまった。

 私の中に挿入しているソレのことも気になるんだけど、それ以上に楓のことが愛おしくなってしまったのだ。

 なにより、楓にとっては私の体がよほど魅力的だと言いたいんだろう。

 だけどこのセックスは、ちょっと期待できそうにはない。

 それでも楓の気持ちは十分に伝わってきている。

 私は、楓を失望させたくなくて無理に笑みを浮かべて言う。


「無理はしなくていいからね。嫌だったらすぐに言ってね」

「うん」


 楓は、責任をとるつもりなのか私の体を抱きしめていた。

 楓からやってきたことだから、最後まで責任を持ってやってもらおう。

 私は、楓の体の上に身を乗せて次の行動に期待する。

 ここまでやってしまってるんだから、何もしないっていうことはないと思う。

 激しくされるとわからないけど……。


「そんなに激しくしないでね。私にも我慢できることとできないことがあるから──」

「さすがにセックス中に気を遣うのは…無理かも……」


 そこは否定しちゃうんだ。

 それに呼応するかのように楓のソレは、私の中を抉るように挿入してくる。


「あんっ」


 これにはさすがに我慢ができず、私は喘ぎ声を漏らしてしまう。

 それに反応したのか、楓の手は私の腰の辺りに触れてくる。

 やっぱりそれって、入れるのと抜くのを繰り返す流れなのかな。

 ただでさえ楓のソレには、私の中を激しく刺激するくらいの威力があるのに……。

 そんなことなどお構いなしに、楓のソレは私の中を何度も抜いては挿入を繰り返してきた。


「あっ」


 逆らうことなどできるはずもなく、私はすっかり楓の言いなりになってしまう。

 こんなことされるのなら、もっとはやくしてほしかったよ。

 私の純潔は、楓のソレによって散らされてしまっているから、他の男の人を好きになるっていうことはない。

 むしろ楓じゃないと、私のあそこが満足できないだろうし。

 ゴムをしてないのは楓本人もわかっているから、加減はするだろうけど……。大丈夫なんだろうか。

 楓のソレから出るものが私の中に入ってきてる感じはしないから、今のところは大丈夫だとは思う。


「弟くん。もっと優しくしてっ。これ以上は──」


 これ以上激しくされたら、私の精神が保たない。

 激しすぎてすぐに波がきてしまう。

 たぶん今の私は、発情してしまっていて顔が真っ赤になっていると思う。

 楓には、どう映っているのかな?


「うん。なるべく優しくするよ。でも──」


 楓は、なぜか私の中に入っているソレを抜いて、起き上がろうとする。

 私は、疑問に思いふと訊いてみた。


「どうしたの?」

「やっぱり香奈姉ちゃんのあそこは…僕にとってはダメかも──」


 我慢ができなくなったのか、楓はベッドからむくりと起き上がると避難するかのように私の部屋を出て行った。


「ちょっと……。弟くん?」


 私は追いかけることを忘れてしまい、その場で呆然となってしまう。

 まだやり足りないのに……。どうしてしまったんだろうか。

 しかし、すぐに楓は部屋に戻ってくる。


「ふう……。危なかった……」


 そう言って一息吐く楓からはなぜか安心感のようなものがあった。

 そんな顔を見せられると、何があったのかよけいに気になるんだけど。


「何があったの?」

「何もないよ。ちょっとね……」


 楓は誤魔化すような笑みを浮かべ、下半身のソレを隠すような仕草で体をもじもじとさせている。

 もしかして──そういうことなのかな。


「そっか。そういうことか」


 私は、そんな楓を見て納得してそう言っていた。

 たしかに、私の中でしちゃったら色々と大変だからね。


「うん。たぶん香奈姉ちゃんが思っていることだと思う」

「そうだね。これ以上は、ちょっとね。色々と大変だからね」

「今日は、ここまで…かな」

「うん。今日は、ね」


 名残惜しい気もしたが無理は禁物だ。

 下手をしたら、私の身にとんでもないことが起きそうだったし。

 幸いなことにまだ花音が帰ってきていないことが良かった。

 楓の全裸なんて、花音にはまだはやいと思うから。


「また今度もやってくれるんだよね?」

「えっ」


 楓は、なぜか驚いた様子で私のことを見ていた。

 私、なにか変なことを言ったかな?

 たぶん私のあられもない姿を見せるなんてことはしないと思うんだけど。

 頼むからそんな顔をしないでほしいな。

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