第209話 偶人

屋敷 地下ホール



純やが山口達の元へ近づき、バットを拾い上げた。



青木「おまえ…」



純や「わぁ~ やってるね~ こりゃまたにぎやかで ん? あれは何…?」



激しく衝突する大熊と彩羽のバトルに視線を向け、また異様なゾンビの塊を目にする純や



山口「無事でなによりだ」



純や「あ! えぇ お陰様で」



青木「熊は? あの熊はどうなった?」



純や「あぁ あれなら電撃で眠らせたよ 気絶さしといた」



あの巨大な熊をたったの1人で撃退したのか…



驚きの顔で純やを目にする青木



純や「ねぇ それよりあれ何?」



純やがゾンビの塊の山を指差した。



山口「色々あってな 説明は後だ それより今がチャンス 合流する 吉田 足を持て 運ぶぞ」



そして山口等が負傷した榊原を担ぎ、御見内達の元に急いだ



押し合い、へし合い、乗っかり合い、積み重なる山で蠢くゾンビの群れ



その横を警戒しながら通り過ぎて行く山口達



純やは冷静な表情、落ち着いた足取りで、その重なり合うゾンビの山を横目に通過していった。



そして御見内達と合流を果たした。



意識を失う榊原がそっと運ばれ床に寝かされようとするや



村田「どうしたんです?」



山口「あそこの熊に襲われた その際2階から投げ捨てられて全身を強打した」



エレナ「重傷なの?」



山口「色んな箇所が折れてる… 意識不明の重体だ」



エレナ「大変 じゃあ ひとまず奥に運んで下さい」



村田「手伝おう こっちへ」



エレナ、村田が誘導、榊原が奥へと運ばれて行った。



美菜萌「青木さん!」



美菜萌が青木へ駆け寄り衣服を掴んだ



青木「美菜萌さん…」



美菜萌「良かった… もぅ 心配したんだから…」



青木「え?」



美菜萌「囮なんかして食べられたらどうするのよ…」



青木「あ う うん ごめん あん時はああするしかなかったから…」



美菜萌「うん… そうだね ごめん 仲間を助ける為にやった事だもんね…」



青木「心配してくれたの?」



美菜萌「あ… 当たり前よ」



美菜萌が急に照れくさそうにそっぽを向き口にした。



美菜萌「あ 早織ちゃん無事見つかったよ」



青木「マジか?」



美菜萌「この奥にいるから一目だけでも会ってあげて」



青木「あぁ」



また



御見内「臼井さん ご家族の方が見つかった 無事に救出成功だ」



それを聞いた途端 動揺した表情に変わる



臼井「ホントに? ど…どこ」



御見内「この奥にいる 早く会ってあげて」



臼井「ありがとう ホントにありがとう」



感謝で御見内の手を握る



御見内「いえいえ 母子共に元気そうだよ ささ 早く」



臼井「ありがとう…」



そして臼井は急いで奥へと駆けて行った。



その姿を目にする御見内の隣りに着いた純や



純や「ども お久しぶりっす ハサウェイさん」



御見内「おぉ 純やか 元気そうだな」



そして2人は横に並び、彩羽と大熊のバトル、ゾンビの塊などを観察しながら会話を続けた。



純や「聞きましたよ 拉致られたそうじゃないすか… 大丈夫でしたか? 拷問とかされなかったですか?」



御見内「されたよ… ある意味な」



純や「ん?」



御見内「いや ところでどうしておまえがここにいるんだ? 何しにきたんだ?」



純や「うわっ つれな 久々の親友との再会なのになんて冷たい発言っすか」



御見内「違ぇ~よ そんなんじゃねぇ 素朴な疑問だよ 何でここにいるのか聞いてんだよ」



純や「こっちのセリフですよ 何でこんなド田舎で揉め事おこしてんですか? 北海道に行ってる筈でしょ」



御見内「いざこざに巻き込まれちまったんだ」



純や「嘘ばっかり 大方エレナさんと一緒に自分達から首突っ込んだパターンしょ?」



御見内「…」



純や「図星かぃ」



御見内「しょーがないだろ ほっとけない状況だったんだから」



純や「別にいいんですけど でもまぁ 前回の件にしろ今回の件にしろまた大きな事件に関わりましたね」



御見内「もう事情は分かってるんだな?」



純や「はい勿論 メインはそっちです ただハサウェイさん達が今ピンチだと聞いたんで江藤と駆けつけたんです」



御見内「そうか ありがたい 恩に着るよ 江藤は元気か?」



純や「はい あいつは別の班にいます 相変わらずキモい触手振り回してやりたい放題で暴れまくってますわ」



御見内「ハハ そうか」



純や「久々の再会をゆっくり祝したい所なんですが… 今 これどうなってんです? あれは何ですか?」



純やが顔色を変え、ゾンビの塊に向けバットを突き出し、尋ねた。



御見内「ここの敵の大将の話しは聞いてるか?」



純や「えぇ 確かネクロマンサーとかって奴ですよね 何がネクロマンサーだよ どうせペテンなハッタリ野郎でしょ」



御見内「最初は俺もそう思った… だがガチかもしれない」



純や「珍しい ハサウェイさんがそんな胡散臭い事信じるなんて」



御見内「おまえはまだ見てないからそんな事が言えるんだ ついさっきまでゾンビの生首がそこら中飛び回って襲いかかってきたんだぞ」



純や「またぁ~」



御見内「こんな時に冗談言ってどうする それを操作したのは全て奴だ 奴の魔術がトリックとは思えない」



純や「本物の魔術師?」



御見内「分からん… だが奴がゾンビを操る術を持ってるのは確かだ」



純や「もしそれが本物ならマジやべぇ~すね 魔術って… 呪われたらやだな…」



御見内「ちなみに当の本人はあの塊の中にいる」



純や「あの中!? つ~かさっきから何やってんですかあれは?」



御見内「分からねぇよ ただしばらくあの状態で膠着している 何かやらかそうとしてるのは間違いないだろう」



純や「ねぇ なんだかすっごく嫌な予感がするんですけど… あれ全部がガチコンと合体して巨大な1つの奴に変身するパティーンじゃないでしょうかねぇ…」



御見内「奇遇だな 俺もそう思ってた」



純やが御見内の横顔に目を向け



純や「だったらさっさと潰さないと」



そして踏み出そうとするや肩が掴まれた。




御見内「待て待て 早まるな」



純や「何のんびり見守ってんですか? 今の内やらないと」



御見内「馬鹿馬鹿 待て 奴も馬鹿じゃない それも仕掛けさせようと誘ってる罠なんだよ」



純や「え?」



御見内「もう血やら肉片が散乱して見えなくなってるがあの塊の周囲に魔法陣が描かれてる」



純や「魔法陣?」



御見内「あぁ さっきチラッと見えたんだ いつの間にか周囲に張りやがって」



純や「それが何なんです?」



御見内「それに足を踏み入れたら何かが発動するんだよ」



純や「何が?」



御見内「分からん」



純や「それ不確かな推測でしょ…」



また踏み出そうとするや金属バットが掴まれ、止められた。



御見内「純や 待てって」



純や「止めないで下さい 何か起こってからじゃ遅いっすよ」



御見内「あいつは余裕かましてたんだ 何かある だから不用意に近づくのは危険だ 止めろ」



純や「ならどうするんです?」



御見内「今は様子見だ」



純や「なら銃器は 銃撃ならば」



御見内「そんなのとっくにやったよ 肉の盾に阻まれ大して効果無い」



純や「はぁ? 何か起きるのをただ待つだけ…」



御見内「ん? 純や このバットの装置はなんだ」



純や「これ電撃バットっす 電気を発生させる装置っすけど」



御見内「電気…」



御見内が血の海を見渡し、バットを目にするやある事をひらめいた。



血の海にゾンビ等の塊が浸っている…



これだ…



御見内「なぁ ちなみにこれの威力は?」



純や「人なら軽く感電死させます」



御見内「そうか いいぞ 1つ試したい事がある そのバットを使いたい」



純や「えぇ いいすけど 何を?」



御見内「血の池にそれで電気を流せ」



純や「電気を… あ はい あぁ なるほど 意図は分かりました でも血液って電気通すんでしたっけ?」



御見内「通す 多少抵抗はあるだろうが 人を殺傷出来る程の威力なら問題ない 大丈夫だ やってくれ」



純や「分かりました みんなに影響の方は平気っすね?」



御見内「みんな靴履いてるから大丈夫だ 流し込め」



純や「りょ~かい」



そして純やが金属バットのヘッドを血の海へと漬けた。



純や「じゃあ最大出力でいきまっせぇ~」



猛獣の意識を飛ばす程の威力…



純やが発生装置の出力をフルパワーにする



純や「んじゃ やりまっせ いいすね?」



御見内「やれ」



その合図でスタンバットから電気が放出、血の中に流し込まれた。



途端に血の海からパチパチと弾けた音が鳴り、蒸発の湯気が立ち昇ると共に通電



その影響か… 瞬く間にゾンビの塊に反応が見られた



表面に貼りつく数体のゾンビが足掻きながら剥がれ落ちたのだ



純や「見て下さい 効果ありです」



御見内「あぁ やったな そのまま流し続けろ」



御見内等の隣りに着いた美菜萌もその光景を共にした。



美菜萌「…」



純や「オーケー」



すると



戻ってきたエレナ、村田、青木、山口、吉田達もその光景を目にした。



プスプスと塊から煙りがあがり、また1体2体と徐々に剥がれていくゾンビ達



エレナ「何?」



村田「何だ何だ 何やってる?」



御見内「純やの電気バットを使って電流攻撃してる 効果覿面だ」



純や「えぇ このまま流し続けて一気に感電死させてやる」



青木「はは 超嫌がってるじゃん このままイケるんじゃねぇ」



そして流し続ける事2分弱…



血の海が沸騰、そこら中から気泡の破裂が見られる



純やはそのまま電気を流し続けた。



バタバタと屍人が剥がれ落ち、一網打尽に仕留めにかかった。



誰もがこのままイケると…



そう思った



その時だ



群がる塊にある反応が見られた。



突如 塊が弾け、ゾンビ達が吹き飛ばされたのだ



山吹「くっくく 馬鹿共め 詰めが甘いわ」 



群がるゾンビの塊を吹き飛ばし、姿を現わした山吹



山吹「我に呪文を唱える時間を許した貴様達の負けだ」



エレナ「山吹!」



山吹は薄黒い霧のような、靄(もや)のようなものがかかる透明で球体状のシールドに包まれていた。



そのシールドは御見内やエレナ等にもハッキリと視認され、それが徐々に膨らんでいった。



村田「嘘だろ…」



山吹「ハハハハハハハハハハ」



また山吹は…



シールドに覆われ、ゆっくりと浮き上がっていった。



険しい表情で木刀を構える美菜萌の目に山吹が浮上していくのが映った。



美菜萌「クッ 浮いてるの…」



村田「おい これって夢じゃねぇよな… こんな事出来る人間がこの世にいるのかよ…」



吉田「マジ?」



山口「奴はもののけか…?」



電撃を止めた純やもバットを肩に担ぎ、浮き上がる山吹を御見内と共に見上げた。



純や「こりゃおったまげたな… 宙に人が浮いてるよ」



御見内「これで俺の言ってる事信用したか?」



純や「えぇ まぁ でもこれ魔術? 宙に浮くっていうのは超能力じゃないっすか」



御見内「はぁ? おい そこかい そんなのはどっちでもいいんだよ」



山吹「ハハハハハ」



笑いながら更に浮上するさなか



今度は球体から複数の影らしきものが飛び出してきた。



エレナ「見て 何か飛び出してきたよ」



青木「何だあれ…」



これまたハッキリと悪魔のシルエットに見える影共が空中飛行、飛び回り、ゾンビを掴むと球体へと持ち帰っていく



邪悪で不気味な陰影がまるで粘土でも貼り付けるかのように球体にゾンビ達を押し込み強引に貼り付けはじめた。



山吹「ハハハハハ どうした?腑抜けたツラしおって 驚くにはまだ早いぞ 貴様等がマジックだとあまりに信じない為 少々演出を凝ってしまった ド派手な御披露目になってしまったな」



山口「みんなあまりバラけるな かたまれ」



山口の指示で美菜萌が青木へと寄り添い、エレナが御見内、純やに近寄り、山口、吉田、村田が集まった。



丁度中間あたりで浮上を停止した山吹が御見内等一同を見下ろした。



山吹「私を覆うこの不可解なバリヤー おまえ達にもそれが認識出来るだろ これは魔界の住人による魔力が生み出した闇のオーラ そしてこのさまよう邪悪な冥闇の影をおまえ等の肉眼でもハッキリと捉えられるよう具現化してやったぞ これこそ最上級黒魔導の真髄 我が魔術の極めし結晶とも言えよう 術式のあらゆる知識、あらゆる経験を駆使し、骨の髄まで恐怖を味わって貰おう そして我に刃向かう貴様等を我がしもべとし、ゾンビとして使役してくれる… その前にまずは命を断って貰おうか」



純や「ちょっとハサウェイさん… こんな奴どうやって対応すればいいんすか?」



御見内「奴は化け物じゃない 俺等と同じ生身の人間だ 頭に弾丸をぶち込めば死ぬさ」



純や「かもしれないですが… それがムズいんじゃ…」



御見内「あいつが大事そうに手にしてる本見えるか? あの本無しでは魔術は使え無いと見てる つまりあの本が発動の橋渡しとなる鍵だと思うんだ あの本さえ何とか奪えればこっちにも勝機はある」



エレナ「うん 私もそう思う 命の次に大事そうに抱えてるし 多分そうだよ あんな本奪い取って燃やしてやるわ」



純や「いや~ それも激ムズじゃないっすか…」



御見内「あぁ 今はな まずは奴を地上に引きずり降ろさないとな」



純や「どうやって… 参ったね 何だか勝てる見込みが1ミリも見受けられないんですけど」



エレナ「ちょっと純やさん!ここまできて何尻込みしてんのよ しっかりして ザクトのスーパールーキーなんでしょ」



純や「いやいやいや あくまでゾンビ討伐の専門でこのような超常現象は専門外なので」



エレナ「弱気にならない シャキッとなさい」



青木にぴったりと寄り添い見上げる美菜萌が恐怖の籠もった声で口にした。



美菜萌「山吹がこれほどまで恐ろしい存在だったなんて私知らなかった」



青木「あぁ 俺もだよ 代表のアビリティーはゾンビを操れるだけだと思ってたが まさかここまで強大な力を持ってたなんて…」



美菜萌「怖い… 足がすくんできちゃったよ」



触れる感触と共に微かな震えが青木にも伝わってきた。



美菜萌さんが脅えてる…



ここは何か言って勇気づけなきゃ…



そして青木の口から



青木「大丈夫 俺から絶対離れないで  君の事は俺が命にかえても守ってみせるから」



ありがちで臭い言葉のチョイスしか思い浮かばず、青木はそれをそのままに口にした。



すると



美菜萌「ホント?私の事守ってくれるの?」



真面目な顔でそれを真剣に受け止め、答える美菜萌と目を合わせた青木



2人は見つめあった。



化粧1つしてないのに透き通るように白く奇麗な肌、冬場にも関わらずプニッとみずみずしく弾力がありそうな柔らかい唇、そして潤んだ瞳



青木「あ…」



脅えた表情ながらも澄んだその目に見つめられ、惹かれた青木は一瞬周りを見失った。



そのまま唇を奪ってしまおうかと顔を近づけた その時 ハッと我に返った青木



青木「あ! も… 勿論だよ」



慌てて顔を逸らした。



っぶね~ 俺は何考えてんだ… こんなやべぇー状況にときめいてる場合じゃねぇ~つうの…



一瞬のラブロマンスを惜しみつつ、ある感情が沸々とこみ上げてきた。



とにかく俺はこの場から生きて帰る… この子を連れて…一緒に… お持ち帰りするんだ… 俺が貰うんだ… 誰にも渡さねぇーぞ…



正気に戻った青木が山吹に視線を向け睨みつけた。



それには代表…



それから激闘真っ最中な大熊と少女を睨みつけた。



それにあの大熊と化け物の子供…



テメェー等 みんな邪魔だぜ…



青木は愛する女性を守る為 生きる執念を燃やしていた。



そして再び山吹へと視線を戻した時だ



美菜萌「な… 何あれ」



山吹に動きが見られた。



それは球体全域に押し付けられたゾンビの身体がグニャグニャに溶け出し、無数の影がその肉を捏ねはじめたのだ



はなから腐りかけた身体が更に柔らかくなり、シャドーによって腹がほじくられ、掻き出される内臓器官



そして引きちぎられバラバラにされる手足



また床に散らばる無数の生首も拾われ、球体に投げ込まれていく



肉片が粘着を帯びた物へと変化し、それはまさしく粘土のようになっていた。



そんな粘り気ある肉片がこねくり回され、ミックスされる



そんな統合された肉の塊から脚部の一部を形成



また腕や胴部らしき物まで作成されていく



球体に磁石のように貼りつくゾンビの肉片で何かが作られようとしていた。



球体のバリヤーに守られほくそ笑む山吹が見下ろすや御見内、エレナ等と目を合わせた。



山吹「フッ」



御見内「…」



誰もがその光景に言葉を失い見上げる中



無数の目玉、耳、歯、臓器の一部などがはみ出た肉細工で造形された脚部を今度は幾体もの影が運び、胴体にくっつけはじめた。



それを見上げる純やがボソリと口にする。



純や「ハサウェイさん… これって…さっき話してた通りじゃないっすか?」



御見内「あぁ」



純や「マジやべぇ~て 早く攻撃しないと 完成しちゃいますよ」



御見内「…」



エレナ「何?話してた通りって?」



純や「その内あのゾンビが合体して大きな化け物になりそうすねって2人で話してたんだよ 嫌な予感的中で」



エレナ「大きな人形…」



すると



ドスン



急に重力に引かれ、降り立った2本の脚部



胴体と脚部だけでもエレナ達をゆうに越えるデカさ、この時点で超巨大熊と同じサイズと言えよう大きさだ



そして エッサカホイサと不気味な影達に運ばれてきた右腕がエレナ達の目の前で胴体に接着された。



それから左腕も



そしてゾンビ達の目ん玉が散りばめられた顔部が胴体へと乗せられた。



村田「何だこれ…」



百目とも言える無数の目ん玉が付けられた顔部



見上げる山口、村田、吉田がおぞましい姿におののき銃器を構えながら後ずさった。



山吹「ご苦労」



山吹の一声で影達が一斉に球体の中へと退却、戻りはじめると、山吹は手をかざし呪文を唱えはじめた。



山吹「ヴェノバ ハーラハーラ アビ コクマー ビーチャー ケテル ヴェスバ… 思念の数はいかに多きかな… それを数えんとすれどもその数は沙よりも多し… エフィトロの樹液を授かりし産声をあげた無垢な胎児よ 従順に尽くし 我に全てを捧げ、我の手足となりて使役となりて さぁ 起動しろ 我がゴーレムよ」



山吹が空中にemeth(真実)と文字をなぞり息吹した。



するとその文字が胴体へと刻印され、粘土状だった肉身が元へと戻った。



全てのゾンビが融合され、1つの巨大な化け物が完成された。



山吹「フフフ 本来は土や泥で生成する錬金の秘術ものだが いい素材が揃っていたもんでな ちょいと魔術により練成 死肉で出来たロボットの出来上がりだ おっと… ゴーレムと言うよりもここではバスタードと呼ぶべきかな」



ミナグロをも上回る巨大なゴーレム



そして命を吹き込まれたゴーレムの百目が動き出し、手足がゆっくりと動き始めた。


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