第206話 幕切

サタナキア  麻島班サイド



突撃で踏み込まれた8人の戦闘者



理性を欠いた野蛮人共がそれを見るなり、一挙に押し寄せてきた。



これまた現代ではあまり見た事も無いような形状、珍しい武器の数々…



刀剣や短剣、長柄に打撃、射出系から投擲、特殊系から兵器系とバラエティーにとんだ古代武器のレプリカ品を振り回している。



先陣の刀剣部隊 ナイジェリアの剣アダや 



ザイール中央部 クバ族の刀剣 イルウーン、古代ヨーロッパケルト人の剣 アントラーソード



また16世紀ヨーロッパの刀剣 ウォーキングソード、17世紀ヨーロッパの刺突用刀剣エストック、18世紀西ヨーロッパの死刑執行用斬首刀剣 エグゼキューショナーズソード、16世紀アフリカスーダンのカスカラ、日本平安時代の儀礼用刀剣 餝剣(かさだち)、15世紀スリランカ カスターネ、16~18世紀中近東ペルシャの刀身カダラ、日本古墳時代~平安時代 最古の刀 頭椎大刀(かぶつちたち)、環頭大刀(かんとうたち)、毛抜形太刀(けぬきがたたち)、小鳥(こがらす)方頭大刀(ほうとうたち)奈良時代 黒作大刀(くろづくりたち)圭頭大刀(けいとうたち)、鎌倉時代 野大刀 17~20世紀 東南アジアマレー系種族の剣 カンピラン、クディ・タランチャグ、クリス・ナーガ 中国清時代 倭刀(わとう)、朴刀(プータオ)他にもギリシアのマカエラ 南アフリカのマクアフティル マボムバーム マムベリ、ヨーロッパのワルーンソード、レイテルパラッシュ、ボアスピアーソード、フルーレ、フランベルク、ファルシオン、スモールソード、サイフォス、バゼラードなどなど骨董武器を多数所持し、襲いかかってきた。



そのど真ん中を直進で突っ込む江藤、チコ、合間の3人を見るなり 



コンタクトを図る事無く左方面を担当、海原が膝射の姿勢で身を低し、またすぐ隣りに着いた麻島が立射の態勢で身構えた。



また左サイドを担った及川、南、三ツ葉も迎撃態勢を取り、銃器を構えるやスコープで照準



海原がスコープの倍率を素早く調整、レティクルを向かって来る奴隷の右肩へと合わせた。



また麻島も冷静な表情で照準器をズームし、太ももへと合わせた。



各員 致命を避ける部位にそれぞれ狙いを定め



しっかり定め終えた海原が初弾の一発を発射



引き金をひいた。



パス



それからそれぞれ個々のタイミングで銃弾が発射



パス パスパス パス パスパス パァン



各人により発砲された。



海原からの一発が奴隷の肩へヒット



崩れ落ち、サイフォスを落としたのを皮きりに



マカエラや圭頭大刀の刀身を砕き、膝や太腿、腕部に被弾した先頭の奴隷達がズッコケた。



※勝手に戦闘シーン曲 エネミーライン scramble



背中から伸びた2本の触手が次々刀剣に巻きつき、奪い取ると上に放られ



グサグサグサ



ワルーンソードやカスターネなど武器が次々天井に突き刺された。



疾風の心…



颶風…



またすり抜けながら峰当てで顔面にブチ込んで行くチコ



臆する事無く奴隷の集団の中に突っ込んで行った。



また…



乱斬りの心得…



無刀鳥舞…



合間も押し寄せる奴隷の波へと果敢に突っ込み、ガキーン キン キィン キン



囲まれた中で



環頭大刀の刀身を叩き割り、当て打ちで刀剣を次々と弾き飛ばしていった。



同時に



バシッ ドゴッ



鎬部で頬をひっ叩き、鞘でみぞおちを突く



パス パス パス



素早いサイドへの流しで発砲する麻島



倭刀が砕け、手首が撃ち抜かれ、左内股に着弾を受けた3名が順々に倒れゆき



パスパス パスパスパス パアン パァン



及川、南、三ツ葉も発砲



刀剣が床を滑らせ



急所を避けての銃撃で1人、また1人と確実に無力化していった。



ブン



カンピランの打撃が空を切り



それを避けた江藤が左ジャブからの右フックで反撃、続けざま背後の奴隷にエルボーを食らわせた。



同時に触手が奴隷の足首に巻きつくやそのままジャイアントスイング



数体の奴隷にブチ当てつつ、投げ飛ばすとこれまた数体を巻き込み将棋倒しで転げていく



朧の心…



幻楼…



ベシッ バコン



チコが逆刃当てで頬を殴ると同時に隣りの奴隷の頬にもヒット



また背後から襲いかかろうとフルーレを振り上げた奴隷に対し



邪魔…



後ろ足で股間を蹴り上げた。



殴られた奴隷は倒れ込み 急所を蹴り上げられた奴隷はたちまち悶え、うずくまるその様子を…



バコン



頭頂を鞘でブッ叩き、柄部で鼻筋を突いた合間が隣りでチラ見



おほ… お嬢… それはなかなかいい手ですな…



傷を負わせなくともその弱点を突けば… たやすい…



合間もこれはいい方法だと露出し、ぶら下がる金的に殴打しはじめた。



そして股間を強打された奴隷共は次々に悶絶していく



ガシャ



マガジン交換を終えた海原が再度MPを構えた時だ



ブンブンブン



奴隷の放り投げたスモールソードが飛んで来るのを目にした。



だが… 次の瞬間



パスパス



ピキュン



それは麻島の銃撃によって弾かれ、海原は一瞬視線を合わせるや再びスコープを覗き発砲を再開させた。



パスパス パス パスパスパス



その後 次々と奴隷達は倒れ込み、うずくまり、戦闘不能状態に陥っていき



ものの見事に刀剣部隊の一団が蹴散らされた。



ひれ伏す奴隷達を後に江藤、チコ、合間が更に突っ込んでいくと麻島等もラインを上げはじめ、前進された。



次に待ち受けていたのはビペンニス、ガノ、セルティスなど打撃系の武器やジャッドバラアックス、フットマンズアックス、ギザーム、サリッサなど槍や斧槍などの長柄系



また卍手裏剣、六方型手裏剣、ブーメランなどの投擲系から中世欧州の原始火器銃アークゥィバス(火縄銃) ハーケンビュクゼ 中国の火器拐子銃などを構える奴隷達の姿



江藤が先導で群れの中に特攻をかけるや触手の打鞭でひっぱたき、江藤もシャープな身のこなしで攻撃を避けつつジャブやフック、ストレートの手数を浴びせていく



また薄ら笑みを浮かべトランス状態に入ったチコ



あ~ 楽しい…



高揚し、少し目つきが狂気じみてきたチコが奴隷達のど真ん中で身を低し、抜刀の構えを取った。



フフフ… 抜刀術… 裏式一刀…



曼珠沙華の心…



百舌鳥の早贄…



そして目にも止まらぬ突きの連打が繰り出され



プス プスプスプス



高速の刺突で周囲の奴隷達は目潰しをくらい、うずめていく



キーン



セルティスの打撃を真剣で受け止め、鞘で奴隷の金的を殴打した合間がそれを見るなり口にした。



合間「お嬢 殺生はなりませぬぞ」



シュ シュ プス プス プスプス



「ε⊗♤_★♬〓♩≧∞」



次々視界を奪われた奴隷達が顔を押さえのたうち




次々チコの目潰しをくらい、無抵抗に伏していく奴隷達



チコ「大丈夫 目潰ししたくらいじゃ死なないし… それに目玉は傷つけてないから」



バコン



股間に鞘を打ち当て、同時に真剣の鎬部を振り当てた合間



合間「なるほど 流石はお嬢 いらぬ心配でしたか」



2人の剣士達が巧みな剣さばきで殺傷する事無く敵を無力化していく



パスパス パスパス パス



一方銃撃班も致命を負わせる事無く着実にヒットさせ数が削ぎ落とされ



腰に巻きついた触手がスクリュー回転、スープレックスで地面へと叩きつける中、江藤もアッパーやストレートで奴隷をノックアウト



気づけば這いつくばる奴隷達で床は埋め尽くされていた。



気付けば残す所20数名



チコ「案外楽勝チンなもんね」



合間「…」



麻島が合図を送り、銃撃班もラインをあげ進みだす



順調に事を運んだ麻島班



チコ「さぁ~ 一気に片付けちゃいますかぁ~」



そして一気にかたをつけようとチコが刀を握り締め、突進しようとした



その時だ



江藤「ちょっとストップ チコちゃん」



江藤によって突撃が制された。



チコ「え?」



江藤が正面に目を向け、チコも目を向けると



見た事も無いような銃器らしき物を手にする奴隷達



近未来的な造形のライフルタイプな銃器だ



そして奴隷達は一斉にその銃器を向けてきた。



※サイコトロニクス PSI 超心理工学実験 超能力等及び超常現象分野における人為的な実験



電磁波をもちいて人の脳神経を外部誘発し操作する超能力覚醒実験 一種のマインドコントロール 主にロシアが盛んにこの実験に取り組んでいる



特殊な銃器を所持している5名の奴隷



それを目にした三ツ葉が慌ててその場から移動、麻島等の元に近寄ると



それを目にした麻島と海原も動き、江藤達の元で合流されようとした



その時だ



江藤「避けて!」



江藤の掛け声でチコと合間が左右にバラけ



麻島、海原、三ツ葉も入り組み左右へと散った。



ヘンテコな銃器の口が白い光を放ち発射されたのだ



バシュ バシュ バシュ バシュ バシュ



5つの発射音が鳴る中



巨大な筐体の制御盤裏に逃げ込んだ麻島、三ツ葉、江藤



また反対側の操作盤らしき箱の裏へと隠れた海原、チコ、合間



すると



取り残され、立ち竦む及川、南に銃口が一気に向けられ



江藤「そこの2人も…」



バシュ バシュ バシュ バシュ バシュ



白い光を放ち再び発射された。



2人は腕でガードした。



だが…



あれ…



何やら受けたと思われたが被弾した形跡は特に見あたらず



なんだ…?



2人も遅れてチコ、海原等の方へと逃げ込んだ



海原「2人共大丈夫?」



2人は互いに撃たれてないかボディーチェックをするがやはり外傷は見当たらない



及川「撃たれてないな?」



南「あぁ 大丈夫だ 何だったんだ今のは…」 



及川「ただの空砲か… 脅かしやがって」



海原「…」 チコ「…」



麻島「…」



無事に隠れた2人を目にする麻島



麻島「何だあの銃は…」



三ツ葉「隊長 あの銃なんですが… もしかしたらあれ…」



麻島「P90に似てるな… どうした三ツ葉 あの銃が何だ?」



三ツ葉「ヴェチェラフによって軍事兵器が強奪された件は以前話しましたね… じつは他にも色々な兵器が盗まれたんです」



麻島「…」 江藤「…」



三ツ葉「襲われたのはロシア当局が管理する秘密裏の軍事工場 最新のテクノロジーを駆使し数々の兵器を製造していた工場です それらは例の大量破壊兵器と一緒に奪われました。」



麻島「あの銃もその一部なんだな…っで何なんだあれは?」



三ツ葉「恐らくサイコトロニック銃…」



麻島「サイコトロニック…?」



三ツ葉「えぇ 電磁波放射銃 別名ゾンビ銃と呼ばれています PSI実験分野での派生で開発された代物です それは理性と思考、運動能力を破壊する恐ろしい兵器 政府はすでに実装段階までこぎつけ 実戦投入する公式の発表までしていました。」



麻島「…」



三ツ葉「アメリカとロシアはこのパンデミックが起こる以前から既に軍事的なゾンビ化兵器の開発に力を入れていたんです 両国共1980年代から軍部に限らず警察組織に至るまで対ゾンビ発生のシュミレーションや演習などが盛んに行われてる程です いわばゾンビ発生は既に想定内 いずれ現実に起こる問題と危惧されていた訳です」



江藤「じゃ~なに 今起きなかったとしてもいずれは人間が故意にこれを起こしてたって事」



三ツ葉「ありえます ゾンビという空想の産物はもう空想では無くなってきていた…」



江藤「…」



三ツ葉「科学薬品に関してはとうの昔に開発されたと聞いた事がありますし いわば実戦投入は単に倫理的な観点からストップされてただけ 両国間の水面下な睨み合いで留まってただけです…」



麻島「それがテロリストの手に渡った…」



三ツ葉「はい」



麻島「しかもそんな危険な兵器を町民なんかに持たせ 更にゾンビを増やそうというのか」



三ツ葉「えぇ ゲーム感覚であんな危険な兵器を出す月島… 奴をこれ以上許す訳にはいきません」



その時だ



ハッとさせた麻島が及川、南に目を向けた。



麻島「ちょっと待て じゃああの2人が先程受けたのは…」



江藤、三ツ葉も視線を向けた先…



操作盤の陰から銃器を構える海原の背後から顔を覗かせるチコと合間



チコ「もう~ まどろっこしいなぁ~ チャッチャとやっちゃおうよ」



海原「向こうからまだゴーサインが出てない 迂闊に出ちゃ駄目だ」



チコ「ハァー」



チコが深い溜め息をつく



合間「ですが確かにあれは普通の銃器では無さそうですぞ お嬢」



チコ「あら そうなの…」



海原「あぁ 少し様子をみる」



そして海原がスコープを覗き込んだ時だ



合間の背中と海原の後頭部へ銃口が押し付けられた。



ぬ…?



なんだ…?



すかさず頭を逸らし、素早いターンでMPを身構えた海原



また合間も既に銃口を逸らし喉笛に刃を突き付けていた。



海原「な!お…おぃ」



2人が目にしたのは まるで死人のように生気を欠いた及川と南の姿だった。



口からよだれを垂らし、まばたき1つしない死んだ眼でボォ~と直立している。



海原「おい ふざけてる場合か 何してる」



及川「……」



すると及川が再び銃口を向けるや、いきなり引き金を引いた。



パス



だが… 寸前で 海原は手のひらでそれを弾き



今度はMPを及川の額へと押し付けた。



海原「どうゆうつもりだおまえ ジョークじゃ済まされねぇぞ」



パス



同時に南からも発砲されたが、弾丸は天井へとめり込んだ



そして



ドン



咄嗟に胸部へ掌打し、南を突き飛ばした合間



また海原も腹部に蹴りの強打を入れ、南の隣りに倒れ込んだ



倒された南が無言でユラユラと起き上がりはじめ、続いて及川も…



チコ「えっ何これ… どうしちゃった訳…」



海原「何なんだおまえら しっかりしろ」



合間「このお二方 正気じゃありませんぬ 一体何が…?」



動揺する3人の前で



及川「ぅ… う…」



南「ぅぅ… う~ ぅ~」



トロくてギクシャクした動き



それと… 



このやつれ、掠れる呻き声…



この2人の変貌…



それはまさにゾンビそのものだった



南「う…ぅぅ…」



起き上がった南が顔を上げると完全に生色を欠いた表情



そして 再び銃口を向けようとした時だ



シュパ



手首に一線が生じられ、ポトりと落ちた。



サブマシンガンを握ったままの手首が流血と共に床に転げられていた。



ためらい無く両断したのはチコ、素早い踏み込みで刀を抜いていた。



次いで海原によって胸部を突き飛ばされ南が再び倒される



海原「おい 何してんだ」



チコ「何って これゾンビでしょ」



海原「仲間だぞ それに決めつけるな」



チコ「ハア? 誰がどう見たってそうでしょ」



海原「だからって…」



及川「ぅぅ…うう」



及川も立ち上がる



反対側の物陰でゾンビ化した南と及川、そんな小競り合う光景を目にしていた3人



三ツ葉「ヤバい ヤバいですよ あれ」



すると



麻島「チッ」



麻島がいきなり立ち上がり、銃器を構えながら飛び出していった。



江藤「ちょ 駄目だ 今出ちゃ」



江藤の呼びかけに耳を貸す事無くいきおいよく飛び出した麻島に…



それを待ち受けていた奴隷達が一斉にゾンビ銃を放射



5つの銃口が発光し



狙い撃ちにされた麻島が目に見えぬ電磁波を浴びせられた。



江藤「クソ 今 まともに受けた」



三ツ葉「え? 何も見えませんでしたが」



不可視な電磁波は常人には見えないが江藤にはそれがはっきりと見えていた。



江藤「何で出たんだ… 向こうにはチコちゃんと合間さんがいるんだから出る必要なんかなかったのに…」



バコン



江藤が制御盤を殴打、ありえない程にへこませた。



その間 麻島はそのまま走り込み



パスパス



MPを発砲



及川と南の頭部が即座に撃ち抜かれた。



海原「隊長」



麻島が2人を射殺し駆け込んできた



次の瞬間



月島「あ~あ~ 殺っちまったなぁ~」



室内に月島の音声が流れ出す



月島「いい線までいったのにおしかった ミッションは失敗だ 仲間を殺っちまうのは論外だろ~ ハハハハ 」



嘲る口調に苛立ちを見せる海原



麻島「…」 海原「ヤロ~」



月島「それと 非常に残念だよ… 麻島隊長…… 勘のいい奴ならその奴隷が使用する兵器の意味を既に分かってる筈だ… 麻島… おまえはもう終わりだ ハハハハ」



海原「どうゆう意味ですか?」



麻島「……」



何も言わず海原、チコ、合間の前で佇む麻島



海原「隊長…」



月島「そこの兵器の素晴らしい所はその即効性にある… 内側から侵されるのを味わえ… そして堕ちろ 麻島 ハハハハハハ」



嘲笑が響き渡り、海原等が目にする前で…



麻島に変化が生じはじめた。



肌の色が変色し、眼からみるみると生気が抜け落ちていくのが分かった…



海原「隊長…」



麻島「すまん… しくじったようだ… 俺はもう無事ではすまない」



海原「なんで…」



麻島「俺がこれから堕ちる前にしっかり聞け あの銃は人をゾンビに変える危険なしろもんだ 特殊で目に見えない電磁波を放射する それを浴びてしまったら…」



麻島が死に絶えた及川、南を指さし… それから己の額に指を当てた。



麻島「俺みたいにゾンビに変わってしまう… 気をつけろ」



海原「う… 隊長もそれを…」



麻島「あぁ 軽率な行動をしてしまったようだ… 隊長失格だな」



チコ「…」 合間「…」



麻島「海原 1つ頼み事を聞いて貰えるか?」



海原「う… な… なんでしょう」



麻島「堕ちた瞬間… ここを迷う事なくやって… ううっ… くれ」



己の額を擦り当てた麻島



瞬く間にゾンビ化が進行、次第に話す事もままならなくなってきた麻島を険しい表情で見つめる3人



すると室内に再び月島の音声が響き渡ってきた。



月島「あ~ ゲームオーバーになっちまったし 失敗したんだから罰だなぁ~ あ~ そうだなぁ~ よし 決めた そのオモチャ持ったカス奴隷共…」



江藤「…」 三ツ葉「…」



月島「そこで寝てる雑魚共1人残らずゾンビ光線をかませ」



スピーカーから出された月島の指示に反応を示す奴隷達が動き出し、次々と銃口を光らせはじめた。



月島「ハハハハ お~ やれやれ 正直 奴隷もゾンビもたいして変わらねぇ~んだけど テメェー等が守ろうとしていたもの全部ブチ壊してやりたくなったわ 全てが徒労 全てが水の泡 何もかも骨折り損のくたびれもうけってか ハハハハ… テメェー等もミッション失敗の罰としてゾンビ光線の刑だかんな ハハハハハハハハハハハハ」



スピーカーに目を向けるチコの眼差しが口調と共に鋭くなった。



チコ「調子こいてるわね」



倒れる奴隷達にまたがり、次々と放射していく奴隷



そんな中



麻島「うぐっ… うぅ… んぐ… はぁはぁ…」



麻島の瞳も虚ろい、微かに残る思考と理性で最後の力を振り絞り言葉を発した。



麻島「あ… うぅ あ… あとは…ぅぅ… たのん だ…ぞ  か い ば ら」



そして 額に撃てのハンドシグナルを送りながら、思考回路は破壊され、理性を無くし 自我が消失された麻島



麻島「ぅう~ うぅ」



完全に堕ちた麻島が俯き、ゆっくり顔をあげながら同時にサブマシンガンをこちらに向けてきた。



海原は引き金に指を当てながら目を瞑り、背け、躊躇した。



海原「ク… クソッ」



次の瞬間



シュパ



麻島の首に閃光が走り、一線が刻まれた。



そののち、ズレ落ちる首



チコが俯き加減で愛刀 赤羽を一振りしていた。



鮮血が溢れ出し 麻島の生首がボトリと転がった。



何の迷いも無く海原のかわりにチコが斬首したのだ



そしてチコは大きく息を吸い込み、吐いた。



チコ「ハァ~~~~ あ~ ヤバい 久々にムカッ腹 立ちましたよ」



それからチコが日本刀を監視カメラがあるだろう位置へと振り上げ、差し向けた。



チコ「余裕綽々してるのも… 勝ち誇ってるのも… 今だけよ すぐにその首穫りに行くから待ってなさい」



モニター越しで監視する月島の目に止まった映像



声音は聞こえぬがこちらにやいばを向け、何かを言ってるチコの姿が即座にズームアップされた。



チコの顔が拡大され、動かされる口を目にした月島の表情が変わる



月島は軍部の情報部に属していた。



アメリカでいうところのCIA的な機関にいた。



チコの唇の動きに注目し、読唇術でそれを読み取っていた。



チコが何て言ったのかその内容を知ったのだろう…



血相を変え、背後に立つスキャットマンに口にした。



月島「空羅 予定変更だ 遊びはもうお終いにする… ここを生き残って 上がってきた奴は全員全殺しにしてかまわない あます事無くその闇の法力を使っていいぞ」



スキャットマン「…」



月島「とにかく1人も生かすな 殺すぞ」



殺意みなぎる月島がそう言い放ち、席を立つや



スキャットマン「何処へ行く?」



月島「あぁ 何人上がって来るか知らねぇが 次は俺も出る その戦闘準備だよ」



そう言って月島が部屋をあとにした。






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