第157話 空爆

村田、御見内、エレナが銃を身構え



2~3秒の沈黙後



「その声はエレナさんですか…?」



エレナ「え?」



聞き覚えある声



御見内がライトを灯すと2人の目の前にいたのは三ツ葉



エレナ「三ツ葉…さん?」



また村田もサブマシンガンに取り付くライトを点けると



そこにはマツが照らされていた。



村田「レジスタンスの頭領か?」



マツ「あんたはZACTさん?」



エレナ「マツさん!」



御見内「マツさん」



マツ「御見内とエレナか」



皆 森の中での思わぬ鉢合わせに驚きを見せた。



村田「あっぶねぇ~ 勘弁して下さいよ 危うく撃つ所でしたよ」



マツ「それはお互い様だな こっちだっててっきりロシアだとばかり」



エレナ「会いたかったですマツさん」



エレナは再会の嬉しさから笑顔をこぼした。



ハンドガン シグ・ザウエルP229を懐に仕舞い込んだ三ツ葉



三ツ葉「ほっほ しっかしこんな所でバッタリあなた達とお会いするとは」



御見内「何故こんな所に?」



マツ「そりゃあおまえ等の救出の為に決まってるだろ それより他の者は?」



御見内「こっちです」



皆の元に案内する一行



マツ「無線が使えなくなったのはスペツナズのせいだ 強力な妨害電波の影響で通信が途絶えた」



御見内「妨害電波?」



エレナ「マツさん そもそも道は通信機を壊しちゃってたんですよ」



御見内「おい」



マツ「したがっておまえ等からは聞きたい事が山ほどある」



村田「聞きたい事ね 色々ありすぎて何から話せばいい事か」



御見内「マツさん 報告の前に緊急事態が発生しました 車はありますか?」



マツ「あぁ 指揮車がすぐ近くにおいてある」



エレナ「ほんと?」



御見内「小泉さんが今瀕死の状態です 早急に病院に連れて行き治療しなければなりません」



マツ「小泉が… どうした?」



エレナ「う~ん これって信じて貰えるのかな… 地中に潜む未知の生物の大群に襲われて」



三ツ葉「未知の生物…」



村田「エレナ 今それはいい とりあえず体温低下状態で命が危ない」



御見内「えぇ そうです とにかく急を要します 急いで搬送を」



マツ「そうか分かった なら急ごう」



一行は歩を速めた。



そして森を抜け、駐車場に辿り着いたマツと三ツ葉が目にしたのは見知らぬ男が2人とポン吉、重体の小泉

のみ



ポン吉「マツさん!」



マツがポン吉の肩を軽くポンと叩くや小泉の容態を確認した。



マツ「よし すぐに向かおう 他の奴はどうした?」



村田「…」



エレナ「…」



マツ「御見内 他の奴等は何処にいるんだ? 早く連れて来い 移動するぞ」



御見内「これで全員です」



三ツ葉「え?」



マツ「はぁ?なんだと? 隊長は? 野々宮隊長はどうした?」



御見内「死にました」



マツ「なら根城は? 大堀は?」



エレナ、ポン吉は俯き



首を数度横に振る御見内



マツ「百村もか?」



御見内「はい」



マツ「何て事だ…」



頭の中が真っ白となるマツもうなだれ、唖然とさせた。



三ツ葉「月島は? 彼も死亡したのですか?」



そして三ツ葉のその問い掛けにこの場の誰しもが眉をピクリとさせた。



村田「あぁ 月島も死んだよ 奴は…」



村田がその件について告白しようとした



その時だ



バタバタバタバタバタバタバタバタ



羽音が聞こえて来た。



その音は段々近づき



臼井「何だ 何だ 今度は何だ」



バタバタバタバタバタバタ



急速接近して来るメインローターの回転音



エレナ「ヤバいよ」



村田「こうしちゃいらんねぇ ロシアのヘリだ」



マツ「森の中だぁ~ みんな急げ」



バタバタバタバタバタバタバタバタ



発声を強めたマツの掛け声で森の中へ逃げ込もうとする皆の前にライトの光が映される



Kaー52 戦闘ヘリコプター カモフアリゲーターだ



ヘリが建物の頭上から機体を現した。



ツインメインローターで回る羽の騒音を鳴らし、照射されたスポットライトが御見内達に当てられた。



「Игорь296 Восток на стоянке нашли Вадим корпус крыса(イゴール ツーナインシックス ヴァジム隊 鼠を発見した 東側駐車場だ)」



建物を進むヴァジムに入って来た無線連絡



ヴァジム「Это соглашение теперь головки(こちら了解 すぐに向かう) 月島 鼠がいた 東側のパーキング」



月島「分かった まんまと逃げようなんてさせるか  小癪(こしゃく)な奴等め許さんよ」



バタバタバタバタ



ヘリに完全捕捉されてしまった御見内達



空中旋回しつつヘリのパイロットがあるスイッチを入れるや生体感知、赤外線機能がオンとなりモニター画面が切り替わった。



濃緑色の画像に複数の赤い点が表示される。



ポン吉「あやわわぁ~ もう嫌だぁ~ 踏んだり蹴ったりじゃん」



マツ「ポン 急げ! 標的にされるぞ」



御見内「早く」



柊、臼井、エレナ、村田が森の中へ疾走し一間遅れて御見内、マツ、ポン吉等も逃げ込んだ



バタバタバタバタバタバタ



旋回したカモフが…



「Идиоты с воздействию(馬鹿共  丸見えだぜ)」



パイロットが兵装のスイッチを入れるやバルカンポッドが作動



そしてコントロールスティックのボタンが押された。



ドゥルルルルルルルルルル



そして30mmキャノン砲が火を吹いた。



村田「みんな 伏せろぉ~」



村田の一声で頭を抱えながら伏せるポン吉、大樹の陰に隠れる臼井、柊



またエレナの腕を掴んだ御見内が横へと飛び込んだ



暗い森の中に撃ち込まれた機関砲によって幹にぶっ太い弾痕が開き、倒れる木さえ見られる



直線上に撃ち込まれ土煙が舞う中



バタバタバタバタバタバタバタバタ



マツ「みんな無事かぁ~?」



頭上を飛行して行くヘリを見上げながらマツが点呼をはじめた。



臼井「こっちは無事だ」



三ツ葉「無事です」



御見内「御見内、エレナも大丈夫です」



ポン吉「生きてます」



何とか攻撃を免れ、皆無事なようだ



村田「次は恐らくミサイルを撃ってくるぞ 皆 かたまるな バラけて逃げろ」



マツ「みんなよく聞け ランドクルーザーはこの先の山道に停車してある そこで合流だ」



ポン吉「ミサイルって 嘘でしょ~ 冗談じゃないよぉ~」



半泣き状態なポン吉は起き上がり走り出す



そして 各自散開し森の中を駆け出した。



バタバタバタバタバタバタバタバタ



大きく円を描いてUターンしてきたカモフ



モニターに映る赤い点を確認したパイロットが兵装をチェンジ



ハードポイントが作動し



次にロケット弾が発射可能とされた。



そして再びコントロールスティックの発射ボタンに親指が添えられるや



「Прощай(くたばれ)」



ボタンが押された。



ボシュー ボシュ~ ボシュー ボシューボシュー ボシュー



両翼中央に取り付くロケットポッドから3連発のSー5対地用ロケットが発射



幾筋もの煙尾をあげ



計6発が森の中へと撃ち込まれた。



その数秒後



ドカァ~ ドカァドカァ~ ボォー ドォー



森中に爆発が巻き起こり、火の玉が上空へ昇った。

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