第101話 気配

B班 赤塚分隊 戦闘中



「あのさ~ 坂田くんの事フォローしたのになんでフォロバしてくんないのぉ そっときっと浮気してるに違いない 殺してやるぅー」



「We wish you a Merry christmas」



「私まだ17歳の女子なんですがある深刻な悩みを抱えてます じつは私ケツ毛が生えてきたんです しかもぼーぼぼ~ボーに凄いんです もうお嫁になんていけない」



「ポポイポイポイカプセルといつでもどこでもドアどっちが欲しいかと聞かれて俺はどっちもいらない 俺は愛が欲しいと答えたら 死ねって言われたねん はい さっそく死にます」



「飛竜昇天破ぁぁぁ~」



木々をかわし、次々迫り来るランナー達



「俺の走りはライジングだぜ…誰も俺にはついて…」 パン



ひっくり返って枯れ葉に埋もれるランナー



「We wish you a Merry chri…」



パン パン パン



海原「太田 10時の2体を頼む」



パン パス パス



赤塚「徳間 止まるな 後退しながら撃て」



「男なら漫喫で押忍 空手部全巻読むべきっしょ 高木さんの…」パン



「We wish you a Merry christmas」



「リーテラトバリタ ウルス アリアロス…」 パス



フォワードが崩れるもすぐ後続から押し寄せて来る屍の波



パン パン パン パス パン



1体 2体倒した所で焼石に水状態だった



次々に奴等は向かって来る



この勢いは止められそうになかった。



そして 早くも隊員等の貴重な弾が消えていく



パン パン パン パン



渋谷「隊長 もう弾がなくなります」



パンパン パス パン ガチガチ



太田「こっちもです」



ガチ ガチ



渋谷「切れました もう俺達お終いだ」 



「Oh bring us some figgy pudding」



赤塚「諦めるな おまえら」



「お空は何故青いのか?サイエンス室田がそれをお答えしようぅ~」



弾切れを起こした太田へ感染者が襲いかかる寸前



太田「うわぁぁぁ 駄目だあ~」



パス



銃弾が額へ命中



太田は助かった。



海原「大丈夫か?」



「Oh bring us some figgy pudding」



太田「無理です もう俺達ここで終わりです」



海原「うるせぇー 泣き言言う前に後退するんだ」



だが… ガチ



海原もラストとなるマガジンを握り締めた。



あれからまだ200メートルたらずしか後退していない…



くそ… 遠過ぎる…



このままじゃ逃げ切れない…



パン パン パン パン パス



徳間「こっちももう終わります…」



赤塚「渋谷ぁ 先に後退しろ」



赤塚も弾切れを起こし、MPを投げ捨てるや背中からショットガンを取り出し、諦めずに応戦する。



そんな姿を海原は目にした。



数に勝るものは無い…



判断を誤ればあっと言う間に呑み込まれ餌食にされる…



今のこの現状がそうだ…



戦場でリセットはきかない…



銃と言う武器が無くなれば俺達はただの餌…



半ば海原までも絶望し、諦めかけたが…



まだ…



赤塚だけはまだ諦めていなかった。



主任…



シュコン



赤塚が00バックショット弾(鹿撃ち用実包)を装填



ドォォー



発砲した。



そして感染者の胸部に大穴が開き、後続の感染者の頭をも吹き飛ばした。



シュコン



赤塚は素早く薬莢を取り除き、次にバードショット弾(拡散鉛実包)を装填後



素早く発射した。



ドォーン



拡散した鉛が3~4体を同時に仕留め、身体中に小穴が開いた感染者達がバタバタ倒される。



赤塚「今の内だ 海原、徳間 おまえ等もみんな引け」



シュコン



ドォーン



流石は主任… 何があっても諦めないか… はっ 俺って男は…ついつい…



着いていきますよ…



海原「3人共 後退しろ ここは俺と主任にまかせろ」



渋谷「でも…」



海原「無駄死にさせる気か…さっさと逃げろ」



渋谷「わ…分かった…」



パパパパパ パパパパパ



海原が発砲しながら赤塚の隣につき



同時に3人が後退



海原「自分は主任の部下です 食われる時も主任に着いていきますよ」



赤塚「おまえ…まだ弾が…?」



海原「死ぬ前にたっぷり道連れにしておきましょう」



ドォーン パパパパパパパパパパ



それから向かって来るランナー達を蹴散らす2人



海原「来い 安い命じゃないぞ 2人が死ぬ分40は持ってくぞ」



すると



赤塚「なぁ 海原 勘違いするな」



シュコン



赤塚「誰が死ぬって言った?まだ俺もおまえも死ぬつもりはねぇーよ」



海原「は?」



その時だ



向かって来る感染者達へ



パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ



2人の背後から複数の銃撃音が鳴らされた。



なんだ…?



海原が振り返った後ろには…



勢揃いするB班の仲間達の姿



渋谷「たっぷり弾はありまっせ 海原さん」



徳間「随分とかっこつけてくれましたね」



すぐに合流し、弾が補填された3人の姿も…



海原「おまえら…」



赤塚「やっと来たか…遅いぞ 海原 俺は最初から信じてたぞ これがチームだ」



赤塚「作戦変更 ランナーを殲滅する」



B班反撃開始



ーーーーーーーーーーーーーーーー



指揮車



赤塚視点のモニター画面に間一髪現れた仲間達の姿を目にし、マツが指さした。



マツ「仲間だ 助かった…ギリギリセーフだ」



麻島「フッ ったくあいつら冷や冷やさせやがって…」



三ツ葉「危うく作戦そうそう死人が出る所でしたね」



モニター画面には士気を取り戻し、盛り返した赤塚分隊の火急の猛撃が始まり、映しだされた。



ランナー達がことごとく掃討されていく



マツ「でも みんな無事で何よりです」



麻島「赤塚 元気よくなったのは分かるが調子に乗ってそのまま殲滅とか考えるなよ 目的はランナーの一掃じゃないからな…」



赤塚「あれ 聞こえてましたか?」



麻島「筒抜けだ馬鹿野郎 初っぱなからあまり無駄弾を使うな、一段落つけたらそのフィールドから退去し前衛とすぐに合流 奴等の追走は例の鉄球トラップで食い止めろ 弾薬の節約も重視しろ いいな?」



赤塚「了解しました隊長 頃合いを見て離脱をはかります」



マツ「まぁ とりあえずは一安心 一安心…ですな」



麻島「えぇ ですがまだ何も始まってません…これからです」



マツ「そうでした」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



A班 山中



B班の加勢が到着



ダンボの耳のようにインカムに聞き耳を立てていた一同からいくつもの歓声があがった。



根城「やったぁー 助けがきたみたいね」



大堀「あぁ よかったぁ」



ポン吉「よし よしよし」



エレナ「やったぁ~ やったよ 道ぃ~」



エレナも喜び、はしゃいだ



御見内「あぁ ホントだな」



また野々宮をはじめ隊員等もホッと胸を撫で下ろしていた。



野々宮「よし 我が班の方が先に目的地へ到着させるぞ 進もう」



重かった足取りが解消され、隊列が森の中を快調に進み出す



それから先頭を進む野々宮隊長の前にある2人の隊員が出てきた。



トラップ仕掛けや敵がいないかを探る為の先見(せんけん)



その偵察の役割で2人の隊員が足早に隊の先へと進んで行った。



風に揺られるたび 枯れ葉舞い散る森の中



枯れ葉の絨毯(じゅうたん)を踏みしめた一行がそれから2~300メートル程進めた時だ



隊から10メートル先を進む先見2人の隊員が急に足を止め、手が挙げられた。



それを確認した野々宮が即座に止まり、手を挙げる。



止まれの合図で急に隊が止められた。



根城「ん?どした?」



隊列中央に位置するエレナ、御見内等も立ち止まり、前の様子を伺った。



エレナ「どうしたんだろう?」



御見内「分からん ちょっと見てくる」



エレナ「うん」



ポン吉「まさかこっちにもゾンビとかじゃ…」



大堀「ありえるよ」



ポン吉「それ勘弁して欲しいなぁ…」



野々宮が隊列に向け、そこで待てのジェスチャーを送るや、先見の元へとゆっくり近寄って行った。



しゃがみ込み、森の奥へ警戒する2人の隊員



野々宮「どうした?」



「この先に何かいます…」



野々宮「何か?ゾンビか?」



「分かりません…」



野々宮もしゃがみ込み、木々の奥へと視線を向けた。



野々宮「施設までの距離は?」



「残り7~800メートル弱です」



野々宮「近いな 奴等の可能性もあるか?」



「はい」



野々宮はMPサブマシンガンのサイトをドットからスコープへと切り替え、覗いた。



倍率を徐々にあげ、ズームアップされていく視界



野々宮が辺りを見渡すがスコープに映るのは樹木や枯れ草、ひらひら舞い落ちる枯れ葉のみ



特に生物らしき姿を捉える事は出来なかった。



野々宮「何もいないぞ…勘違いじゃないのか?」



「いえ… 気配を感じました この先に何かいます」



野々宮「だが スコープで探ったが何もいないぞ…ん?」



野々宮の耳にある微かな音が聞こえた



「ギョエェェェ~ ギュエエェェ~」



それは殺したような小さな声だ



枯れ草が微かに揺れはじめ



草木の先に動きがある



その先に何かがいる…



すると



「ギュエエェェェェ~ ギュエエェェ~」



その声は大声量へと変わり、近づいてきた。

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