第85話 実力
和弓の矛先を素早くジャメヴに向けた御見内
御見内「悪いが急を要する これ以上おまえ等相手にのんびりやってる場合じゃないんだ」
ジャメヴ「知るかよ テメェーになくてもこっちにはあるんだよ」
「ううぅぅうぅぅ」
御見内「ならその引き金をひいてみろ 同時におまえの額にも矢が突き刺さるぞ」
距離3~4メートル
互いに弓とサブマシンガンを向け合い、その間にもゾンビ化したスピットファイヤが御見内へにじり寄る
御見内「周りをよく見てみろ おまえの所の人形が暴走して仲間を皆殺しにしていったぞ」
ジャメヴ「それがどうした… 知るか」
御見内「ほっとけば おまえ等の仲間が更に…」
ジャメヴ「おい だからそんな事知ったこっちゃねぇよ 誰が死のうが俺には関係ねぇー 俺はおまえに用があるんだ」
「ううぅぅうぅぅぅぅうぅぅ」
ゾンビ化したスピットファイヤとの距離も3~4メートル
ジャメヴ「テメェー よくも俺達の庭で好き勝手やってくれたな…しかもマル様達まで殺りやがった…」
御見内「マル様? あぁ~ あのザコいブタ兄弟の事か…それがどうした?」
ジャメヴ「テメェー 俺の崇拝するマル様達を殺して尚も侮辱しやがるとは…死んで償わせてやる」
御見内「そうかよ… それより ほれ!おまえのすぐ後ろに例の人形がいるけどホントに大丈夫なのか?」
ジャメヴ「あぁ?」
ほんの一瞬背後へと振り向かせたジャメヴ
だが…背後には誰もいない
その視線と意識が一瞬逸れた隙に
御見内は向かって来るスピットファイヤゾンビの黒フードの胸倉を素早く掴み、素早く引き寄せ、盾代わりに
また同時に手にする弓を手放し、懐から素早くマカロフを抜いて身構えていた。
ほんの一瞬の隙に2アクションを実行した御見内、マカロフの銃口がジャメヴへと向けられる。
90度キレイに背中まで折れ曲がったスピットファイヤの首
「ぅぅうぅぅぅぅうぅぅ」
逆さで目を見開かせたスピットファイヤが呻き声をあげながらジャメヴに向けられている。
御見内「さぁ~ どうする?まだやる気か?」
ジャメヴ「テメェー それで有利になったつもりかよ…ぶっ殺してやる」
ジャメヴが引き金をひき
PPー90が砲火された。
パラララララララララ
御見内は咄嗟に盾へと身を隠し、移動
スピットファイヤゾンビの顔面、背中に幾つもの銃穴が開かれる。
その間 御見内はゾンビを盾にしながら大木まで移動するやその木の陰へと隠れた。
盾代わりにされたスピットファイヤゾンビが脆くも崩れ落ちて行く中
ジャメヴが発砲しながらその大木へと近づき、裏手に周り込むや
突如飛び出してきた御見内
サブマシンガンの銃口が左腕で払いのけられ、右手で握るハンドガンのグリップ底で手首が叩打された。
それから素早く銃が握られたままの右の裏拳が放たれた。
サブマシンガンが手から離れ、とっさに腕でガードしたジャメヴ
ジャメヴ「ぐっ」
御見内がそのままジャメヴへと銃口を向けるや
上体を屈ませ懐に飛び込んで来たジャメヴからアッパーの拳が繰り出されてきた。
御見内は咄嗟にそれを見切り、後ろに反れて、回避する。
ジャメヴは腰に添えられたホルスターからタクティカルナイフを抜き出し、向かって来た。
だが… 寸前でジャメヴの額にマカロフが添えられた。
2人の動きがピタリと停止
無言で睨み合った。
そしてジャメヴが口角を緩め、薄ら笑みを浮かべるや
それを睨みつける御見内が押し付けるハンドガンをいきなり離し、後ろにポイッと投げ捨てた。
そして両拳を握り締め
ボクシングの構えを取りはじめた。
あえて銃を捨て、タクティカルナイフ相手に素手で挑もうとする御見内のふざけた行動に
舐めてんのかこの野郎……
睨みつけるジャメヴも目を合わせたまま、タクティカルナイフを投げ捨てた。
白兵から両者武器を捨て、急遽拳を交えた格闘戦に切り替わる
互いにボクシングのポーズを取り
互いに手が届く程の近接距離
互いに静止され、互いに先制を伺う
そしてファーストで手を出したのはジャメヴの方
左のジャブを繰り出してきた。
左 左 右のワンワンツー
御見内はジャブを右の拳で受け止め、ストレートは斜めへ身体をシフトダウンさせ回避。
数歩後退させ
再びファイティングポーズを取って、間を改めた両者
ジャメヴが構える両腕を前後へ微かに揺らし攻撃のタイミングをはかる
そして二度目もジャメヴが機先して攻勢に転じた。
ワンツーの2連続
御見内は後ろに後退しながら首を使ってこれらを回避した。
ジャメヴがステップインで前に出ながら次にワンジャブからのツー右フックを見舞ってきた。
御見内はこれらも腕と肘を使ってそれぞれ当て身のブロック
更に踏み込んできたジャメヴが2発目の右フックを繰り出すが…
これも掌を使ってはたき落とされた。
こいつ…
少々イラつき、目つきを変えたジャメヴは手数を増やし更なるインファイトを仕掛けてきた。
左ジャブ 左ストレート 左ショートフック 右ストレート 大振りな右ストレート
さっきよりもそこそこスピードを乗せた5連続の殴打
の筈だったが…御見内は冷静な顔つきでこれら全ても先程同様肘や腕、掌を巧み使って防御&首振りで軽々とかわした。
一発もヒット出来ず、早くも頭に血が登りはじめたジャメヴは躍起になり、今度は雑なモーションからの大振りなアッパーを放とうとした瞬間
パシン
御見内から1発のジャブが放たれ、鼻筋に入れられた。
そして動きを止めたジャメヴへ
御見内「どうした? まさかこれで本気とか言わないよな?」
その言葉に完全激怒したジャメヴが顔を真っ赤にさせ、再度動作
大振りな右フックを撃ち込んできた。
御見内はシフトウェイトを使ってこれも涼しげに回避
だが…
ジャメヴはかわされ空振った拳を寸止めさせ、今度は裏拳のように拳を往復させてきた。
空を殴りつけるただのシャドーと化した拳
御見内はこれも当然のようにかわしていた。
これだけ手数を出したにも関わらずまだ一発も頬に当てられずに虚しく空振りさせたジャメヴへ
上体を屈ませ、懐に入り込んだ御見内から…
ボディーが撃ち込まれた。
ジャメヴの顔が歪み…
軽い呼吸困難に陥る
みぞおちに拳が食い込み、膝を落としたジャメヴに対し、もう一度御見内が言葉を吐いた。
御見内「威勢がいいのは最初だけか?俺はまだ一発たりとも貰っていないぞ」
そう吐き捨て、バックステップで後退する。
ジャメヴ「ぐっ…ざけろテメェー まじ殺してやる」
咽せつつも、怒りで再起した。
そして怒りにまかせ、拳を振りかぶるのだが、これも腕で弾かれブロック
次いで頭突きを見舞うがこれもあっさりと防御される
ヤロ~……
また同時に金的への膝攻撃を繰り出すが、これも手で押さえ込まれ寸前で阻止された。
ジャメヴの攻撃はことごとく防がれ
そして御見内によって胸部が突き飛ばされ
ジャメヴがよろけた。
ジャメヴ「テメェーだけは…テメェーみてぇな奴だけは…ぜってぇ~~ うらぁ~」
激情したジャメヴは懲りずに食いかかり、右のミドルキックを放つのだが…
その蹴りがボディーに当たる寸間に今度は肘、膝によって上下から挟まれ防がれた。
ジャメヴ「ぐぅあ…」
挟撃で足にダメージを負ったジャメヴ
痛みの喚声をあげ、よろけながら後ずさる
ジャメヴ「なろぉ~ 殺…」
そしてジャメヴが顔を上げた時
シュ
ジャメヴの胸板に前蹴りが入れられた。
バシャン
蹴り飛ばされ、ジャメヴは泥にまみれた。
御見内「なぁ さっきから吠えてばかりいるけど実力はその程度か… 相手するのもそろそろいいか?」
見下す御見内を見上げるジャメヴ
常人なら戦意が削がれる歴然たる力の差を見せつけれ、臆する所なのだが、そこは怒りに呑まれたジャメヴ
冷静さを欠いていた。
平常心を無くしたジャメヴは怒り心頭な顔つきで、ある物を探した。
そしてそれを見つけるや拾い上げた。
ジャメヴ「テメェー 調子にのるなよ…」
握る手にはタクティカルナイフ
それを握り締め、ジャメヴが起き上がった。
ジャメヴ「メッタ刺しにしてやる」
そのナイフを振りかざし、突っ込んできた。
ジャメヴ「らああああ」
御見内目掛けて突進
タクティカルナイフで1刺ししようとした
御見内はその突き出されたナイフをかわし、懐へと入り込んだ
それから引手(袖)釣り手(襟元)をガッシリ両手で掴み、引き寄せるや、ジャメヴの上体を背負い
そこから豪快にジャメヴを投げつけた…
浮き上がり、キレイな放物線を描く脚
柔道技 諸手背負い投げでジャメヴが地面へと叩きつけられた。
ジャメヴ「くはっ」
試合なら文句なしの一本
ジャメヴを地面に叩きつけつつ御見内は反動で起き上がり、その場からゆっくりと離れた。
ジャメヴ「かはっ がは」
仰向けでぶっ倒れ、咽せかえるジャメヴを眼下にした御見内がハンドガンを拾い、懐に仕舞う
また落ちた弓を拾いあげようとしたその時
まるでゴキブリのようにカサカサと地を這い、移動したジャメヴ
ジャメヴは落ちたサブマシンガンを掴み…口にした。
ジャメヴ「ガハッ 間抜けめ カハッ これは殺し合いだぜ ようは最後に生き残った方が勝ちなんだよ」
そう…これは殺し合い…
死んだ方が負けだ
そう… 最初から最後まで間抜けなのはおまえの方だ…
ジャメヴがサブマシンガンの銃口を向けるより先に、弓の弦が引かれ、装填された矢先が既にジャメヴへと向けられていた。
ジャメヴの目が見開き
慌てて引き金を引こうとした その瞬時
心身共に洗練された構え
弓術八構の型 放つ直前の射の型
会が造られ…その型から…
離れ
弓矢が御見内の手から放れた
そしてジャメヴの額にグサリと的射された。
体躯と共にサブマシンガンが空を見上げ
パララララララ
弾が上空に放たれた。
残心 御見内が放ったままの残留の姿勢を保ち、そっと弓を下ろす
ジャメヴの身体がドサッと倒れ、永眠した。
御見内はスピットファイアの死体から懐をまさぐり、お目当てのアイテムを取り出した。
いかにも威力がありそうな大型拳銃スマイソンを…
それからもう一つ
懐から予備弾の詰まった紙型ケースを取り出した。
それを自らのポケットにバラでジャラジャラと入れてゆく
装弾、予備弾合わせて14発
十分だ…
残すはあいつのみ…
御見内はスマイソンを手にし、バスタードに戦いを挑む
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