第72話 衝突

パアン パン パン パン パァン



時速140キロもの高速で移動する車からの発砲



ほぼ横一列となって走行するテクニカルへ連続で放たれる。



御見内は真ん中、左へと交互に発砲するや



銃座の奴隷共が発砲にひるんだ



強風で髪がなびき、バイヴスも風に煽られながらの発砲を続ける…



パァン パァン パァン パン



銃座の奴隷にしっかり照準を合わせ撃ってるつもりなのだが



風の影響… 空気抵抗でデタラメに跳んでいく弾丸



一向に当たらない



バイヴスの発砲は…



車体にさえ…1発たりとも当てる事が出来なかった。



射撃の難しさを肌で感じつつ



御見内に言われた通り絶え間無く撃ち続けた。



パン パンパン



全く敵に当てる事は出来ないが…



発砲音が鳴る度 奴隷達は身を伏せ、警戒していた。



奴等の射撃が止まり、発砲を食い止めてる点では当たらずとも牽制は成功している。



奴等の射撃の手が止まり、プレッシャーを与えている…



当てられずとも威嚇射撃により1体のアタッカーを封じてる事を実感したバイヴス



なるほど… こうゆう事か…



発砲しながら自分の役割と御見内の意図を理解する事ができたバイヴス



バイヴスは銃撃阻止に専念した。



一方



後部席窓から身を乗り出す御見内は慣れた手つきで発砲していた。



パン パン パン パァン



マウスをクリックでもするかのようにトリガーが軽快に指で押され



手首への反動ももろともしない片手撃ちで、奴等に撃たせまいと交互に繰り返し威圧の銃弾を浴びせていた。



パン パン パン



何発か銃弾が命中するが微かにヒビが入るのみでビクともしないフロントガラス



ちょっとした防弾ガラスのようだ…



パン パァン パン ガチガチ



弾切れを起こした御見内は早業で弾倉を取り替え、そして間を与えず銃撃した。



パン パァン ガチ ガチ



またバイヴスも同様に



バイヴス「弾切れです」



御見内「ほれ 間を空けるな」



御見内からマガジンが投げ渡され、バイヴスも素早く交換



カチャ



発砲し続けた。



パァン パァン パン



ライフルの発砲をさせて貰えず、車体の陰に隠れる奴隷達



そして発砲を受け続ける3台のテクニカルが均等な横一列から徐々に列を乱しはじめた。



徐々にスピードを落とし、左右のテクニカルが散開を見せる



それを目にした御見内の眼孔が鋭く光った。



御見内「今何キロだ?」



メサイア「あぁ? 今140越えてるよ」



御見内「奴等銃撃を嫌がりスピードを落としやがった つかず離れずでこっちもスピードを落とせ」



メサイア「はぁ?んでだよ 今なら距離を離すチャンスじゃねえかよ」



御見内「いいから言う通りにやれ」



メサイア「テメェー 何企ててんだよ? 次はどんな無茶する気だ?」



パン パン パン



もうちょいだ…



パン パァン 



もうちょい広がれ…



確かに御見内は何かを狙っていた



パン パン パン



バイヴス「何する気ですか?」



御見内「アサルトライフル相手にハンドガンじゃ勝ち目が無い 撃ち合いじゃ不利だ だからあの武装車両は今ここで是が非でも潰しておきたい…」



パアン パアン パンパン



バイヴス「はい…」



御見内「なら どうやって潰すか…それには少々荒っぽくても敵の虚を突けばいいんだよ」



バイヴス「はぁ…え?つまり…」



御見内「まぁ 見とけ それより右のガンナーは一応町民だから致命は与えぬように腕や肩を狙えよ」



バイヴス「え?え?一体何する気ですか?」



テクニカルがゆっくりと▽の隊形にバラけ移動



パン パン パアン



もうちょいだ…



御見内「メサイア 90まで速度を落とせ そして俺の合図でブレーキをおもいっきり踏め」



メサイア「はぁ? んだと 馬鹿言うな そんな事したらクラッシュすんじゃねえかよ」



御見内「そうだよ クラッシュさせる」



メサイア「おいおいとち狂ってんじゃねえよ ぶつけるって…もうボロボロなのにスクラップになるぞ」



御見内「ちょっと小突く程度でいい そこはおまえの抜群の運転テクでカバー頼む… 真ん中のやつをソフトタッチで小突け」



メサイア「はぁ? 毎回毎回ふざけた事ぬかしやがって」



もうちょい…もうちょいだ…



御見内「2人共衝突に備えろ おまえは右だ いいな?」



バイヴスが唾を飲み込み頷いた。



そして3台のテクニカルがきれいな▽の図形を描き、移動した



御見内の思惑通りな配置に…



よし いまだ…



それを見計らった御見内が叫んだ



御見内「今だぁ ブレーキ踏めぇ~」



メサイア「クソォ~ テメェーとなんか心中しねぇーぞ ファッキン野郎がぁぁ~」



御見内の無茶ぶりにヤケクソな表情のメサイアが後ろを振り返り



ブレーキペダルを踏んだ。



キィィィィ



するとSUVが急ブレーキで失速



50キロまで下げられたSUVに真ん中ドストレートに位置するテクニカルが突っ込んで来た



御見内、バイヴスはその衝突に備え…



そして



ガシャーー  衝突させた



車内が激しく揺れるもメサイアの絶妙な速度調整と進入によりボディーが少しへこんだのみで損傷も少なく、スピンも横転も無い



きれいにぶつけられた。



すっぽり▽地帯の中心に入り込んだSUV



突如入り込んで来た車に奴隷達は完全に虚を突かれた。



そして左右のテクニカルの真横につけたSUVから…



銃座にいる奴隷の目に…



マカロフを身構える御見内とバイヴスの姿が映し出された。



超至近距離 これならどんなアホでも外さない絶好の距離…



パァン パァン パン 



御見内が弾丸を発射した。



奴隷の肩や腕、太股に撃ち込まれ崩れ落ちる。



パン パン



また同時にバイヴスもしっかり腕や脚に命中させ、奴隷を倒した。



パン パン



御見内はすかさず正面の奴隷にも撃ち込み



荷台でうずくまる奴隷達



銃座は完全に無力化された。

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