第62話 強行

マルモ「おにょれ~ よくも兄者を~」



怒り心頭な顔つきへと変わったマルモは、もう1人の門番の顔を踏み潰した。



御見内「醜いツラに磨きがかかったな……来いよ」



御見内の挑発に更に激昂したマルモは死したマルオのストレッチマスクを剥ぎ取り、自ら被り始めた。



御見内vsマルモ



ハンドガンを仕舞い、打根を身構える御見内は冷静な面持ちでマルモを目にする



すると マルモは拳を握り、ボクシングスタイルで構え始めた。



ほ~ 驚きだな… 俺と打撃でやろうってのか… 



タプタプ揺れる贅肉



マルモが風体には似つかぬ別人の様な身のこなしでフットワークを刻み始めた。



動けるブタか… まぁさっきのブタよりは少しだけやりそうか…



マルモ「なぶゅり殺しにしてやるっしゅ」



御見内「いいからさっさと来いよ…」



そして マルモが突進



巨大な肉弾のタックルで向かってきた。



思ったよりも早い動き…



御見内は避け切れず、それをブロックで受け止めるも、弾き飛ばされてしまった。



くっ…



吹き飛ばされ、床に倒れる身体



ゴロゴロ転がり、すぐに上体を起きあがらせたのだが…



又候 突っ込んで来た重戦車のタックルに



重ねて 御見内の躯体が跳ね飛ばされた。



バイヴス「お 重い… 手伝って下さい」



メサイア「あ あぁ~ 悪い」



メサイアが中断された半田の下ろし作業を続行しながら飛ばされる御見内を目にした。



メサイア「く… さっさとこいつを下ろそう」



仰向けに倒れ、腰を打ちつけた御見内が前方に目を配るとマルモがのしかかってきた。



そして馬乗りなグランドポジションから右の拳を強く握り締めながら口にした。



マルモ「ぽっくんのパンチュでブチュグチュに叩き潰しゅてやるっしゅよ」



怒りに満ちた鬼の形相で振り下ろされた右ストレート



御見内は素早くそれを両手で払いのけた。



するとマルモは今度は左の拳を大きく振りかぶり、左のストレートを炸裂



だが御見内はこれも両手で見事に打ち払い、すかさずマルモの鼻筋に裏拳を打ち込んだ。



裏拳を受けたマルモが静止



急にストレッチマスクを破り捨てるや鼻から一筋の血が垂れていた。



一層額に青筋が広がり、真っ赤に赤面する怒気に満ちた仏頂面



滑舌の悪さが増す口調で御見内を見下ろし



マルモ「にぎゃしゃないっしゅよ~ ぽっくんの怪力を舐めるなっしゅ」



そう吐き捨て御見内の首を掴んだ。



半田の下ろし作業を無事終えた2人



メサイアが目にした先にはまたも御見内のピンチな光景



メサイア「今度こそ ヤベェ」



懐からマカロフを取り出し、援護の射撃態勢で身構えたのだが



マルモが首根っこを掴んだまま、まるで盾にするように御見内の上体が持ち上げられた



やばい……



御見内は咄嗟に掴むその手の甲に打根の小槍を突き刺し、次いで手首の動脈を刺撃で切り裂いた。



…だが…



一向に動じる事無く加えられた力



凄まじい握力だ…



御見内「ぐはっ」



このままでは首の骨がへし折られる…



御見内は苦悶の表情でマルモの目を狙い小槍を構えるや



その手首も掴まれた。



マルモ「フー フー」



興奮した荒い息継ぎ



鼻息が御見内の顔に吹きかけられる中



骨は軋み、驚異的怪力で握り潰そうとするマルモの怒れる表情を苦悶な表情で目にする御見内



マルモ「兄者のかたきっしゅ~ へしゅ折って バラャバラャに解体してやるっしゅ~よ~」



そしてマルモが御見内の首をへし折りにかかろうとした瞬間



バスッ バスッ



ボリュームの抑えられた銃声が2発鳴った。



怒れるマルモの表情が一変、目を見開くや腹部から流れ出す血



贅肉に銃口が押し付けられ、発砲されていたのだ。



マルモ「はう…」



掴む手が離れ、腹部を押さえながら後ろ足で後退するマルモ…



痺れた首をさする御見内の手にマカロフが握られていた。



銃痕を確認したマルモは撃たれたにも関わらず怒れる表情を再発させ、吠えた



マルモ「おにょれ~ よくもぽっくんのきゃらだに~~ ぶっちぐちゅにぶっ潰しちょるっしゅよ~~」



腹部を撃たれながらも拳闘の構えを取ったマルモが大振りで拳を振りかぶり、襲いかかって来た。



だが…



猛獣の如くその突っ込むマルモの瞳に映りしは黒き銃口



その銃口から…



パァン パン



胸部に2発の銃弾が撃ち込まれた。



それから左の前蹴りが繰り出され



マルモの突進が完全に跳ね退けられた。



そして…



パン パァン



またも2発発射



腹部、胸部に弾丸が着弾された



マルモの肩が落ち、怯むと



御見内が身体を半転



バカァ



遠心をつけたバックスピンハイキックでマルモの頬を捕らえた。



パァン パン



そして間髪入れずにもう2発が発射された。



体勢が崩れ、巨漢が一歩また一歩と退いて行くのをゆっくり詰めて行く御見内



マルモ「はう……お…おにょれ~…」



マルモが最後の悪足掻きで両腕を広げ、御見内を捕まえようと襲い来る



その直前



マルモの口に銃口が突っ込まれた。



マルモ「ハガッ」



御見内「おい おまえ滑舌悪すぎてさっきから何言ってるか分からねぇーよ」



パァン



そして口内で引き金が引かれた。



マルモの後頭部から血が飛散され



ドスンと音をたて、仰向けに倒れ込む巨漢



御見内の眼下には変態兄弟の横たわりし死に体が2つ転がった。



バイヴス「す…すげぇ~す…あの恐ろしい兄弟を… 1人で…」



メサイア「あぁ…マジでやりやがった」



バイヴスが半田を背におぶし、メサイアと共に御見内に駆け寄った。



メサイア「おい 大丈夫か?」



御見内「あぁ ちょっと危なかったけどな…まぁ まずは中ボス一匹、二匹 退治って所だな」



3人で亡骸と化す兄弟を見下ろした。



御見内「半田さんは?」



バイヴス「回収成功です ここですよ」



おぶさる半田を示した。



御見内「よし とりあえず すぐにズラかろう」



御見内が無線に手を掛け



御見内「こちら御見内 半田さんを発見 半田さんは生きてます 無事に回収しました これからここを脱出します これより例の合流地点に向かいますんでよろしくです」



ポン吉「ザザッ マジすか?良かったです 合流了解しました お待ちしてます ザザ」



御見内「よし 行こう」



3人は隠し部屋を飛び出し、忌まわしい悪趣味な塊の冴子部屋を素早く通り抜けて行く



ショーケースに隔離された冴子のオモチャ道具となる男達を横目にした御見内



後で助けてやるから待ってろ…



救出を胸に誓い冴子ルームを出た



その矢先…



「おい!ここにいたぞ」



白きエプロンを纏った解体人らしき男が指差し、叫び声をあげていた。



その後 ぞろぞろと現れた解体人やら奴隷達



それから1人の黒フードが後から現れ、無線トランシーバーで連絡し始めた。



「侵入者を見つけた…冴子様の部屋前だ…ありったけの人数をよこせ、それとバスタードもだ…」



メサイア「まじかよ…これやべぇーな…」



御見内「解体人 半田さんを頼むぞ」



メサイア「どうする気だよ?」



御見内「強行突破するぞ」

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