第46話 住交

廃病院 1F  男子トイレ



ポン吉「凄い まさかホントにあのトラップをクリアー出来る人がいるなんて… 驚きです」



御見内「本番はこれからです 実際ここで何が行われてるのか…奴等の人数から奴等の武力、内情、その全てを探り出します」



川畑「御見内くん 川畑だ とりあえずおめでとう それらと平行してそこに潜り込んでる半田と言う男を探しだしてくれ 音信不通になってから時間が経ってる 安否が気懸かりだ」



御見内「分かりました これから並行して探し出します」



川畑「頼んだ それともう一つ そこを統治してるのはスナイパーの明神と…あの冴子という女だ 御見内くんはあの女に顔が割れてる 潜入はくれぐれも慎重に頼むよ」



御見内「えぇ 了解です 肝に銘じときます これからここの厄介な幹部クラスを俺が内部から削ります こいつらをいつでも討てる様にマツさんに戦争の準備を整えとくよう伝えておいて下さい」



川畑「頼もしいね 分かった マツさんには俺の方から伝えておく 御見内くん 期待してるぞ」



御見内「反撃の糸口は必ず作ってみせます しばし待機で」



川畑「了解した でわっ ここで福音を待つ オーバーだ」



通信を終えた御見内がフードを被るや廊下へと飛び出た。



深々と被られたフード



その格好で館内を歩き出す



館内には数人の黒フードと十数人の町民達



御見内はさりげなく歩き周り、奴等の人数チェックをおこなった。



黒フードが…1 2 3 4…



町民が…4…7…8…



「おい クソ奴隷共 さっさとその器材を上に運べ」



「くっせ この残飯半分腐ってんじゃん」



「それ上のゴミ共の配給分とここの奴隷共が食う飯だから別にいいだろ」



外は日差しが出てるというのに薄暗い館内



床は血と埃で汚れ、館内は埃が充満している



御見内はたまらず悪臭に口を手で覆った。



そんなむせてしまう程環境は劣悪と言えよう



しかも劣悪なのは環境だけではなさそうだ



恐らく監禁されてるだろう人達も酷い仕打ち、最悪な扱いを受けている…



それが容易に想像出来る



監禁されてる人達の状態も気になる…



早く助け出さねば…



自然に振る舞いつつ、周囲に目を配る御見内がふと館内のマップに目を留めた。



1階は大まかに分け、元MRIや内視鏡センター、救急医療センター、CT画像診断部などの医療施設に区分されている事が分かった。



そんな人助けの医療施設も今では奴等の寝床か… 町民をいたぶり傷つける遊び場と化している。



1階は見たとこ 黒フードが10人…



町民が30人って所か…



チーン



御見内の横である到着音が鳴った。



それはマップ横に位置するエレベーター



そのエレベーター2台の内1台はどうやら稼働してるようで



扉が開くと2人の黒フード野郎が台車を押しながら姿を現した。



台車にはバケツいっぱいに溜まる血生臭い肉片の塊や悪臭を放つ糞尿がタップタプに入れられ何処かに運ばれて行く



御見内はチラリと2人組の背中を見送り、開かれたその無人のEVに目を向けた。



そしてそれに飛び乗ろうとした瞬間



「おい…そこのおまえ…」



背後から誰ぞに呼び止められ、その足を止めた。



その間 勝手に閉まっていく扉、そしてエレベーターが上昇しだす



呼び止められ御見内に緊張が走った。



右の拳に力が入り



左手でリストバンドの解除の為、手を添えた。



目立つ行動は慎むよう言われたばかりだが…やむをえなければ…



始末する他ない…



御見内がゆっくり振り返ると、同じ衣装に身を包む1人の黒フードの男が近づいて来た。



すると



「なぁ ちょっと悪いんだが手伝って貰えないか?」



意外な問いかけに御見内は無言で頷いた。



「こっちだ ちょっとついて来てくれ」



リストバンドからそっと手を離した御見内がその男の手招きに応じ、ついて行った。



怪しまれた訳ではないようだ…



「おまえ… 見ない顔だな?名前は?」



御見内「名前?」



「そうだよ あるだろ ここに入る時につけたニックネームってかコードネームっていうか おまえ入りたての新入りか?」



御見内「あぁ ああ それか…ある…ハサウェイだ」



「ふ~ん ハサウェイか 俺の名はメサイヤってんだ 宜しくな」



御見内「あぁ 宜しく」



館内を歩き周る2人



何処へ連れて行かれるのか…?



バキッ ズシッ ドコッ



「オラァ~ 立てぇ サンドバックが立たなきゃ サンドバックと言わねえだろぉ~」



2人の町民を廊下に立たせ、半殺しで殴り続ける黒フードの姿



2人はその悲惨な光景を見ながら通り過ぎて行った。



メサイヤ「っかしここは日常胸糞悪くてしかたねぇ~ ここには頭がぶっ飛んだ ろくでもない奴ばかりだから辟易(へきえき)する おまえもあまり深く関わるなよ ってか知っててこんな所きたのか?」



御見内「あぁ…」



メサイヤ「中南米の刑務所よりタチが悪いこんな掃き溜めにか?…俺は抜け出せるもんなら抜け出したいけどな… まぁ 何にせよ分からない事があったら教えてやるから俺に聞け イカレた奴ばかりだから他の奴の話しには乗るな 誰も信用するなだ」



御見内「あぁ 了解した 助かるよ」



この男の口ぶりからして…



こいつら組織的に横の繋がり…連帯感は無いに等しい…か…



まさに有象無象な野次馬連…って訳だ…



付け入る隙は十分にありそうだな…



メサイヤがCT画像診断室とプレートに書かれた部屋に入って行った。



外から入る微かな日差しのみで薄暗い部屋の中



医療器具は全て取っ払われ、代わりに部屋いっぱいに山積みにされたダンボールやら箱らしき物が乱雑に置かれている



そんな物置場と化す部屋の中



メサイヤ「まじかよ…?整理してもいつもこうだよ…じつはこの中にSVD用の54R弾ってのがあるんだ…ずさんな管理でこの通り…いつもめちゃくちゃになってる 悪いがそれ探すの手伝ってくれないか?」



御見内「あぁ 分かった SVDの54R弾だな それって何に使うんだ?」



メサイヤ「明神さんって人に頼まれてな」



明神…?



目尻をピクリと動かした御見内



メサイヤ「あの人は屋上にたてこもってて殆ど下に降りて来ない こうやって弾が無くなる度に持って来いと使いっパシりにされる訳よ… それより何処行ったんだ?」



ガサゴソとダンボールを乱暴に引っ掻き回し、弾の詰まった箱を探すメサイヤ



その後ろ姿を目にする御見内が尋ねた。



御見内「なぁ さっき分からない事があればなんでも聞けって言ったよな?」



メサイヤ「あぁ…知ってる事ならな… あ~ うぜー 奴隷シバいて遊ぶよりまずは奴等にここの掃除をさせるべきだろ」



御見内「1つ2つ聞いてもいいか?」



メサイヤ「ちょ 手は動かせよハサウェイ」



御見内「あぁ」



無愛想な顔つきでダンボールをどかし箱の中身をチェックするメサイヤが気だるげに口にした。



メサイヤ「でっ……何が聞きたいって?」



御見内「ここの組織の目的は何だ?」

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