私は彼女がいて、私は女装をして

野口マッハ剛(ごう)

理由を探している

 彼女とデートをする前の一時間はメイクをする。


 メイクしている時の私は楽しいと思う。


 彼女からスマホにメッセージが入る。


 私は返事をしてメイクを続ける。


 理由を探している。


 私が女装をして彼女とデートする理由を。


 私はストレートのロングの髪をうしろで束ねる。


 服装も女性らしい。


 いつもの私だ。


 街に出て彼女とのデートの待ち合わせ場所に時間通りに着く。


 彼女がやって来た。


 ニコニコしている彼女は私と手をつなぐ。


 会話は歩きながらして、お互いに手を強く握っている。


「ねー? 今晩はホテルに泊まろ?」


 彼女からそう私に言った。


 私は何も言わずに笑顔で彼女の顔を見る。


 理由を探している。


 私は自分の女装を変だと思ったことはないし、彼女もおかしいと言ったことはなかった。


「いいよ?」


 私は彼女にそう言った。


 夕食はホテルの近くのレストランで。


 彼女の笑顔を見ると私は安心する。


 理由を探している。


 それから、ホテルに入る私たち。


 部屋の中に到着した。


 すると、彼女の方から私を求める。


 私もそれに答える。


 お互いに服を脱がせる。


 しかし、彼女は丸みを帯びた肉体で、私はきっと男の四角い体格をしているのだろう。


 お互いにキスをする。


 お互いに相手の体をさわる。


 理由を探している。


 私は男で女装をして彼女と今求め合っている。


 お互いの体の距離はゼロになる。


 行為が終わる。


 彼女はまだ私に抱かれたままである。


 私はきっとどこかで理由を探している。


 なぜ私は女装をするのか。


 理由を探している。


 私は彼女の頭をなでる。


 けれども、理由も答えも何も見つからない。


 私が女装をする理由。


 彼女がいてくれたら、それでいい。


 私は彼女がいて、私は女装をして、まだ私は男のままで。

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私は彼女がいて、私は女装をして 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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