フェアリーテイル

山口はな

老婆が糸車をまわしている。

物語を紡ぐのは老婆。

いや、紡がされているのだろうか?

今日もある物語が始まる。





少女は、星を手に入れてみたかった。幼なじみの少年にお願いした。

あのひときわ輝く赤い星を、私のために取ってきて と。

少年は、愛する少女のために旅に出た。

世界で一番高い山に登り。

空を飛ぶ方法を探し。

賢者に話を聞き。


ようやく見つけたのは、神々の元へと行く方法。


神に問う。

あの星を手に入れる方法を教えてください、と。

──人が星を手に入れることは、かなわない。

愛する少女が、欲しがっているのです。

──その少女は、お前を愛しているのか。

少年は、何を言われたのか理解できない。

──この子が星だ。

赤い髪の小さな少女が、そこにいた。

──少女に、会わせてみよ。


少年は、少女と手をつなぎ、愛する少女の元へと向かう。

その後、少年がどうなったか、誰も知らない。


ただ、地上から消えた村が一つ。


そして、赤い星の横にはいつの間にか青い星が並んでいた。

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