音信不通

@araki

第1話

 真夏日、猛暑、記録更新。

 そんな言葉をテレビから延々と聴かされた私は現在、机の上でぐったりしている。うだるような暑さの中、こんな日まで学校に来ている私を先生はもっと讃えるべきだと思う。なのに、

「お前、このままでいいのか?」

 高木が眉間に皺を寄せて私をじっと見つめている。私のために――師曰く――開いてくれた個人面談で、私は将来についてぐちぐち言われている真っ最中だ。

「この成績だとろくな大学に入れないぞ?」

「……だったら就――」

「間に合うわけないだろ。何よりそんな自堕落な人間を欲しがる会社はいない」

 ひどい言われようだ。けれど、それは事実だと私自身認めているから、仕方ない。

「もう少し……涼しくなってから考えますよ」

「その頃には考える必要がなくなってるから。頼むからしっかりしてくれ」

「うーん……」

 一応考える素振りは見せてみるも、暑さのせいでろくに頭が働かない。

 どうしたらいいのだろう?

 ――あっ、そうだ。

 不意に名案が浮かんだ。

「……決めました」

 私はすっくと立ち上がる。突然のことに驚く高木に、私は堂々と宣言した。

「アイス、買ってきます」

「座れ」

 その後、高木の説教が始まった。ありがたいお言葉。私はそれを蝉時雨と共に聞き流すことに決めた。

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