こんな思いするなら恋なんてしたくない。

中道たか

第1話すべてはこのスマホから

 外に出て、息を吐くと息は白くなって姿を現す。こんなに寒かったら外なんかに出たくない。しかし、政義まさよしはお母さんから頼まれたお遣いのため外に出ている。さっさとお遣いを終わらせて暖かい暖房機に当たって、こたつの中にもぐりたい。

 お店についた。頼まれた物は、人参、玉ねぎ、じゃがいも、お肉、カレーのルー、だ。今日の晩御飯は何か想像はつく。

 スマホを見ると通知が来ている。見てみると、TwitterのDM《ダイレクトメッセージ》が来ていた。


『学校、お疲れ様!今何しているの?』


 みすずからだ。彼女の顔は写真で送ってもらって見たことはある。年齢は僕と同じ15歳で高校一年生だ。僕は、福岡の博多駅の近くに住んでいる。彼女はどこに住んでいるか聞いてみたら山口の下関に住んでいるそうだ。結構、近い。会おうと思えば会える距離である。

 彼女とDMでやり取りして約1か月経とうとしている。正確には30日。

 なぜ、やり取りするようになったかというと、僕は趣味でマジックをしている。撮った動画をTwitterにアップロードして、みんなからアドバイスをもらおうとしてやっていたのだ。そこにみすずがいつもリプをくれて「どうなってるの?」「すごすぎ!」など、素直で率直な意見を送ってくれていた。DMでお礼のメッセージを送ると今日こんにちまで会話が続いた。


『今はお母さんにお遣いを頼まれたからお店にいるよ。もう会計も終わったからもう帰る!外はバリ寒いから急いで帰ろ(笑)』


 ぼくは返信をして、お店を後にした。


 すぐにみすずから返信が来た。


『お遣い偉い!そうだ!LINE交換しない?通話で話したいな!』


 ネットの人とLINE交換って大丈夫かな。僕は考えた。

 中学生の時に授業や講演会で「ネットの人は危ない。」、「なりすましの可能性もあるから疑いを常に持ちなさい。」などと言われてきた。

 しかし、彼女とは一か月前からDMで話して今は、なんとなく親近感がわいている。

 悩んだ結果、僕は

『いいよ!交換しよ!QRコード送るね!』


 そう返事をした。


 彼女は僕をLINE追加したらしく、通知が来た。


『♡みすず♡がQRコードであなたを追加しました。』



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