第9話 異世界はユートピアか

 異世界転生ものが好きな読者の中には、自分も異世界に転生してみたい! という願望を漠然と持ったことがあるかもしれません。

 しかし異世界転生ものによくある定番の設定に魔物や魔王的な存在があります。普通の丸腰の人間が出会えばまず勝ち目はないような存在です。転生した直後にこのような相手に遭遇すれば瞬殺されてしまうかもしれません。経験を積んだ勇者や魔法使いなどでしたら打ち勝つことができるかもしれませんが。


 街の外を出ればそういう魔物が跋扈ばっこする世界です。特別に強い力を持たない一般市民や農民などの目線に立って眺めてみればここは結構恐ろしい世界ではないかと思うのです。一般市民や農民たちは普段どのように自身の身を守っているのかよくわかりません。

 勇者等が数名で討伐しにいくのがこの世界での約束事なのだとは思いますが、それにしても魔物の方の数が多くて十分に手が回らないような感じもします。 

 このような世界で文化や文明、国家制度などが長期間にわたって存続するのは難しいんじゃないかとも思ったりしてしまいます。

 超強い魔王とかドラゴンとかその気になって大暴れしたら人類滅亡しそうな感じも。

 


 強力な力を持っている転生した主人公目線からすれば、この異世界は いろいろと活躍ができ それによって周囲からの尊敬や賞賛をうけることのできるユートピアのような舞台にも思えます。しかし強い力を持たない一般市民や農民目線からみるとこの世界はむしろディストピアのようにも思えるのです。

 人間だけでなく、例えば弱い魔物の目線から見ても、ある時突然剣や魔法を使う人間たちがやってきて いきなり問答無用に攻撃をかけてくる、、、ということになるでしょう。その魔物自身が人間に害を加えているためにそのような仕打ちを受けているなら、まだ仕方がないのかもしれませんが、基本的に殺される魔物個々のそういう因果関係ははっきりしないものも多いと思います。ひょっとしたら退治された弱い魔物の中には「なぜ自分がいきなり人間に理不尽に殺されなければならないんだ」と思っているのかもしれません。なんか考えすぎ? 魔物退治は勇者等の経験値稼ぎやアイテムなどの取得としての側面が大きいです。それを言えばRPGゲームがそういうものなのですが。

 

 異世界というのは主人公にとってはユートピアではあっても、それ以外の存在にとってはどうなのかな、、、と考えたりしてしまいました。

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