第21羽 占いババァ?
僕はイースターさんとソニカを家に残して、市場に来ていた。イースターさんたちのために、様々な野菜や、果物を沢山買っていった。
一通り買い終わった後、まだお昼ご飯の時間には、まだ時間があったので、ぼぉーと色々なものを見て回ろう。
僕は良い匂いのした串焼き屋さんで、ブーブリックと言う豚の魔物の串焼きを食べながら、屋台を見ていると、なんか変な羽のような紋章が刻んだ看板が、黒い三角テントが目に入ったので、中を覗いてみた。
「あのぉーー誰か居ますかぁ?」
「ほぉーほぉっほぉっほぉ。今日初めてのお客は、随分と
見るからに魔法使いのおばぁちゃんって感じの、おばちゃんが座っていた。格好は、すごく縦に長い紫色の三角帽子を被って、黒いローブを羽織っていた、見た目92歳くらいのおばちゃん。
「ほれ、そんなとこで突っ立ってらんと、そこの椅子に座りや」
「失礼します」
僕は水晶の置いてある机の前に備えつけてあった、木の椅子に腰かけた。
「お主は、実は男じゃな」
「あ、はい」
この世界に来て初めてだ、僕が男だって分かった人は、そういえば孤児院の人たちに、未だに女だと思われてんだよな。あまり気にしてないけど。
「貴女は何をしてるんですか?」
「ほぉっほぉっほぉ。俺は、占いと魔法適性審査をしとるんじゃ。どっちもやってみるかい?」
んーーーそれじゃあ、お願いしてみよう。
「やるようじゃな。それじゃあ、まずはお主の魔法適性審査をしてやろぅ。その右にあるナイフで、指先を少しきぃて、その器に血を垂らしてくれ」
僕は言われた通りに、そのナイフで指先を切り、血をその平たい器に3滴ほど垂らし、その器を魔バァに渡すと、何かぶつぶつと詠唱を始めた。
「俺は、
赤く染まっていた水が、白緑色へと変わって行った。……で、どうなの?何この間は?僕の魔法って生活魔法だから、何の診断なのか全然わからないんだけど。
「ほぉっほぉっほぉ、お主からは、優しい波動を感じる。これは回復系の魔法を、将来覚えれるかも知れねぇなぁ」
将来ってことは、あれかレベルが200上がることに貰えるスキルが、もしかしたら回復系ってことかな?回復、回復かぁ〜僕は、何処まで行っても、補助キャラなんだなぁ。
「なんじゃ?嬉しゅうないのか?回復系は、滅多にないぞ」
「ははは…」
そうなんだ。でも僕は、イースターさんを守れるような、攻撃系の魔法が将来手に入ると、心の何処かで、淡い期待をしてたんだけどな。
「仕方ないのぉ〜それじゃあ、お主の未来も見てやるのじゃ。ど〜れ〜俺は、
今度は水晶が光り出し、それを見つめる魔バァ。僕も見つめてみるけど、全然わからない。
「どうなの?」
「そうじゃのう、お主の未来には、大変な試練が待っておる、だがその試練を乗り越えれば、未来は明るいと出ておる。そうじゃ、これはお守りじゃ。お主にやる」
僕は魔バァから手渡されたのは赤い糸だった。なんの変哲も無い赤い糸だ。鑑定で見ても、なんの効果も無い。なんかのおまじないかなんかなんだろう。
「うん、貰っとくね。あ!!もうこんな時間だ!」
机の横にセットしてあった時計に目がいった。現在時刻11時50分と、時計の針は指していた。なので僕は、魔バァにお礼と、少しのお金を置いて店から出て行った。
「ふふふ、慌てん坊さんね。彼の未来に光りがあらんことを…」
僕は家の方向に走る途中、あることを思い出した。
「あ!僕の分のご飯買うの忘れてた!!」
僕は来た道を戻っていると、先程まで僕がいたテントの横で足を止めた。
そこには何も無かった。僕が行ってから、まだ5分もたってないはずなのに、跡形もなくテントは無くなり、空き地になっていた。
僕は近くに屋台を出していたお兄さんに、あのテントが何処に行ったのか尋ねることにした。
「あのぉ、あそこにあったテントしりませんか?」
「?そこには、何も無かったぞ。おまえリェフォックスにでも、化かされたか?」
僕は頭を抑えながら、その屋台でお昼ご飯ように、川に住む魚のサンドイッチを、2つ買って家の方向に向かって歩く。
「僕は夢でも、見ていたのだろうか……いや、確かに魔バァは居たはずなんだ。居たはずだ」
僕は左手首に巻かれていた赤い糸に気がついた。これは、先程魔バァから貰ったものだ。それを見ながら、真っ直ぐ家に帰るのであった。
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