『133、モックルデン伯爵邸 (Ⅱ)』

全部で7枚か・・・。

次の板に移る前に数を数えておこうと思ったら、7枚もあって驚いた。

俺は文章を読むのは早い方じゃないんだけど。


とりあえず2枚目の板に書かれている文章を読んだら屋敷の中に入るか。

伯爵をいつまでも外に放置しておくわけにもいかないし。


『2つ目はライフ・バーン。通称の呼び方は、“最終奥義・生命燃焼式魔法だ』

『名の通り、命を燃やして魔法の出力を跳ね上げる魔法である』

『開発者はミラと名乗る女性で、年齢は不詳。グラッザド王国の王城にいるという』


えっと・・・この文章に書かれている女性ってミラさん?

グラッザド王国の王城にミラなる女性は彼女しかいないから、そうなのだろうが。


まさか開発者だったとは。

そうなると疑問がいくつか出て来る。


まず、ミラさんの口ぶりからしてライフ・バーンを世に広めようとは思っていなかった。

だったら誰がリアンの友人やイルマスの騎士たちに教えたのか。


次に、どうしてイグルや俺たちがエルフの国に行くのを許したのかということだ。

古代魔法で有名なモックルデン伯爵家ならば、石碑の場所を知っているかもしれない。

最終的にイグルはそう考えるはずだ。


そして伯爵邸を訪れたら、この文章を目に入れる可能性が高まるわけで。

よくエルフの国に行くことを許したよね。

しかもイグルについては自らの指示で行かせているし。


「リレン、修理が終わったわ。屋敷に入ってこれからのことを話し合いましょう」

「分かった。伯爵も連れていくから部屋を用意してくれない?」


アリナお姉さまに部屋の確保をお願いした俺は、風魔法で伯爵を屋敷に連れ込む。

そのまま用意してもらった部屋にぶち込んで鍵をかけた。

みんなが集まっているリビングに戻った俺は、みんなの前で板を出して見せる。


「凄い・・・。これで古代魔法の謎が解けるのね」

「3枚目を見てみましょうか。まだ龍魔法とライフ・バーンの謎しか分かってないわ」


アスネお姉さまの提案で3枚目に目を移す。

この板以降の文章はやけに長いのが気になるが、今はいいだろう。


『古代魔法の3つ目はオーハス法という魔法だ。いわゆる一般的な古代魔法』

『音楽魔法、隠蔽魔法、幻影魔法などその種類は多岐にわたる』

『その中で最も有名なのはマーナス家が使う精神対話魔法だと言えるだろう』


ここで終わっている。

つまり4枚目の板には精神対話魔法とかいうのが書かれているというわけか。


「私たちが使える魔法ってオーハス法っていうのね」

「グラッザド王国ではこの魔法が主流なんですか」


ツバーナが驚いたように言う。

イルマス教国でもそうだったが、エルフの国では龍魔法が主流だからね。

そう思ってしまうのも無理は無いだろう。

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