第8話 かわいいお獅子に頭を噛んでもらった!

 最高にほほえましく、希望にあふれた演目だった。


 小学生低学年のちっちゃな男の子が、力強く囃子太鼓を打つ姿は、その上の学年の女の子に負けてない。

 ということは、彼は実力者ということだな。うむうむ。


 横笛の四人の演奏は、正直あまり聴いていなかった。

 初舞台だというのに、すまない。

 わたくし、太鼓の音に魅せられてしまったの。

 そういう性質なの。


 そして獅子舞。

 身軽そうな男の子の脚が、唐草模様の風呂敷マント? からにょっきりのぞいていて、演技もそれぞれ個性的でかわいかった。

 やけに芸達者な印象をうける、背の控えめな男の子は、茶色のたてがみのお獅子を舞っていたのだけど……横の背の高い男の子のほうが、金髪のお獅子でふらふらと派手に動くので、対照的に映る。

 技術で勝るか、華やかさで勝るか、といったところ。

 どちらも、表情が自由で軽やか。

 なんだか、お友達なのかな、ライバルなのかな、このお二人は。

 客席に降りてきて、金色の歯で頭を噛んでくれる。

 素直に、うれしい。

 幼い頃は、正月に笛の音と共に、でっかいお獅子が家に来て、わたくしなんぞはピーピー叫びながら、妹と一緒にクローゼットのスペースを争いながら、逃げ回ったものだが。

 こちらのお獅子はちっちゃくて、ほわっとうれしい気持ちがわいてくる。

 頭がよくなるといいな。

 あちらは、ナイスコンビだ。

 ひょっとこ面につけかえてるときも、二人が並んでいるだけで、あ、あの二人だ! とわかる。



 キャラクターとしては、手足が長く、すらっと背が高い方が、派手で目立つからこちらをとりあげないほうはない。

 しかし、手足が短く、伸びしろがこれ以上ないのではないか、というほど華奢な相方も気になるところ。

 これは……コンビであることに、意義があるのではないか?

 表情豊かな舞にほのぼの。



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