三日目の鳥肌  2018.10.4

髪の毛が、

少なくなったと

いわれても、

唇をかむ

それだけのことが、

限界でした。


鳥肌が、立ったのです


「 ゆうくんさ 」

なんて呼んでも

だれひとり、

心を呼んでは、

いないでしょう


「 くだらない詩ね 」


先生の右腕は、一体どこにいったのですか

と、私は聞いたことがあります


「 先生ね、右腕にだけ鳥肌が立ってたの

なんどもなんども鳥肌がたってたの、右腕

そしたら不思議よゆうくん、右腕

なくなっちゃったの、わけわかんないね、

ね、ね 」


そういった先生の

左腕に、鳥肌が立った

のを、

私は見逃しませんでした。

消えかけてるんだ、


毛深い子、

そういわれては

笑われて

ナイフをあてた

(じょりじょりじょり

     うまく 剃れません)

胸のぽつぽつ

みんな、笑った

(おいおいあいつ

     胸の毛を 剃ってるぜ)


鳥肌が、立ちました


太ってるんだから

そんな恰好

やめなさい。

あなたにだけは、

似合いません。


「 ありがとうございます 」


およそ何年も経ったある日、

尋ねてみたことが、

あります。


「やっぱ太ってんのかな 」

何度目かのため息をはいて、

「 太ってないって、なんどもいったじゃん

ふつうだよ 」

少し悲し気に

そういい、ました。

惨めな僕は

「ごめん」

唇を噛んで

胸の隅っこ

つぶやいた。


十年経って,

私も大人に

なりました。


太ってる気がして、

なりません。


鳥肌が立ちますか


あの先生の鳥肌が

恋しく、

なりました。

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