甘噛みは妄想の産物として 2018.9.18

ぼくは男の子なので、女の子を見ると甘噛みされたい衝動に駆られるのが業です



途端に非難を轟々されるので、やっぱり嘘です


嘘ですって。


ところ


ぼくが初めて恋をしたあの女の子はお元気ですか


ぼくは嫌われてしまった(は、ははっ)

けれど、あいつとは今でも続いてるって。



お願いですから、この一遍は、真剣にきいてください。きいてください。現在はここです

いいですか、お願いですから、一生懸命きいてください。お願いです。短いですけど、これが今です。短いですけど、それでは。


「甘噛みされたくないだなんて」


甘噛みされたくない

だなんて

 

5月の山茶花が犬に食われた日

テレビドラマの主役は言った

「ヒマワリの準備をしよう!」

反射する海に怒りをぶつけてしまった日

太陽の言い訳を聞くのも大事な役目です

「僕の所為でやけどをしたって、そいつは仕方がないよ。ところで君は、少しくらい韻を踏んでくれないかな。体裁ってもんがあるだろ?」


山茶花が、枯れた。

僕もまた、次の夢を待つ


甘噛みされたくない

だなんて


ある朝に復讐するまでは。


   ※


詩は、以上

に、なります

詩の生まれた言葉のさきっちょ

その出自は、何処にあったのでしょう。


「甘噛みですよ」

「そうですね」


「弁解でしたか(詩)」

「そうでしたよ(詩)」


「足りましたか(言葉)」

「詩を書くの、なんかとっても、疲れます(言葉)」


   ※


甘噛みされた日の記憶を

堀り、

意識と視界に訴えた、五感は拒絶した。


そういえば5年前の今日は。


5年後の今日は。


詩があって、おわり



【参考】

ボリス・ヴィアン著/伊藤守男・村上香住子訳『ボリス・ヴィアン全集9 ぼくはくたばりたくない』早川書房1981.10



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