第46話 黒の鎧
「王よ、そろそろ頃合です!戦争が始まるのもあと1日です作戦を決行してもよろしいでしょうか?」
怪しい男が王様と2人で何かを話している。
「よい!ルナには気づかれるなよ」
「承知しました」
怪し男が王室から退出した。誰もいなくなった王室でグライスト国王は独り言をいう。
「戦争は当然グライスト王国が勝つ!ついでに反逆者を捕まえ晒し者にし国民からの支持も得る!割れながら完璧なシナリオだな!」
戦争前日、葉留はいつも通りルナと訓練をしていた。
「いいわ!もっとよ!もっと考えて予測して攻撃してきなさい」
薄笑いで葉留の連撃を剣で受けるルナ。素性は明かさないがかなりの強者である。
「今日こそは1発当ててやる!!」
まだ葉留はルナに一撃も入れることが出来ていない。朝から訓練を始めちょうど昼になった。
「そろそろお昼にしましょうか!空腹じゃ戦闘はできないわ」
「やっと昼だ!お腹減った!」
ルナはお昼のお弁当を取ろうとした時額から汗が1滴こぼれた。
「私に汗をかかせるなんて……だいぶ強くなったね」
ルナは葉留に聞こえないように葉留を褒めた。
「ではいただきましょ」
「いただきます!!」
葉留は勢いよく弁当を食べ始めた。それを見たルナが。
「毎日よく食べるわね--では私もいただこうかしら」
そう言い弁当を持った瞬間部屋をノックする音が聞こえた。とっさにルナは葉留に隠れるように伝えた。葉留は頷き部屋の物陰に隠れた。
「入れ!」
兵士が扉を開け部屋の中に入った。
「申し上げます!戦争準備の指揮を取ってもらいたいとの事です!いかが致しましょうか?」
ルナは不満な顔をしたが。
「分かったすぐ行く」
「お待ちしております!」
兵士は部屋を出ていった。それを確認したルナは葉留に初めて明日戦争が起きる事を話した。
「葉留……隠していてごめんなさい、実は明日カタルシアとグライスト王国とで戦争が起きる--だが葉留はここに残って私が帰るのを待っていて欲しい」
葉留はその戦争に真矢と桜が参加している可能性があると思った。
「先生!俺も戦争に連れて行ってくれないか!」
だがルナは真剣な面持ちで言った。
「だめ、戦火の中に葉留の仲間がいたら私はその子達を必ず保護する!だからお願いだからあなたはここに残って」
葉留ルナの事を最初は変な奴だと思っていたが訓練を重ねるうちに尊敬する存在に変わっていた。そんな存在のルナがそこまで言うなら葉留はそれに従うしかなかった。
「分かった……先生絶対死なないでください!後俺の仲間の事もよろしくお願いします!」
「任せなさい!私はあなたの先生よ、負けるはずがないでしょ!」
そう言いルナ部屋を出ていった。
誰もいなくなった部屋で葉留は1人ルナとの訓練の課題を思い出し剣を振っていた。
ルナが出ていきしばらくした頃部屋のドアノブを回し誰かが部屋に入ってきた。
葉留はルナが忘れ物でもしたのだろうと思い隠れなかった。が、部屋に入ってきたのは黒い鎧を纏った兵士だった。
兵士の数は3人、葉留急ぎ剣を構えた。
「なんだお前たち!ここはルナの部屋だぞ!」
葉留の言葉に耳も貸さず3人の兵士は躊躇なく襲ってきた。
葉留は必死で抵抗したが黒い鎧の兵士は強すぎた。
グライスト王国の兵士には3つの鎧の色がある。
銅の鎧--門兵を含む下級兵士。
金の鎧--王宮や身分の高い貴族を守る中級の兵士。
黒の鎧--王の指示でしか動く事がなく暗殺や人前には出ずに行動する上級兵士。
「くそ、せっかくルナが助けてくれたのに俺はまた……」
今の葉留には黒の鎧を1人相手するのも無理な強さであり当然葉留は負けてしまい兵士の打撃1発で意識を失ってしまった。
黒の組織の兵士は葉留を担ぎルナの部屋を出ていった。そして葉留は王宮のどこかの部屋に連れていかれてしまった。
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