伝説‥39話〜策略とバトル‥②

 リュウキとクロノアはクロムを警戒しながら向かって来るギュミルに刀と杖を向けた…。


 それを見たギュミルは近くまで来るが2人を警戒し間合を取った。


 クロムはリュウキとクロノアの出方を伺っていた。


「クロノア…思ったよりお前の攻撃…アイツには効かなかったみたいだな……。」


「少し手加減し過ぎたかもね……でも、リュウキの方は大丈夫そうなの?」


「ふぅ…どうだろうな……この様子だと…少し予定変更した方がいいかもしれないな…。」


「確かにね…やっぱり…生身の人間相手だと…思った通りになかなかいかないね…。」


「んー…クロノア……ギュミルを頼む…俺はクロムをやる…。」


「そうね…その方がいいわね……。」


 クロノアは杖をギュミルに向け、リュウキはクロムの方を向き、両手の刀を構え直した。


 リュウキとクロノアは背中合わせになりクロムとギュミルが近づいてくるのを待った。


(さて…うまく罠に掛かるかどうか……。)


 クロムはリュウキの動きを警戒しながら恐る恐る近づいて来た。


(今度は何を考えている……。)


 ギュミルはクロノアの出方を伺いながらクロムの方に近づいて行った。


(クッ…なんなんだ…コイツらの動きが読めない……。)


 クロノアはそれを見ると、リュウキと背中合わせのまま右手に杖を翳し、ギュミルとクロムに気づかれないように左手で二回トントンとリュウキの背中を軽く叩き合図した。


 リュウキはそれを確認するとすかさず地面をトントンと2回左足で軽くふみ鳴らした。


 すると既に仕掛けておいた魔法陣がギュミルとクロムの真下に現れた。


 それを確認するとリュウキは左手の刀を腰の鞘に納め左手を翳し、


 《トリック チェーン‼︎》


 と呪文を唱えると、ギュミルとクロムの真下に現れた魔法陣が光り出し、鎖が2人の両脚の外側から2本づつ螺旋を描く様に交差しながら現れたと思うと2人の足に蛇のように絡まった。


 その鎖はギュミルとクロムを捕えると締め付けた。


 ギュミルとクロムは余りにも一瞬の事で、何も出来ず鎖に締め付けられ余りの痛さに動こうとするが、そのまま尻餅をついてしまった。


「クソッ…お前ら〜……これは何のつもりだ⁉︎」


「クッ…俺達を馬鹿にしてるのか……それにリュウキ……まさかとは思うが…その一対の刀を出したのは…フェイクか?」


「さあな……まぁ…アンタが言う通り半分はフェイクで…後の半分は用心のためだ…。」


 リュウキとクロノアはギュミルとクロムの側まで近づいた。


「なるほどな…それで……俺達をどうするつもりだ?」


「そうね…どうしようかなぁ…。」


「そうだな…俺達はちゃんとした理由を聞きたい……いや…何でそこまで俺達、異世界から来た者を…そうまでして嫌うのか聞きたい……。」


 リュウキはクロムの目の前に行き、中腰になり目線を合わせた。


 クロノアはギュミルを見た後、リュウキとクロムの方を見た…その時…急に空が暗くなり雷の音が聞こえたと思うとリュウキとクロノアを稲妻が襲った。


 リュウキとクロノアが気づいた時には既に目の前まで稲妻が来ていた。


「クッ…これは……クロノア……。」


 一瞬の事でクロノアはその場で立ちすくんでいた。


(クソッ…このままじゃ……。)


 リュウキは余りに突然の事で何も考えられず、身体が勝手に動き、咄嗟に腰に収めていた刀を鞘から抜き上に翳しながら、クロノアの側に駆け寄り突き飛ばし、稲妻はリュウキの両方の刀に落ちた。


 リュウキの両方の刀が避雷針代わりとなり、稲妻の衝撃を和らげた。


 稲妻の衝撃により刀は粉々に灰と化したが、その代わりリュウキは稲妻の直撃の被害を避ける事が出来た。


「うっ………。」


 だが、リュウキは両腕の肘まで黒く焼け焦げた。


 リュウキは余りの痛さに声も出なくなり、そのまま地面に倒れ込んだ。


(クッ…いてぇぇ……はぁ、はぁ…クソッ…な、何なんだよ……他にも誰かいたって事か?…はぁ、はぁ…それとも後から誰かがコイツらを助けに来たって事なのか?…はぁ、はぁ、はぁ…。)


 クロノアは一瞬何が起きたか分からなかったが、リュウキがうずくまっているのを見て辺りを見渡した。


 リュウキの方に駆け寄り、心配そうに覗き込みながら、手持ちの回復薬と何かアイテムがないかとバックを確認した。


「ちょ、ちょっと何なのよ……何でアンタが私なんか助けてこんな大怪我するわけ?」


 クロノアは泣きそうな顔をしていた…リュウキは半目でそれを見ていた。


 バックの中からクロノアはリュウキに回復薬をみつけ飲ませ傷薬を腕の火傷に無造作に塗った。


「い、いでぇぇぇ〜…はぁ、はぁ……あ、あのな…はぁ、まあいいか…クロノアありがとな……お陰で、何とか喋れるようになった…。」


「それより…傷薬と回復薬飲んでも……やっぱり…ゲームと違うから…直ぐに回復しないみたいだけど…大丈夫なの?」


 クロノアは辺りを見渡し警戒していた。


「確かに…だが……クロノアのお陰で何とか動けそうだ……だけど…攻撃して来た奴は、何処に隠れている?」


 リュウキは辺りを見渡しながらギュミルとクロムを見たのだった…。

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