第329話 やらかしてしまったニーナと俺

 結論から言おう。

 ニーナは凄かった。

 初めてだというのに、正面から俺に抱きつき、Gランクの胸をこれでもかと押し付けてくる。

 そんなニーナを両手で抱きかかえ、立ったまま……まぁ要は俺もニーナも我を忘れて、求め合ってしまった訳で。

 その結果、互いに三回くらい達した後、


「……で、ヘンリーはここに何しに来たの? 王女という立場で、そういう事をしたくても自由に出来ない私に嫌がらせなのかしら?」


 小部屋に入って来たフロウに思いっきり見られ、ニーナと共に正座させられていた。


「やっぱりヘンリーは大きな胸の女の子が好きなのよね。以前も司書係のシャロンとエッチな事をしていたわよね?」

「いえ、シャロンは軽い運動をしていただけですよ」

「へぇ。じゃあ、さっきしていたのも軽い運動? 何だか汗とは違う凄い匂いがするけど」

「すみませんでした」

「まぁいいわ。で、ヘンリーは何をしに来たの? まさか、さっきの様子を見せつけに来ただけではないんでしょう? もし、それだけだったら極刑ものだけど」


 自業自得なのだが、フロウが怖い。

 背後に何やら黒いオーラが見えているような気もするし。


「えっと、報告が二つあります。一つは、以前にお話しさせていただいた聖剣の話で、現在ドワーフの国で、聖銀を使って剣を打ってもらっています」

「わかったわ。一先ず、その聖剣はヘンリーが持っていて良いでしょう。聖銀を採って来たのも、ドワーフを探しだしたのもヘンリーだしね」

「ありがとうございます。それと、もう一つの報告が……先程、とんでもない所をお見せしてしまい大変申し訳なかったのですが、実はこのニーナと結婚しました」

「………………は?」

「ですから、ニーナと結婚しました。あと、今日は連れてきておりませんが、他の者とも」

「はぁ? ど、どういう事なのっ!?」

「実は、ドワーフの国が一夫多妻制で、聖剣を打ってもらうにあたって、ドワーフの娘と結婚させられる事になり、そこで色々とありまして」


 厳密には、聖剣を打って貰う為にラウラと結婚した訳ではないのだが、ややこしくなるので割愛しておいた。

 いずれにせよ、ラウラが俺の妻である事に変わりはないし、今となってはちゃんと愛している訳だし。


「…………わかりました。要は結婚報告ですね。今日はもういいです。出ていきなさい」

「フローレンス様……?」

「いいから、出て行って!」


 これまでにないくらいに、フロウが怒り、部屋を追い出された。

 まぁお城の一室で、部下二人が夫婦の営みをしていたら、そりゃあ怒るよな。


「ヘンリーさん、ごめんなさい。ボクがワガママを言ったばっかりに」

「いや、違うぞ。あれは、俺も悪かった。ニーナとのイチャイチャが良過ぎて、つい我を忘れてしまったし」

「えへへ……す、凄かったです。クレアさん……は元からヘンリーさんに好意を抱いていたけど、他の奥さんたちが、あんなにヘンリーさんの事を求める理由がよく分かりましたよー」

「ふふっ……じゃあ、今夜はニーナも一緒にするか?」

「はいっ! これから、ボクも毎晩愛してくださいっ!」


 王宮の廊下を歩きながら、ニーナとイチャイチャしていると、


『ヘンリーさん。反省って言葉を知っていますか?』


 突然アオイから怒られてしまった。


(いや、もちろん知っているが?)

『私には少しも反省していないように思えますが……それはさておき、気付かれましたか?』

(ん? 何にだ?)

『何って……ヘンリーさん。結婚してから、かなり腑抜けになりましたよね。大丈夫ですか?』

(ふ、腑抜けは言い過ぎじゃないか? ただ、さっきのは流石にマズかったと思っているが)

『……まぁ良いです。それより、さっきの王女様の黒いオーラ……あれ、かなりヤバいですよ』

(あー、凄く怒っていたよな。あんなフローレンス様は初めて見たよ)

『あの黒いオーラがマズいんです。おそらく、魔族の――いえ、もしかしたら、それ以上の力を秘めているかも』

(おいおい。何を言い出すんだよ。まさかフローレンス様が魔族だとでも言うのか?)

『……その可能性も否定出来ないかと』


 な、なんだと!?

 フローレンス様の目の前でやらかしてしまった後、アオイからとんでもない話が出て来た。

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