第328話 我慢出来ないニーナ……と俺

「では、失礼いたします」

「ヘンリー様、娘を宜しくお願い致します」


 母さんに挨拶を終えた後は、皆のご両親へ挨拶に。

 最後に行ったクレアのご両親は、前からそれとなく察していたらしく、まだ穏便に終わった。

 しかし、ニーナ、ドロシー、プリシラは騎士の家系だからか、順序やしきたりを守れと小言を言われ……ちょっと大変だったな。

 まぁ一番大変だったのは、最初に行ったソフィアの家だったが。

 貴族だし、お義父さん厳しいし、今更だけど、ソフィアは未だ十四歳で未成年だったし、途中でシャルロットちゃんが遊びに来て、俺に抱き付いてくるしさ。

 「ソフィアだけでなく、シャルロットにも手を出しているのか!」と言われたりして……うん、ソフィアが頑張ってフォローしてくれなかったら、非常にマズかったかもしれない。


「じゃあ、次はヴィクトリーヌか」

「いや、私の両親はいいよ」

「何故だ? こんなに綺麗な娘さんをもらった訳だし、挨拶くらいは行くべきだと思うんだが」

「いや、その……私は獣人族だろ? ヘンリー殿は一切気にしないでくれているが、私の両親側がな……」

「……俺としては種族なんて、どうでも良いのに。難しいんだな」

「すまない。一先ず、結婚した事は手紙を出して伝えてあるし、その……子供が産まれたら、流石に会いに行くよ」


 これはつまり、ヴィクトリーヌのご両親に挨拶へ行くには、もっと頑張って、早く子供を作らないと……という事か。

 喜んでっ!


「アンタ……顔がニヤけてるんだけど」

「え? はっはっは。まぁその……頑張るよ」

「……ちゃんとウチの事も愛しなさいよね」

「当たり前だろ」


 ソフィアが可愛いかったので、つい抱きしめてしまったが、そんな事をすると、


「……旦那様。ラウラちゃんも」

「私もヘンリー様に抱き締めていただきたいです」

「師匠。今からでも、私は大丈夫ッス」


 すぐ様ラウラたちに囲まれる。


「ドロシーの提案は凄く魅力的だけど、もう一人挨拶しないといけない人が居るんだ」

「えっ!? 師匠……実はまだ他にも奥さんが居るッス!?」

「違うぞっ! というか、ソフィアは精霊を呼び出そうとするなってば。挨拶に行くのは、フローレンス様だよ」

「あー、なるほど。それは確かに挨拶しておかないと、マズそうッスね」


 フローレンス様は……フロウは、俺たち第三王女直属特別隊のトップだからな。

 挨拶……というか、報告と言った方が良かったか。


「じゃあ、フローレンス様の所へ一緒に行くのは……ソフィアもラウラも面識は無いよな?」

「フローレンス様って、第三王女様でしょ? 面識なんてある訳ないでしょ」

「……ラウラちゃんも、知らない人」


 だよな。

 俺一人で行っても良いんだが、結婚報告だし、相手は王女だから、夫婦一緒に行った方が良いよな。


「じゃあ、面識があるのは、ニーナ、クレア、プリシラ、ドロシー……か?」

「私はフローレンス様をお見かけする事はあっても、話したりした事は無いのです」

「私も、同じッス」


 プリシラとドロシーも面識無しとなると、ニーナとクレアだが、確かこの二人はどちらもフロウに会った事があるはずだ。


「私、私が行きます! ヘンリー様、私を連れて行ってください!」

「そうだな……でも、クレアは俺の母親の前で、結構やらかしていたからな」

「えっ!? 私、何か失礼な事をしましたっけ?」

「失礼というか、失言が多かったな」

「えぇっ!? そうでしたっけ?」


 あー、クレアは自覚無しか。

 まぁ母さんが相手だから別に構わないが、次はフローレンス様だからな。


「んー、すまん。フローレンス様の所にはニーナといくよ」

「えぇっ!? そんなーっ!」

「まぁちょっと挨拶する程度だからさ」

「……じゃあ、戻って来られたら、ちゃんと愛してくださいね?」

「よ、夜にな」


 拗ねるクレアを宥め、その様子を見て、口を尖らせるソフィアも宥め……大変だなっ!


「じゃあ、ニーナ頼むよ」

「は、はい。ボク、頑張るねっ!」

「いや、頑張らなくても、普通にしていくれれば良いよ。……テレポート」


 そう言ってニーナを抱きかかえると、王宮の前へ。

 途中で出会ったメイドさんにフローレンス様への謁見許可を依頼すると、いつもの小部屋で待つ様に言われたので、そちらへ移動する。

 小部屋で暫く待って居ると、何故かニーナがモジモジし始め、


「あ、あのね、ヘンリーさん」

「どうしたんだ? トイレか?」

「そうじゃなくて……あの、ボクもクレアさんたちみたいに、愛して欲しい……」


 大きな胸を押し付けてきた。

 まだ子作りをしていないニーナとイチャイチャするのは望む所だが、今なのか!?

 確かにここは声が外に漏れないが、いつフロウが来るか分からないんだぞ!?


「ヘンリーさん、お願い。ボクにもして欲しい」

「し、仕方ないな……少しだけだぞ?」


 うん。Gランクおっぱいのニーナに可愛くおねだりされて、我慢出来る訳なんて無かった。

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