《 第三の射殺事件 》 1・2
1
七月二十七日 午前十時三十分
主婦の野上朱美さん(三十一歳)は買い物に行く為に小田急線鶴間駅前にあるスーパーまで徒歩で向かっていた。
今日は、夏休み早々、小学校が主催する林間学校に子供の千尋ちゃん(八歳)が、出かけて行き。久々の夫婦水入らずの時間を楽しみしていた。
そして、すこし凝った夕食を作るため、買い物をしにきていた。
片側一車線の道路を渡っていたその時、背中に痛みを感じた
その痛みに違和感を覚えながら、背中に手を当てたら、ヌルっとした。いつもと違う感覚にゾッとした次の瞬間、足元から真っ赤な液体が地面を濡らす光景が目にはいった。
そして、気を失って倒れた
付近を歩いていた人が救急車を呼び。
大丈夫ですか?と声をかけてくれていたが。倒れたまま、返事をすることはなかった。
ほどなくして、救急車が到着した
救急隊員が、朱美さんの呼吸と心臓の動きを確認しながら、病院への緊急搬送の準備をしていた。
救急搬送の途中、出血多量により野上朱美さんは、息を引き取った
2
七月二十七日 午前十一時三十五分
神奈川県警大和北警察署の刑事第一課課長の星野洋介警部とその部下は現場に急行した。
先に到着していた地域課の警察官に、到着した当時の状況の聞き取りをした。
その警察官によると、到着した午前十時五十分には救急車が到着しており、搬送準備が終了して発車するタイミングだった。現場保存のため、周辺にいた人々に少し離れてもらい。目撃者と通報した人を探したということだった。
そして、こちらにお待たせをしている方々が、目撃をされた方と通報をされた方です。と、星野警部に案内をした。
目撃者の太田誠は、鶴間駅からお得意様に歩いて向かう途中、目撃をしたということだった。
話を聞くのは、浅倉正和警部補と佐賀巡査部長だった
「太田さんは、どのような状況をご覧になりましたか?」
「女性の方が、倒れる瞬間をみました。」
「倒れる瞬間ですか?」
「そうです。ふと、目をやったら、倒れたんです。一瞬何がおきたのかと思ったのですが。貧血かなと思って近寄りました。」
「それで、どうされました。」
「近くで、救急車を呼んでいる方がいましたので、僕はその女性の肩に手を置いて、大丈夫ですか?と声をかけました。でも、背中から血が流れていて。」
「そうでしたか。」
「それで、何をしていいのかわからず。そのままにしてしまいました。」
太田は、声を強張らせ、顔は少しずつ青ざめてきた。
浅倉警部補は、太田さんに大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?と声をかけた
「少し休めば大丈夫です。」
と、太田は、答えた。
浅倉警部補は、佐賀洋子巡査部長に、太田さんのそばにいて身体の不調があらわれたら、救急車を呼ぶように指示をして、通報者の小池まりえさんのところに向かった。
小池まりえさんと藤田仁巡査が待っていた。浅倉警部補は、小池まりえさんに通報当時の状況を聞いてみた
「通報した時間は、何時でしたか?」
小池まりえは、携帯電話を操作しながら
「十時三十一分です。」
と、答えた。
「それで119番に通報したんですよね。」
「そうです。倒れていたので、救急車を呼ばないと、と思って119番に電話しました。」
「小池さんが通報した時は、女性の方は倒れていたんですか?」
「倒れていたといえば、倒れる少し前でした。背中に何か付いているのか。右腕を後ろに回しながら上から下から背中を触っていたので、かゆいのかな?なんて思っていたら、赤いのが見えたんです。」
「それで、どうしたんですか?」
「ワンポイントかなと思ったんですけど。そしたら、倒れちゃって。」
「それで、通報したんですか?」
「急に人は倒れたんです。怖くて119番してしまいました。」
「倒れた女性が、どちらの方向から歩いてきたかは、わかりますか?」
「いえ、背中を触っていたのを見かけていたので、その前のことは判りません。」
「そうですか。ありがとうございました。」
星野警部は、浅倉警部補からの報告を受けて、周辺の防犯カメラを半径300mの範囲で重点的に探して、提出してもらえるように指示をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます