アリス

勝利だギューちゃん

第1話 宿題

ここは、とある港町にある、カフェ[アポロン]。

かなり、こじゃれている。


日本海側に面したこの町は、夕暮れ時になると、

太陽の光が差し込んできて、とても幻想的。

それが、店の名[アポロン]の由来・・・


店の外に並べられた席には、カップルで賑わう。


しかし、カップルだけではなく、ある特殊な方のファンが多い。

僕も、そのひとりだ・・・


カップルで賑わうのは、だいたい午後5時以降。

僕はその時間をさけて、午後3時ごろにこの店に足を運ぶ。


この時間帯は、とても静かだ。

僕はこの、静かさが気にいっている。

そういう意味で、特殊なのだ・・・


「いらっしゃい」

「いつもの・・・」

「すぐに、お持ちします」


マスターと、簡単なやりとりを交わす。

この町の人の殆どは、マスターや店員(女の子たち)とも顔なじみ。


但し、互いに干渉はしない約束となっている。

つまり、プライベートには、首を突っ込まない決まりだ。


店の外に並べられた席のひとつに、腰をおろす。

注文が来るのを待ちながら、僕は海を並べる。

潮の香りが、漂ってくる・・・


「お待たせしました。」

店員の女の子が、運んできてくれた。

ちなみに、ウェイトレスという言葉は、適切ではないので、

やめておく。


ちなみに注文したのは、アイスティー。


「少し、お話していいですか?」

「仕事はいいんですか?」

女の子に訊く。


「ええ、マスターの許可は取ってます」

「そう・・・」

女の子は、向かい側に座った。


ちなみに、この子とも顔なじみ。

でも、名前は知らない。


「初めてですね。お話するの」

「そういえば、そうですね」

女の子の言葉に、戸惑ってしまう。



「ところで、私の名前わかります?」

「わからない・・です」

「ですよね・・・アリスといいます。福山アリスです」

「どうも・・・僕は・・・」

「幸喜・・・八谷幸喜さんですね・・・」

「どうして、ご存知なのですか?」

僕は自分の名前を知らせた覚えはない。


客、店員、互いに干渉しない。

それが、ルールのはずだ・・・


「私の事、覚えていませんか?」

「どこかで、お会いしたことありましたか?」

「はい、以前にお会いしてるんです」

どこでだろう・・・?


「宿題です」

「宿題?」

「ええ、次に来る時までに思い出しておいてください」

「思い出せたら?」

「パフェ、おごります」


そういうと、アリスさんは去っていた。



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