16話 真二&苺 奮闘

真二が『苺』を連れて真希達のいるところにきた時には琴から敵の片方は死にもう片方は死にかけていると言うことを聞いていたので、真二は目の前にいる何かが何者なのかがわからなかった。


『ケルベロス』ではない。


前に見たときと見た目が全く違うので絶対に違うだろう。


では『三銃士』と呼ばれる『ケルベロス』直属の部下ではないだろうか。


『三銃士』のうちの1人は貢が倒した。


あと2人もそれほどに強いと思っていた。


そんな時に琴が真希さんと凪沙が2人組と戦っていると聞いた。


真二は勝手にそいつらも『三銃士』だと思ったのだが、早く決めつけたのではないだろうか?


勝手に決めつけてしまい自分で自分を安心させていた。


そんな生ぬるいことでは通用しに世界だと言うのに。


まあ、結果としてはどうだっていい。


ただ、あいつを倒せば問題ないのだから。



『ゲリ』も『フレキ』も真希も凪沙も四人とも倒れていたが四人とも死んだわけではなかった。


『ゲリ』は腹を刺されたことによる出血多量によって死にかけて入るが生きていた。


『フレキ』も左手が切り落とされはしたが生きていた。


真希は貧血凪者は能力の使いすぎによって倒れているだけ。


一見は真希と凪沙の勝ちに見えるがこの4人の中で唯一『フレキ』だけは意識があった。


『フレキ』がまず行ったのは真希と凪沙の始末ではなく自分の左腕を治すことであった。


しかし、いくら鬼の力といえど左腕を生やすほどの力はない。


そこで『フレキ』は『ゲリ』の左腕を自分のものにすることを決める。


腰につけていたナイフで『ゲリ』の左腕を肩のあたりで切り落とし自分の左腕とくっつけた。


自分の能力で血管と同じ素材の糸で縫合した。


血管だけで無く神経や筋肉全てのものを同じ材質の糸で縫合したことや2人が双子ということもあり。


問題なく『フレキ』は左手を手に入れた。



「馴染むよ『ゲリ』。君の左腕がこの俺に馴染んでくるのがわかるよぉぉぉーーーー。」


一人歓喜している『フレキ』をよそに真二は真希と渚を安全な場所へと運ぶ。


渚は外傷はないが気を失っていた。


そして、真希の体からは大量の血が流れていた。


その血を見て怒っていたのは真二だけでは無かった。


「グァルルルル。」


『電光石火』


ッバジジジジと言う音を立てる雷を纏いながら『苺』もまた怒っていた。


「お前、怒ってるのか?まさか、お前の中の『一護』が怒ってるのか?」


「グアァ。」


まさに電光石火の速さで『フレキ』に飛びかかる。


しかし、『フレキ』は見る事もなく右手から布を出し『苺』を止める。


「なんだよぉお前ぇ?じゃまだよぉぉぉ。」


『繊維製の巨人の鉄槌(ファイバージャイアン)』


糸でできた巨人のような腕で『苺』に殴りかかる。


「そんなことさせるか。」


『大地(ガイア)』


『フレキ』の近くの土をハンマーのようにして『フレキ』の頭へと叩きつける。


当然、『フレキ』は巨人のような腕でガードをする。


「よえーよぉ。もっとつよいやつはいねぇのかよぉぉぉぉおぉぉ。」


「弱いか…そいつはどうかな?」


バグゥオーン


「何っ?」


『フレキ』の足元が崩れそのまま落ちる。


「僕の能力は土を生成するのではなくて操る。だからそのハンマーも元は何処かにあったもの。例えば、お前の足元とかな。」


俺のガードを前提に攻撃したと言うのか?


このおとこはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


「生き埋めにするならこんな岩より砂の方がいいかな?」


『大地(ガイア)』


真二は『フレキ』を埋めた土や岩を砂へと変える。


「゛あああああああああぁぁあぁあぁあ亜亜亜あああああぁ。」


「まるで断末魔だな。あっ!そう言えば名前を聞いていなかったな。まあ、興味無いけど。」


真二は『フレキ』をよそに真希と凪沙の元へと駆けつける。


「大丈夫か?」


頬を2度ほど叩くと凪沙は目を覚ました。


目覚めた凪沙が最初に見たものは真二ではなく真二の背後の液体窒素の塊だった。


なんで?


さっき倒したはずなのに。


そんな事はどうでもいい。


このままだと真二が死ぬ。


『渚』


水の塊をなんの形にするわけでもなくただ液体窒素に当てた。


流石の真二も自分の背後で水が固まったことに気がついた。


「えっ?」


「今のは『ゲリ』とかいうやつの能力。液体窒素を左手から出すの。」


「左手?」


「うん。というか、奴らはどこにいるの?」


「多分あの砂の中。右手から糸を出すやつが入ってる。奴らって言ったけど、僕はその一人しか見てないよ。」


「いるはずよ、そいつと双子の奴が。」


そう言って凪沙は少ない力で周りを見渡す。


奥の方に何か黒いものが見えた。


「あれは…『ゲリ』?でも、死んでる?それに左腕が無い。じゃあさっきの攻撃は?」


「またきたぞ!」


また同じ方向から液体窒素が飛んでくる。


「なんで?というかどこから?」


『大地』


土で壁を作り液体窒素から身を守る。


「今の攻撃多分、あそこのさっき僕が作った砂のところから飛んできた。」


「何言ってるの?あそこには糸を出す奴を埋めたんでしょ?」


「うん。でもあそこから出てきた。もっと言えばあそこにあるチューブのようなものから出てきた。」


「チューブ?」


「恐らくあの糸から作ったものだとは思うんだけど…」


真二が言い終わる前に凪沙は倒れた。


先程の戦いで疲れた体を回復させ切っていないのにもかかわらず能力を使った事で体への負担がさらにかかり今限界を迎えた。


「凪沙待ってろすぐ終わらせる。」


真二は土で凪沙を囲うようにしてから、真希もいることを思い出し真希さんも土で囲おうと思い向かう。


先程の液体窒素での攻撃当然真希の方にも攻撃は行われていた。


しかし真希は液体窒素を食らってはいなかった。


運が良かったわけでは無い。


『苺』だ『苺』の中の『一護』なのか『苺』自身がやったのかは分からないが、『苺』が護ったのだ。


体に電気を纏い液体窒素からの攻撃を防いでいた。


しかし、防ぎきれなかったのか体の数カ所は少し火傷して皮膚がただれている。


「よくやったぞ『苺』。悪いがもう少し頑張ってもらうぞ。」


「ワンッ!」


「いい返事だ。」


「真希さん少し休んで下さい。」


真二が真希を土で攻撃から防ごうとした時真希が弱々しく口を開く。


「真二くん。一つお願いがあるの。聞いてくれないかな。」


「この戦いが終わったらいくらでも聞きますよ。」


「ダメ。今聞いて。」


「え?なんでですか?」


「私には奴を倒す方法がある。ただ今の私にはできない。だからどんな方法でもいいから奴を私の近くに持ってきて。そしたら倒せるから。」


「分かりました。ただ、無茶はしないで下さい。」


そう言って真二は『フレキ』の元へと走り出す。


チューブからいくつもの液体窒素が放出されるが全て『苺』が真二を守る。


「いいぞ『苺』あと少しだあと少しで奴の近くに着く。」


「ワオーン。」


真二は『苺』に守られながら『フレキ』の近くに着く。


「ここまでくればいける。」


『大地』


『フレキ』がいるであろう場所よりさらに下の土を操り噴火のようなことを起こし、強制的に中にいる奴を地上へと出す。


「ぐあああ。」


出てきた男は左腕の指先に先程のチューブが付いていた。


「いてぇじゃねぇかよ!」


『アイスボール』


今までのより大きい液体窒素に衝撃を受けたのと能力を使いたてだったことから真二は防ぐことができず覚悟した。


『電光石火』


「ワンッ!」


「『苺』!」


助けてくれたが流石に大きすぎたのか『苺』は吹き飛んだ。


すぐにでも駆けつけたいところだが今やるべきことはそんな事では無い。


『巨人の合掌(きょじんのがっしょう)』


「よし!」


岩で出来た腕の形をした物が合掌かのように合わせ『フレキ』を閉じ込める。


「こんなもので閉じ込められると思うなぁーーー。」


『フレキ』は糸を使い岩を破壊する。


「分かってるよ。だから、少し無理させてもらうぞ!」


『巨人のストレート(ビッグ・パンチ)』


今までよりも速く硬い岩による一撃が『フレキ』を吹き飛ばす。


「ドゥグアワヤ。」


「どんな方法でもいいって言いましたよねーーー!」


「真二くん。満点だ!」


真希は向かってくる『フレキ』に拳を構える。


「さらばだ『フレキ』。一つの体に二つも能力を入れるなんて相当なものだよ。君が、いや君達が生まれ変わったら、今度はもっと人の為に使えるといいな。」


『紅桜(べにざくら)』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る