5話 強いぞ! 主人公!
王者が琴からの知らせを聞く約3時間前、貢と淳は1人の少年にあっていた。
2人が商店街を歩いた時目の前からNeCOのバッチをつけた2人をめがけて走ってきた。
その少年は全身が汚れていて片方だけ靴を履いておりもう片方は穴が空いた靴下であった。
「おいっ!お前何があった!」
見た目からして小学生。明らかにその見た目は小学生のいじめによるものではないことは新入りである淳でも分かった。
「み、みんなを、みんなを助けて!お兄ちゃん達NeCOなんだろ?」
淳はこの子供の顔に見覚えがあった。
そしてそれは仕事の前に王者さんからもらった行方不明の子供のリストを見直して確信する。
「君は、直哉(なおや)くんだね?」
その言葉に頷く姿を確認して、淳は直哉を抱えて『熱風』へ走り出した。
約十分で着き、医務室へと運ぶ。カプセルに入ると3分ほどで全ての傷が治った。
「君のいうみんなってこの子達?」
そう言って淳はリストの子供達を直哉に見せる。
「うん。多分この子達だと思う。もう少し痩せていたような気もするけど…」
「一番最初にいなくなったのは10日前だからな。この写真より痩せせてても違和感はねえ。」
「許さない。こんな子供達を苦しめるなんて。」
淳は怒りによって我を忘れていた。
口調も変わり、右手も鬼のものへと変貌していた。
「どこにいるんだ?」
「え?えっと…港の倉庫です…」
それを聞くと、窓を壊して出て行った。
「あーあ。こりゃ、始末書ものだぞ。琴!聞いてたか?」
『聞いてたけど?何?クソ短小。』
「なんで知ってんだ!じゃなくて、俺は短小じゃね!でもなくて、今から行くところは人質がいるから口に出して場所を言えない可能性の方が高いから俺たちの心音とかでやばいと思ったら誰でもいいから伝えろ!」
『はいはい。』
「なんなんだあいつは?」
貢は割れた窓から飛び出した。
が。
ここは2階。
やべえ。
なんか、調子乗って飛び出したけど絶対骨折るぞこれ。
淳はどうやって行ったんだ?
あれか、全身に雷纏うやつか?
ってそんなこと考えてる場合じゃねえ。
どうしよう。どうしようどうしようどうしようたんしようそうしよう。
あれ?
いま、植物の子葉の名前入ってなかった?
もうこうなったら、点火を地面に叩きつけるか?
いや、骨折るより痛そう。
まずい。もう当たる。
『クソ短小』
俺は悪口と共に助かった。
『なんであんた達は2階から飛び降りるかな?今のは私の新技『音綿(ボイスクッション)』でーす。高密度の音を発生させて緩衝材のようなものを作りまーす。』
「助かったから、礼は言うけど、短小は言うな。あと、その感情を込めないその語尾やめろ。」
『それは無理でーす。これが今のマイブームでーす。』
「ああ、そうかい。」
相手にするだけ頭が痛くなってきた。
〜
貢がつくとそこには淳がいた。
「よー淳。頭に血が上って突撃したかと思ったが、流石にしなかったか。」
「すみませんでした。さっきは冷静じゃなかったです。」
とびらは全てしまっていたので、横にある窓から見る事になったが、
「おい、もっと上がらねーのか?」
「無理ですよ。これが限界です。」
見た目的に肩車をすれば見えそうだったのだが、以外に届きそうで届かない位置だった。
『中には大人が1人子供が4人。位置は今あなた達がいる場所から反対の角に子供。その約5メートルの位置におとながいるよーん。』
「今のは?」
「ああ、淳は初めてか。琴の『管弦楽団』だよ。」
これで、位置は分かった。
「とりあえず、扉から入って俺が大人をやる、淳お前は子供の救出に入れ。」
「はい」
〜
貢は入って速攻で『点火』を打ち込むつもりだったのだが、入ってすぐに気づいた。
この倉庫には今、ガスが充満している。
これでは『点火』を打ち込むどころか、鬼の手にしただけでも爆発しかねない。
しかし、走り出してしまったので貢の足は止まることができなかった。
『点火』を使うことはできなくても、普段から拳を使っているので、威力は下がるがいける。と判断してしまった。
しかし、当然ただの拳と鬼のものでは話にならなかった。
『暴風(テンペスト)』
拳に風を纏い貢を殴りつけた。
吹き飛び入り口にある扉に強打した。
「大丈夫ですか?」
「ああ、骨は折れてはねえ。だが、淳。お前も気づいているとは思うが、能力は使うな。この倉庫内にガスが充満している。俺たちの能力を使えば子供ごと吹き飛ぶ。」
「それじゃあ、どうするんですか?普通の僕らじゃ絶対に勝てませんよ。」
「大丈夫だ。あいつの攻撃の威力はさほど強くはない。ガスで強がってるだけだ。だが、DoGの指輪が一瞬見えた。奴らなら自爆もしかねん。」
「耐えるしかないんですか?」
「今はそうだな。だが、琴が応援を呼んでくれているはずだ。」
「分かりました。どうにか耐えます。」
「お話は終わったかなあー?お前ら僕を攻撃したら、爆発させてあげるよおーーーーーーー。」
典型的ないかれ野郎だな、全くセンスがねえ。
そして、淳と貢は約十分間攻撃をくらい続けた。
「おいおい、反撃くらいしてくれよー。張り合いがないじゃないか。まあ、そんなことしたらこのライターに火をつけるけどな。キャシャシャシャシャシャシャーーー。」
なんて気持ちの悪いい笑い方なのだろう。
流石にもう援軍が来て欲しい。ガスの中にい続ける事によって、ガス中毒を起こしかけている。子供たちの中にはもう、症状が出始めてきた子もいる。
早くきてくれ。
淳の願いが通じたのか入り口の扉から音がする。
「遅れてごめーん。ちょっと会議の後に友達と話し込んじゃって。ってクサ。ガスくさっ!なるほどね、だから2人が困ってたのね。ハイハイ、理解しました。」
来てくれた。だがダメだ。リーダーは強いのかもしれない。しかしこのガスが充満している倉庫では威力など関係ない。
「貢、淳、俺の後ろに来い。」
「おうっ!」
貢はすぐに後ろへといった。
なぜだ?なぜ貢さんは行ったんだ?ガスで頭がおかしくなったのか?
「淳。お前も早くしろ。」
「ですが…」
「聞こえなかったか?」
その声は年下とは思えない迫力であった。そして、体が本能的にリーダーの後ろへと行っていた。
「淳、俺は昨日の時点ではまだ君を完全に信用はしていない。だが、さっきの子供のために体を張るというのはとても感動した。だから俺は淳を信用してやる。俺のチームに入れてやるよ。」
「へ?」
「俺にはある秘密がある。その秘密をチームのメンバーの証として教えてやるよ。その秘密は信頼の置けるものとクソヤローしか知ることができない。よかったな淳。お前は前者だぞ。」
そう言って、リーダーは信じられない事に左手を鬼のものへと変貌させた。
「行くぜ。『飍(おおなみ)』。」
リーダーの左手からものすごい風が吹き荒れた。
風で窓は全て割れ、ガスも全て出て行った。
「これで、炎も使えるよなあ。」
リーダーは右手も鬼のものへと変貌させた。
そして、右手と左手の平を向かい合わせ、どこかの7つの球を集める旅をしていそうな少年のごとく体の横で力をためた。
右手から出る炎を左手の風で綺麗な球へと形成する。
「おい、てめー。お前は残念な事に後者だぜ!」
『火炎球』
リーダーの両手から打ち出される炎に目の前のものが全てチリになった。
この人は一体何者なんだ?
今までに両手に能力が出現した人なんて聞いたことがない。
「びびったか?あれがうちのリーダーよ。」
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