鬼の手
ハトドケイ
プロローグ 危険な奴ら
第1章 炎と風のイントロ
「待ちやがれ、クソ強盗が!」
平和な街に鳴り響くサイレンがあった。それは銀行強盗を伝えるジリジリと鳴り続けるものであった。
「ったく。こんなに離れてちゃ俺の能力も猫に小判だな。おい!真二(しんじ)あれやんぞ!」
「分かった。」
そう言うと、少し小太りの男は右手を地面に当てた。
そして、走っている言葉の荒い少年の前に車ほどの岩の塊が出てきた。
少年は少しも慌てることなくそれを右手で殴りつけ強盗に向かって殴り飛ばした。
「死ねーーー。」
しかし車ほどの大きさの岩がきたと言うのにもかかわらず強盗犯は不敵な笑みをこぼしながら、右手から炎の球を出し岩を迎え撃った。
「ちっ。攻撃力の高い能力かよ。」
余裕とでも言いたげな犯人に男女が目の前から水と風の刃を打つ。
それも車ほどの大きさだが、場所が悪かった。
今度は迎え撃つのではなく普通に避けた。分かれ道の片方にいた男女からの攻撃はもう片方の分かれ道に行かれて、犯人を逃した。
しかしこれは、作戦通りであった。
犯人の行った方の道のビルの屋上に1人の人影があった。
犯人が下を通る時にそこから飛び降り何かを呟く。
「我が右手に住まいし『雷鬼(らいき)』よ力を貸したまえ。」
そう言って、右手から落ちるようなポーズをとり叫ぶ。
『イカヅチ』
そう言うと少年の体は雷を纏い、犯人めがけて一直線に落ちるイカヅチとなった。
タイミングは完璧であったが、犯人の方が一枚上手であった。
今までの経験から、先ほどの水は囮だと即座に気づきこちらの道に何かあると踏んでいた。
故にビルの上にいる人影に気づくことができたのである。
そして、一瞬見えた光から雷と判断し、右手に力を溜め噴射した。
それにより一時的に高速移動が可能になった。
そしてその一時的な速さは『イカヅチ』のタイミングをずらすには十分であった。
「馬鹿どもが!経験が違うんだよ。」
すぐに追撃をしたかったが、体が痺れて、打つことが出来ない。
くそっ。また負けてしまうのか。
犯人は勝ち誇り走っていた。
その犯人の前に子供がいた。早く助けなければ、怪我をしてしまうだろう。
なのにもかかわらず、彼らは誰一人として、助けようとはしなかった。
「どけチビ!」
犯人は子供に向かって、炎の球を打ち出した。
そしてその弾が当たる前に、
「だれが、チビじゃーーーー。」
その子供は右手と左手の手の平を体の横で少し空間を開け向けた、そしてその空間に炎の球が形成された。
そしてそれを犯人に打ち出した。それは、犯人のものなんてちっぽけに感じるほどの威力とサイズであった。
「なっ!」
犯人はその炎に包まれた。
「やべ、やりすぎた。凪沙(なぎさ)早く消化して!」
「リーダー、チビにキレすぎですよ。」
「シャーねーだろ。」
「また負けた。今回はいけると思ったのに。」
「残念だったな。詰めが甘いんだよ。」
「この人まだ生きてるよ…」
「よかったー。死んだら、始末書がめんどいんだよな。」
そう言う彼らの胸には金のバッチが付いていた。
そしてそこにはNeCO(非公認犯罪取締組織)と彫られていた。
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