第3話
「こっちで合ってる?」
ペンギンさんの指示に従い歩いてる。
取り敢えずは水場を探さなきゃ。
【そんなの知らないわよ。
何となくよ。何となく。】
マジですか?
水を感じる方に誘導してるのかと思ってたのに。
ペンギンさんと出会ってから、多分2時間は歩き続けてるんだよ。それなのに。。。orz
【あっ!?来たわよ。】
ペンギンさんの雰囲気が、変わった。
何?何が来た?
よく目を凝らすと、遠くから何かがやってくるのが分かる。
何だ。あれ?
そして、あっという間に近付いてきたのは、狼に乗った緑の小人。
多分、ゴブリンとか言うヤツ??
『ゴブゴブゴブ。ゴブ・・・・・』
何かゴブゴブ言ってる。
どうしたものかと困っていたら、鉄の棒を構えるゴブリン。
あれっ、これってバトル?
僕、素手だよ。武器持ちの騎乗モンスターは格上過ぎだって。
やべーよ。
「ペンギンさん。なるべく遠くに逃げて。
んで、どこかに隠れて。
少しでも抵抗して、時間稼ぐから。」
ペンギンさんを地面に下ろして、逃げる様に言った。
犠牲は少ない方がいいからね。
ペンギンさんでは、僕が逃げる時間すら稼げないだろうし、これが最善なんだと思うよ。
怖くて震える膝を自分で叩いて気合いを入れる。
【ねぇねぇ、カッコいい姿見せてる所ゴメンね。
変身しなくていいの?したいんでしょ?】
何とペンギンさんが僕の黒歴史を突っついてきた。
精神的ダメージで崩れ落ちる。
【ちょっ、ちょっとぉぉぉ。
何してんの。早くっ!早くして。】
焦るペンギンさん。
また、いい歳してるのに僕の中に眠る厨二を目覚めさせる気?
くそっ、どうとでもなれ。
「へん。。。。しんっ!!」
何となくなポーズを決めて、叫んだ。
周りに風が集まり始めて、僕を中心とした竜巻が起こり始める。
えっ、何?これっ。。。。。
一瞬で起こった出来事。
そして、一瞬で終わる。
今にも襲い掛かってきそうだった
来たんじゃない?
手のひらを見て、閉じたり開いたりを数回。
僕の手は、メタリックなグローブに覆われている。
脚も同様だ。
くそっ、鏡がないのが悔やまれる。
この姿が見れない。
でも。。。。
「変身。。。きたぁぁぁぁぁぁ!」
感無量で叫んじゃったよ。
よしっ
「お待たせ。」
軽い感じでゴブリンライダーに話し掛ける。
変身したからには、楽勝でしょ。
僕が声を掛けた事で、放心状態が解除されたゴブリンライダーが突っ込んでくる。
その攻撃を難なく避ける。
すれ違い様に廻し蹴り。
ゴブリンにヒットし、狼から盛大に吹き飛んだ。
加減が分からないので、渾身の力を込めて蹴ったから
【ちょっ。。。。グロい。】
ペンギンさんが引く程、ゴブリンが原型を留めない程のシミへと姿を変えてしまった。
力加減を間違えたら、エラい事なるし。
続いて狼を。。。。
そう思ったけど、あっという間に逃げ出してる。
よしっ、勝ったぁぁ。
「ペンギンさん。勝ったよ。やったし。やれば出来るし。」
キョロキョロとペンギンさんを探すけど見当たらない。
あれっ?さっき声がしたし、そんなに遠くに逃げてないはずだと思うんだけど。
【どこ見てるの?
私が力貸したから勝てたんでしょ?
自分の力じゃないの。私の力。
感謝しなさい。】
耳元で声が聞こえる。。。
ペンギンさんと合体したって事??
それからすぐに変身は解ける。
元に戻れるかどうか不安になってきたら、元に戻れたし、その事からも望めば変身解除されるっぽい。もう少し検証が必要かもしれないけど。
それにしても凄かった。
廻し蹴り一発だもん。
この力さえあれば、この世界でも生き抜いていけそう。
ちょっと前向きになれたよ。
ただ、食料と水を確保しなきゃ命の危機からは抜け出せてないんだけどね。
何とかしなきゃ。
でも、今の所は宛もなくさ迷い歩くだけしかできなくて、ふらつきながらも脚を前に進める。
自分だけじゃなく、ペンギンさんにも水あげたいし、せっかく変身ヒーローになったんだから、この世界を生き抜いてやるんだ。
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