異世界で僕は変身ヒーロー

@koooum

第1話

ガバッと上半身を起こして、辺りをキョロキョロ。。。。


「どこだココぉぉぉぉぉ?」

僕の心の内とは反比例するかの如く、そよそよと気持ちいい風が吹き抜ける草原に座り込んだ様な姿で叫んでしまった。

ココが、どこだか分からないです。

しかも、自分が何処の誰だかも分からない。

これは所謂いわゆる、記憶喪失と言うやつではなかろうか。


取り敢えず大きく息を吸い、気持ちを落ち着ける事にした。


「す~~は~~。。。す~~は~~。。。」

あまり落ち着けたとは言い難い。

物凄く不安で、どうしていいのか分からない。

まずは、分かる事を整理しよう。


僕の名前は、宮村 洸みやむら こうで間違いないはず。

歳は、17。。。だったと思う。鏡とかないので確認しようがないけど、これで『54歳でした。』とか言うオチなら立ち直れない。顔をペタペタ触ってみて、シワがない事も自分の髪を数本抜いてみて黒髪な事も確認出来た。

家は。。。思い出せない。家族構成や家族が居たのかどうかすら分からない。

これはヤバい。ほぼ、自分の素性が分からないではないか。

でも、そこまで悲観しなくてもいいだろう。

なんと言っても、この平和な日本。

名前さえ分かれば、後は国家権力さんが助けてくれるはず。

僕は日本人なんだから。

おぉっ、自分の国籍は分かるじゃないか。

分かる事が1つ増えて、少し嬉しい。

他には。。。。

ポケットを探るとケータイ。ウォレットチェーンの先には財布があった。

うむっ、ロックが掛かっている。パスワードが分からん。ケータイ電話は使えない。

財布を漁ってみたが、中には数千円のお金とレシート数枚、銀行のカードが入っていた。

身元証明出来る物が何もない。。。

オワタorz

僕は、国家権力さんが助けてくれるのを待つしかない状況となってしまった。




さて、あれからどれだけの時間が経ったのだろう。

ケータイは圏外を表示し、腕時計は14時過ぎを差している。

かれこれ2時間です。

近くに人気ひとけがないのは勿論の事、遠くにすら人影を見る事がない。

これは、緊急事態なのではないでしょうか?

ヤバいです。本気のやつです。

この時になって、やっと僕は立ち上がり、辺りを探索する事にした。

それほど記憶喪失と言う事実は、僕にダメージを与えていたのです。

何もする気力が起こらず、茫然自失と言った具合だった訳です。


宛もなく、辺りを彷徨いてみたけど、ただただ広がる草原。

遥か遠くには山影が見えるが、それだけ。

でも、何もしないよりも不安を紛らわしてくれるからと、ひたすら歩いてみた。




暗くなりだした空を見上げ、不安だけが募る。

これは、ヤバい。

命の危機かもしれない。


「どこだココぉぉぉぉぉ?」

デジャヴかよ。と思いたくなる叫び声を上げてみるが、何も変化はない。

ただ、ひたらすら足を進めた。




もう、辺りは真っ暗です。

遠くに街の灯り。。。も見当たりません。

とうとう僕の足も止まってしまう。

一度、足を止めてしまうと動き出す気力すら湧かない。

諦めすら滲み始め、倒れ込む様に地面に膝を付いた。


【ちょっと。ちょっと。】

声が聞こえた気がしたので、キョロキョロと周りを見るが、誰も居ない。

幻聴まで聞こえ始めたのかよ。


【幻聴じゃないし。神だし。】

また聞こえた。

確かに耳で聞いていると言うより、頭の中に直接響いてきている様な感覚がする。


【まぁ、いいや。日本の神様です。八百万の神とか言う位だし、そりゃあもうメチャ沢山の神様がいるんだけど、貴方の担当になりました神様です。どうぞ、よろしく。】

ギャルっぽい。


【ごほんっ。ん~。。。まぁ、いっか。威厳とか堅いの嫌いだし。

コウくんだよね?キミさぁ、異世界に来ちゃった訳。

んで、ここからが重要。

かわいそうなキミの望みを叶えてあげようと思います。

私って、優しいでしょ?

まぁ、私の力が及ぶ範囲だから不可能な事も多いけどね。

そろそろ疲れたし、時間切れになりそうだから、ちゃちゃっと決めちゃって。】

一方的に捲し立てるギャル神様。

僕の思考が付いていけてないんですけど。




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