おわり

東雲 怜

第1話

ゆっくりと世界が幕を閉じる。

どうせもう世界は終わるんだからと思い出整理に開いた写真フォルダー。

そこには仲の良さそうな男女が2人並んでいる写真があった。

笑顔だったり、変な顔をしていたり、仲睦まじい姿が収められていた最高の思い出。

だけれども最悪の思い出。

大袈裟に溢れ出た光と音が僕を混乱させる。

貴方の何も知らないまま流れていく。そのまま...

付き合ってはいなかったが、よくLINEでやり取りしていたり、出かけていた。それでも、何も理解してあげられなかった。

そのうち会話をする回数も減り、

心が苦しい日々を重ねた。

俗に言う自然消滅というやつか、

夕焼けすらも無意味に見え、久しぶりにみた君もクオリアを失った無機物に成り下がってしまったのだろうか。

言葉すらも、笑顔すらも、もう感じない。心に突き刺さる。

それでも、それでも、もうこの先がないと考えると幸せだった。

きっと僕らはずっと終わりまで流れていく。

幸せの意味もよくわからないけど、ぼくらきっと、しあわせだ。

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おわり 東雲 怜 @Lear_b

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