【第一部完結済み】敗者の街 ※改訂版

譚月遊生季

第一部 Requiem to the past

第1話 from:Keith

※あらすじ欄の注意書きを一読お願いします。




 ピロリ、と、メールのアイコンが着信を知らせた。メーラーを起動する。……画面一面に、そのSOSが広がった。


 "no title

 from:Keith〈Keith-BPB@GGmail.kom〉

 2016/11/23 16:16"……




 ***




 ロッド、まずいことになったんだ。

 君まで巻き込んでしまうかも知れなくて、本当にごめん。


 たぶん、僕は殺される。誰にかはわからないけど、心当たりは何人かいる。

 頭文字でしか言えないけど、候補は全員名前にRかAが入ってる。あ、苗字も!ㅤ偽名を名乗る奴もいるし、本当に気を付けてくれ。


 後、できるなら頼みがある。レヴィと、ブライアンだけは助けて欲しい。僕の、切実な望みなんだ。


 恐ろしいのは、街じゃない。

 本当に怖いのは負の感情そのものだ。

 ロッド、僕は君を信頼して希望を託すことにする。……できることなら、君に直接会ってみたかった。




 ……ごめんなさい。ぼく、なにもできなかった……




***




 日付は2016年11月23日。届いたのは、2015年の夏も終わる頃。

 忌々しい記憶の蓋をこじ開けた頭の中で、ブレーキの音が鳴り響いていた。

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