緑
勝利だギューちゃん
第1話
「やあ、元気?」
声のするほうを探す。
・・・って、探すまでもないか・・・
上か
「久しぶりだね、光太(こうた)」
「なんだ、グリーンか・・・」
「なんだとは、ご挨拶ね」
「遠慮する仲じゃないだろ?(いい意味で)」
「それも、そうだね」
グリーンは、ひょいっと、下りてくる。
グリーン。
木の妖精。
自然を愛する女の子。
そのために、自然を意味する緑から、グリーンと自分で付けたらしい。
眼に優しい緑。
そして、人に優しい緑
そう、グリーンも人に優しい。
但し、俺以外には・・・
「君は、特別だからだよ」
「喜んでいいのか?」
「もちろん」
グリーンは、にっこりほほ笑む。
彼女との付き合いは、ひとことで言えば、腐れ縁。
子供の頃からの付き合いだ。
俺は大きくなったが、グリーンは変わらない。
「私には、『死』という、概念はないからね」
「不老不死か・・・俺は嫌だな・・・」
「私もだよ・・・だから最後は・・・」
「最後は?」
「消滅」
それって、死ぬより辛いな・・・
そういうことで、仲良くなった。
「私は、いつ消滅するのかわからない。
だから、君には私の事を、覚えていてほしい」
彼女の願いを受け入れて、今日まで付き合っているのだが・・・
少し、後悔している・・・
この女・・・わがままだ
「わがままじゃないわ。素直なの、自分の気持ちにね」
「物はいいようだな」
「エヘヘ」
どうわがままかというと・・・
「さっ、行くわよ。光太た」
「えーっまた?」
「子供じゃないんだから、だだこねないの」
「どっちが」
こうして、彼女の気まぐれに振り回されている。
困ったもんだ・・・
「君が子供の頃に約束したよね?」
「えっ?」
「私が消滅するまで、仲良くしてくれるって」
「それは、いつだ?」
「あきるまで」
「俺の方が、死ぬわ」
でも、彼女と付き合うのも悪くないだろう。
「さあ、行くわよ」
「ああ」
【緑豊かな、世界へ】
緑 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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