神スキルの門番【ゲートキーパー】 元英雄職「魔法剣士」が志す、悠々自適な「門番」ライフ

著:春日山せいじ イラスト:ふーみ/ファミ通文庫

プロローグ

 荒野には巨大な岩がそこら中に屹立し、それら巨岩と巨岩の間にたくさんの門が立ち並んでいた。

 そんな異様な場所で、見るもおぞましい黒い山羊の軍団がラーマの町を蹂躙せんと押し寄せてくる。

 俺は門から門へと転移しながら、左手で聖剣ルーンブレイクを振るい、黒い山羊――魔神の僕たちを一匹、また一匹と斬り伏せていく。


 それぞれC級からA級ほどの力がある魔神の僕たちが群れを成して襲ってきている状況は、本来であればかなり絶望的なシチュエーションではあるものの、門番の隠しスキル――【八門遁甲開門スキル】によって身体能力が大幅に底上げされた俺の敵ではない。



 しかし――聖剣を振るいながら、ふと、素朴な疑問が頭を過る。




 ……俺、何のために門番になったんだっけ?




 少なくても俺が憧れた門番生活に、魔神や魔神の僕との戦闘は含まれていないのだが……。

 そもそも普通の門番は、魔神や魔神の僕と戦える戦闘力などないし、転移門スキルなどといった便利スキルを覚えることもない。

 ――では、どうしてこのようなことになったのか。

 そう、つまり、一門番に過ぎないこの俺が、どうして世界を滅ぼす魔神と戦うことになり、どうして魔神と戦えるほどの戦闘力を得ることになったのか。




 話は一か月前、俺がまだ魔法剣士だった頃まで遡る――

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