23/05/05② 九章について脳内を整理する(※ネタバレ注意

 気を取り直して、九章のスッキリポイントを考えていくよ。

 主題にする理不尽は、選択肢がない理不尽、そして、選択肢のない人間に振りかざす「自己責任論」。


 自己責任論って、別に悪い事だけではないんだけれどね、本当は。

 何事であっても、自分がやった事について自分に責任がある、という考え方なので、その考え方自体は問題ないんだよ。

 問題なのは、それを他人に無理矢理押し付ける行為。

 他人には他人に事情がある。努力しないのか、できないのか、努力してそうなっているのかは、他人からは分からない。

 相手の事情を全て知ってる訳ではないのに、「それは努力が足りないからだ」と結論づけてしまうのは暴論というもの。


 そもそも選択肢がない、選択肢があっても選べない、選択肢が不自由な選択である、色々なパターンがある。それ全てに自己責任論を当てはめるのは危険すぎる。


 例えば、悪役令嬢継母作品についても、過去メッセージで「結婚したんだから責任を果たせよ」という物ももらった事がある。特に初期は多かった。

 特に子作りを拒否した主人公への文句が多かった。

(ま、そういう方々は途中で離脱してったので、章を追うごとに文句は減っていったけれど。ゼロにはならないよね)


 選択肢がない理不尽。

 そういう人に向けられる自己責任論。


 それをスッキリさせる方法とは??


 そもそも、「選択肢がない理不尽。そういう人に向けられる自己責任論」によって引き起こされる、胸糞イベントってなんだろう?

 それに対して行われるちゃぶ台返しが、スッキリになるのではなかろうか?


 選択肢がない。

 でも、「そういう状況になったのは自分のせいだろ」と言われてしまう。

 ……そういう「状況」って、どんなだろうか?

 現実には沢山あると思うんだけど、それを露骨にやられる状況、というものが見えない。うーん……

 映画とか、漫画とかで、そういう話、なかったかなぁ。


 ……何か、危険な、目に遭う、とか??


 ──なんだ? セリフが降りてきたぞ??


『自己責任なんだろ? ならお前もやらかした事の責任取れよ』

 主人公が、悪魔みたいな顔でそう吐き捨てる姿が見えた気がした。


 一斉検挙される、とか。ザマァの代わりに。

 何か不法な事をしていた奴らが、一斉検挙される、とかね。

 それ面白いかもしれない。


 って事は、何か不法な事をしておいてもらわないとなぁ。

 そして、そこにスリの少女が関わってる。被害者として。

 うーん……


 ピースは揃ってる。

 あとは、上手く、はめるだけ。

 並び替えるだけ、ピースを。言語化しながら、それをやっていこう。


 ブレさせてはならないのは「スリの少女の救済」、これが主題。

 メインはコレ。今回は、この為に主人公は動く。

 それを、中心に置く。

 不法行為。やっぱり、人身売買的なものが思い浮かぶなぁ。


 人身売買ネタは、以前にも思いついていた。

 しかし、そっちに振り回されてしまう事で、なかなか上手くストーリーを構築できなかった。

 スリの少女を主題に置いたまま、彼女が危険に陥る場が、人身売買の場所、という風に、人身売買の方をスパイスにして考えるべきなんだろうな。


 じゃあまず、どうして彼女が人身売買の場に出ることになったのか。

 普通に考えると、さらわれた、だけど。


 自己責任論、選択肢のない理不尽、という事をベースに敷いて考えると、もしかしたら自分から入ったのか?

 例えば、誰かを助ける為に、とかね。

 自分が所属していたコロニーの子供、というのが筋だけど……


 例えば、ニコラ、とか?


 そんな事ありうるのかな?

 大して知りもしないニコラを、スリの少女が助けるとかって。

 ……ニコラとスリの少女の交流があれば、もしかしたら、アリなのかもしれないけどね。でも、そこまで書き切れるかなぁ……


 しかも。

 うーん。

 少女を助ける為に、多少無理をして人身売買組織に殴り込みを行うって考えていたけれど……ニコラが人身売買組織にいるなら、スリの少女は「ついで」になってしまうんじゃないか?

 勿論、主人公はどちらも助けたいだろう。

 でも、どうしても ニコラ > スリの少女、になってしまうよなぁ。

 なんか、上手くない。

 方向としては悪くないとは思うけれど、理由づけが、少し浅い気がするなぁ。

 自分がもう少し納得できる理由が欲しいところ。


 違うか。

 逆なのか?


 スリの少女が人身売買組織にさらわれた事を知ったニコラが、情報収集仕様として近づきすぎて、彼もさらわれてしまった、とか。

 何故それを知ってるかっていうと、例えばベネディクト少年が、それを見てた、とか? 戦おうとしても不利だったから戦わずに退いてきたのかもな。

 ベネディクトは暗殺系の技を仕込まれている。目的遂行は無理には行わず、タイミングを見計らって再度実施し、確実に暗殺する事を優先するように仕込まれている筈だから。

 ベネディクトが無理そうなら、元間者のディミトリでもいい。


 なんでニコラがそんな勝手な事をしたかっていうと、彼は強くなりたいから。そして、主人公の役に立ちたいと思ってるから。

 今回は、スリの少女の話を主題とするけれど、ニコラの成長も話に入れたいんだよね。ニコラも虐待される辛さは分かる。確かにスリの少女の環境よりはマシだけど、それはあくまで最底辺と比較してるからであって、ニコラの生活環境も決して恵まれたものではなかった。

 ニコラはスリの少女の状況に同情するだろう。そして、主人公の事は、彼の口からスリの少女に語られるだろう。


 ──問題があるな。

 作品は、主人公の一人称なんだよ。ニコラとスリの少女の交流があった事を語るためには、主人公の目の前で行われないといけない。

 それって難しいなぁ……ニコラは素直なので、主人公が目の前にいてもそういう話は平気でするだろうけれど、でも、主人公がいる場所で、スリの少女がおとなしく話を聞いてるっていうのが、ちょっとなぁ。


 しかも、その交流、どこで行われるんだよ……

 まさか、スリの少女を主人公たちが活動拠点にしているところに招待する、なんて難しいだろうし。


 流れが見えない。

 個々の「こういうのがいいだろう」というネタは思いつけど、それが筋として繋がらない。

 無理矢理繋ぐのは違う。

 私はいつも書いている時、自然にそっちに流れるな、と感じながら書いていたから。それこそ、無理矢理繋いだら『ご都合主義』になってしまう。


 こういう時は、オチから逆算して考えていってみよう。


・人身売買の場に乗り込んでいって、警ら隊が包囲する時間稼ぎを行い、人身売買組織とその参加者を一網打尽にする。


・本来であれば、もっと時間をかけて逃げられないように慎重を期するつもりだったけれど、スリの少女が攫われてしまった為、即動く事にした。


・警ら隊を説得する。


・子供たちのコロニーに対する一斉検挙が実施され、たまたま主人公の傍にいたスリの少女は免れたが、勘違いされて間に溝ができてしまう。


・ニコラとスリの少女、主人公とスリの少女の交流。


・暗殺者に狙われたところをスリの少女たちに匿ってもらい、一命を取り留める。また、スリの少女の現状を知る。


 ──と、ここまで逆算で考えてみた。

 結構良い感じの流れな気がするけど、どうだろう?


 ふと思ったけれどさ。

 暗殺者に狙われて──ってところ。

 今回、味方にはアレクもいるし、一応ディミトリもいる。子供だけど暗殺術に長けたベネディクトもいる。そんな周りを固められた状態で、子供達に匿ってもらう状況ってどんなだろ?


 主人公が一人で行動するタイミングがないとダメじゃん。

 でも、九章のような状態では、自分も危険だと分かってる。だから一人で行動する訳ないんだよ。不自然だし、不用意過ぎる。そういう不用意な事をするキャラ、嫌いやねん。

 だから、一人で行動するとすると、それなりの理由がある筈なんだよ。しかも、雑な理由じゃなくって、納得できるそれなりの理由。


 それって何だろう……


 自分から意図して一人になるようにってしたら、そりゃ頭がおかしい。

 お前狙われてんの分かってんの? 自分の能力過信しすぎって思う。だから、それはない。


 だから、一人になるように仕向けられたって事か。


 例えば。

 味方にしようとしていた、敵伯爵の弟から言われて。

 例えば、後日一人で来い、とかって言われて。勿論、道中はアレクとかが一緒だったろう。だから道中で襲われるんじゃない。

 敵伯爵の弟の屋敷とかで。


 思いついたぞ。

 敵伯爵弟に付き従っている執事、それが敵伯爵から差し向けられた刺客。

 敵伯爵の弟の預かり知らぬところで、執事に「後日一人で改めて訪問してください。貴女にしかできない話があるそうです」と言われて、ノコノコと。


 道中は流石に護衛いるから、やっぱり狙うとしたら、屋敷に到着して一人になった時だろう。

 招かれたけれど、招いた事は敵伯爵の弟は知らず、行った日は留守だった。

 それは、通された応接間で知る。

 そこで暗殺されそうになる。


 敵伯爵の弟はそれを知らない。

 きっと、主人公たちが動いていて弟と接触しようとしている事を、敵伯爵は嗅ぎつけて、弟と主人公たちを決別させる為に、執事兼暗殺者にそう仕向けさせた。

 ……もしかしたら、ディミトリからもたらされた情報かもなぁ。

 だから、ディミトリは知ってた。知ってて一人にした。

 彼は二重スパイ。いや三重スパイ。っていうか、どっちにもある程度の情報を流し、状況を見て都合の良い方に付こうと思っているか、もしくは両方の食い合いを狙っていて、その隙に逃げようとしていたか。


 そこは、書いていって話の流れで考えよう。

 書いているウチに決まるだろうし。


 ──って事は、敵伯爵の弟も必要だなぁ。

 それ以外に、一人になる状況があまりあり得ない。


 ただそれだけの為に敵伯爵の弟を出すのもアレだから、もう少し彼とのアレコレも追加していった方がいいだろうな、とは思うけれど、それは筋を決めた後の肉付け作業で考えよう。


 とにかく、筋を考えるのの続きだ!


 って。

 ここまでで4000文字ぐらいになった!


 ってことで、続きは次回に。

 なんか、出来そうな気がしてきたぞ!


 ……それ言うの、九章を考え始めてから何度言ったか分からないけれどね……

 今度こそ、今度こそ上手くいってくれ!!


 それでは次回!

 以上!!

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