23/05/04② 九章について脳内を整理する(※ネタバレ注意

「選択肢がない理不尽」に対して「自己責任論」を振りかざす人にザマァする事を考えている。

 しかし、何かが違うと感じている。


 なので、もう少し突っ込んで考えてみようってなった。


 今回、敵伯爵の弟を味方につけるエピソードにする、それが主題である、としていた。

 しかし……


 そっちは主題にはなり得ない。

 それはストーリー展開に必要なイベントでしかない。

 むしろ、主題は……スリの少女の話なのではないか?


 最初は「スリの少女をついでに出したい」と思っていたけれど、むしろ、フォーカスした方がいいのではなかろうか?

 少女のキツい生き方に、選択肢を与えられるようになれれば、いいのではなかろうか?


 ──ここで。

 昨日の夜、少し考えていた。

 主人公がスリの少女に救いの手を差し伸べたところで、その手を拒絶される展開の方が自然だな、と。上手くいかない展開の方が、面白いよな、と。

 十歳ぐらいまで、他人──特に大人を信頼できない、むしろ大人とは自分を搾取する側の人間である、という認識の、いわば野生動物のような少女を、手懐ける事なんて、そう簡単にはできないよな。

 しかも、主人公は貴族。

 安全圏で生きてきた人間に上から目線で手を差し伸べられたって、その手は掴めないよなぁ。

 大人であれば、自分の怒りを腹の底に閉じ込めて、自分の利になる事ができるようになるが、まだ子供だから、そこら辺はまだ潔癖な反応をしそうだし。


 そうだな。うん。

 アレや。

 スリの少女との距離を縮め、差し伸べた手を掴んでもらう事が、今回のストーリーの主題で、他の事がオマケなんやな。


 ──そうだよ。結局さ、この作品の主人公は、目の前で溺れてる子を助けずにいられないんだよ。それが例え、今自分がやろうとしている事の邪魔になるかもしれなくても、無視できない。そこまで冷徹になれない。そういうキャラ。

 っていうか、そういうキャラであって欲しい。

 勿論、それで困った状況になった時に、自分で何とかしようとするタイプでもある。


 だから、九章でのイベントは、スリの少女と出会い、彼女の現状を知り、助けたいと思い、でも拒否され、少女との距離を縮めて、救いの手を取ってもらう、っていうストーリーだ。

 それが本筋。

 そこに、各種イベントを肉付けしていけばいいんだ。


 出会いは既に書いてる。

 主人公が街をウロウロしてる時に、大切なものをスられて、追いかけて、事故から助けて、逃げられてしまう話。

 事故からの救出。乙女ゲームの基本だよね? ま、本来助けられる方なんだろうけれど。


 その後のエピソードを簡単に考えてみた方がいいかもしれない。


 次は、彼女の現状を知る、か。それによって、助けられたらって思うんだね。

 あー。

 でも、四章の時の事を考えると……ニコラと出会ったあと、ニコラの人となりが語られるんだよね。そんな子がDV野郎のそばにいるって知って、主人公は助けたいって思うんだ。


 確かに、主人公は、相手が子供ならどんな子だろうと、助けたいって思うタイプだ。でも、相手の人となりを知らない状態だとすると、いくら庇護欲が強いタイプといえど、なんか、ただの身勝手に見えてしまう。

「今こなさなければならないミッションがある。でも、それを少し置いておいても、どうしてもこの子を助けたかった」と、理由付けが欲しい。

 それには、ニコラのようにその子の人となりを知ってる必要がある。


 可哀想な子だから助けたい、んじゃない。

 その子だから助けたい、と思って欲しい。


 と、なると……その子を知るタイミングが先にあって欲しいなぁ。


 でも、相手は警戒してる。

 ……警戒されないようになるには、どうしたらいいのか?


 基本、相手に合わせるんだ。相手の環境の中に馴染む事が、近づく為の第一歩。

 スリの少女は、子供たちのコロニーの中で生活してる。だから、そのコロニーに入るのが一番手っ取り早いが……子供のコロニーの中に大人が入るのは至難の技だ。


 ──助けられるのか。子供たちに。

 でも、子供たちが助けてくれる理由が必要。

 生きるのに必死な子供たちが、大人を助けてくれるワケはない。

 だから、先に、主人公が子供たちを助けるんだ。その恩返しとして、助けてくれるだけ。


 じゃあ、まず主人公は、子供たちの何を助けたのか。

 偽善的だと感じるような助けではダメ。だから、炊き出しとか何かを恵んであげるとか、そういうのじゃない。


 あ。それが、出会いのヤツか? 事故から助けてあげる、っていう。

 あー。でも、それだけじゃ弱いなぁ。

 何か、何か欲しい。

 もう一つ。一つでいいから。


 ──例えば、ね?

 主人公は、敵伯爵から差し向けられた暗殺者に命を狙われてる。

 そいつと対峙している時、たまたま側にいた子供が巻き込まれる。暗殺者は目撃者を残すワケにはいかない。だから殺されそうになるのを、主人公が助ける。

 でも、それで窮地に陥る主人公。

 その時、子供たちが匿ってくれる。

 ってのは、どうや?

 この展開、エッセイに書いたかどうか覚えてないけど、ずっと頭の中にあった展開でもある。

 匿ってもらう事によって、その子の人となりを知る事になる。

 ついでに、主人公に、自分の無力を感じて欲しいね。

 うん、いい感じな気がするよ。


 あー。

 んで、スリの少女が主人公にほだされて来た後に、少女が主人公に失望する展開も入れたい。何かの手引き? 策略? によって、少女は主人公に対して勘違いするって状況にね、なるとね、胸糞展開で、その後のスカッと展開のスパイスになるし。


 そこで、敵伯爵の弟の出番かな?

 主人公が意図しない方向に持って行かれてしまい、少女が主人公に失望するって感じか。

 そうやって、味方にしなければならない主人公が下手したてに出ざるを得ない事をいい事に、ムカつく事を沢山やらかすんじゃないのかなぁ。

 それってどういう事だろうか??


 少し信頼し始めていた主人公に対して「やっぱりお前はそういうヤツなんだ」と失望するようなイベントだよ。裏切られた、そう少女が感じてしまう何か。


 少女は常に、大人から搾取されて生きて来た。邪険にされて、時には殴られ、排除されたり。そしてある程度の年齢になった女の子たちが、娼婦として働かせられる姿を、嫌という程見てきた。


「結局お前もそうなんだ」


 って、失望されるような、出来事。


 ……スリの少女は、乙女ゲームにお色気担当として登場するキャラ。その頃は、体を使って上にのし上がろうとするキャラになっていた。これは、彼女にはそれしか方法がなかったから。そうやって、権力のある男に取り憑いて逆に搾取する方法しか、知らないから。ロールモデルもないし。

 だから、主人公が、少女に取り入って、その体を使って──例えば売春させるとか、体を売り物にさせようとしていると、勘違いするとか、そういう方向かな。

 勿論、主人公は絶対にそんな事しない。でも、何かがあって勘違いされてしまう。

 それは何か?


 ……取り締まりか?

 取り締まりがあって、スリの少女たちがいたコロニーの子供たちが、検挙されてしまうっていうのは、どうや?

「そうやって、邪魔なモン片付けて綺麗にした気になってんだろ」

 とか、少女に吐き捨てられる、とか。

 普段は、見て見ぬふりされてる。なのに、何かがあって、一斉検挙されてしまう。それが、例えば、敵伯爵の弟の差金、とか? うわぁ、胸糞。絶対仲間に入れたくないね、私なら。

 敵伯爵の弟も、別に悪意があってやった訳じゃなくって、主人公の言葉の何かを取り違えて、一斉検挙に動いた、とか?


 ふぅむ??


 例えば、主人公が救護院、養護院の話をして、一斉検挙して、子供たちをそこにぶち込もうと、動いてしまったとか?

「何故『本人がそうしたい』と思うように動けないんだよ! 無理矢理連れて行かれたら、どんな事だって抵抗感があるし反発心が生まれるだろ!」と主人公が反論するが、「結果が同じならどの方法でも一緒だろう」と意に介さない敵伯爵の弟、って感じか?


 選択肢を用意して選んでもらう事と、強制する事は違う


 これは、作品内でも語ってた。例え、そうした方がいい事だと本人が分かっていても、強制された瞬間に嫌になる、っていう、アレです。

 宿題しなきゃなー、と分かってても、親に「宿題しないさい!」と言われると、途端にやる気を失う、アレです。


『尊厳』

 って、きっと、そういう事なんじゃないかなぁ、って、漠然と思う。

 勿論、この考え方では浅くて足りない事が沢山あるとは思うけれど。

 選択肢を持たせたところで、周りの環境によって、その選択肢を選べない事もままあるし。


 ま、そんな感じだったとして。

 ……なんで、敵伯爵の弟は、そんな行動を取ったのか?

 例え主人公がそう言ったとしたって、言われたまま動くとは到底思えない。

 何かしら行動した理由がある筈だ。


 うーん……

「選択肢がない理不尽」

 ここに、敵伯爵の弟が、どう絡んでくるんだろうか?


 今までは、書きたい理不尽から、それに関わってくるであろうキャラを生み出して来た。しかし今回は、敵伯爵の弟ありきで、考えないといけない。


 ──本当に?


 もう、そいつもナシでも構わないんじゃね?

 最初、手法としてそういうキャラがいた方が優位に進められそうだし、便利そうだな、と思ってそういうキャラを出そうと思ったけれど、不要そう&適さないんであれば、出す必要、なくね??

 必要か否か、そもそも九章に必要かと考えて、不要なら出さない、でいいんじゃないか??


 よし、必要なら出す、不要なら出さない、その方向で考えよう。

 なんか、九章の根本が崩れたような気がするが、気にしない。


 選択肢がない理不尽

 自己責任論を振りかざす危険


 上記を九章の主題にしたい。

 その主題に敵伯爵の弟が邪魔になるのであれば、いらない。

 そうしよう。


 まだ、具体的なザマァ方法──最後スッキリさせる方法が思いついてない。

 もうこのエピソードは4000文字に届きそうなので、次のエピソードでそこを考えて行こう。


 ってことで、今回はここまで。

 以上!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る