20/11/25 モチーフを探す! その2。

 総当たりで情報収集しようとすると、時間が溶けて消えていく……


 ダメだ、このやり方。

 ある程度アタリをつけて調べないと、いつまで経っても終わらない。


 過去の自分の考えを思い出してみよう。


 ──そうだ。私は『皮肉りたい』と言っていた。

 そうか。だから、王道ストーリーを裏返して揚げ足を取りたいのか。歪んでんなぁ……


 そう思ってるなら、存分に揚げ足を取ればいい。取れるならなっ!!

 くっ……

 私の知能レベルが足りんっ……


 まぁだから、要は『元裏稼業の地味女が事件を解決する痛快活劇』に合う何かを調べて、新解釈──裏ッ返せばいいのだが……知識が足りない……


 ええと──

 例えば桃太郎であれば、界隈でチクチク言われてる『ただ「鬼」というだけで、襲いかかり皆殺しにして金品強奪した略奪者なんじゃね?』という側面で見てみればいい。


 浦島太郎であれば、『亀を助けた浦島太郎をオモテナシするように見せかけて、誘拐して途方もない時間を奪い、「いいか? 絶対開けるなよ?」と、言わばどこぞの芸人的フリでしかない玉手箱を押しつけて、若さまで奪った乙姫様の愉快犯的犯行』とかさ。


 かぐや姫でいえば『望んでもいねェ結婚押し付けられ、嫌だからと無理難題ふっかけたら嫌な女扱いされ、迎えが来たら帰ろうとしたら追い返そうとか、とんだありがた迷惑』の話とか。


 鶴の恩返しもさぁ。

 鶴からしたら罠を仕掛けたのも助けたのも人間でさ『あれ? もしかして私、人間に単純に搾取されただけちゃう?』って結果になってるしさ。


 舌切り雀も不思議な話でさ。

 お土産として出された、大きな葛籠つづらと小さい葛籠つづらから、小さい方を選んだ謙虚さがいい、的な話になってるけど。

 本当の謙虚な人間ならオモテナシもお土産も断り、草履も脱がずに帰るだろ。

 なんだその微妙な謙虚さは。

 相手からの好意を無碍に断る方が失礼に当たる、という事もあるけどさ。

 でもそもそも雀たちは、なんで葛籠つづらを二つ用意して爺さんを試した? ホントは信じてなかったんだろ? ん??


 シンデレラは、良い事をしてたら誰かがそれを見ててくれて、お目溢ししてもらう事によりチャンスをゲットして玉の輿だし。

 いや。本当に舞踏会に行きたいのなら自力でなんとかするか、それが無理ならスッパリ諦めて寝ろ。明日に備えろ。

 どうせ舞踏会から帰宅してテンション高くなった家族がウザいだろうから。英気を養え。


 白雪姫は、騙され過ぎ。

 お前、殺されかかった事忘れたか? なんで知らん人から受け取ったリンゴ食べた。どんだけ食いしん坊だお前は。悪食すぎんだろ。

 しかも、キスして目覚め?

 死体にキスする死体愛好家ネクロファリアかよ。


 眠りの森の美女?

 キスされて目覚めた?

 普通、知らん男が寝てる間にそばに来て、あまつさえキスなんて勝手にしてきてたら怖いだろうが。『テメェ誰だ?! 今何した?! 気持ち悪い!!』って普通ならんか?? もっかい言うが、知らん男やぞ。


 ……ケチつけ始めたらキリがない……

 しかも、なんか話が逸れた。


 これの中に『元裏稼業の地味女が事件を解決する痛快活劇』と相性がいいものがあるとは思えない。


 うーん。

 昔話を、分類したサイトがあったなぁ。

 そっからヒントを貰えないだろうか?


 物語の分類の仕方は色々あるのでコレが正解、とは出来ないが……


 ・異類婚姻譚

 →南総里見八犬伝、鶴の恩返し、雪女、羽衣伝説、などなど。


 ・貴種流離譚

 →源氏物語、ヘラクレス、などなど。


 ・異常誕生譚

 →親指姫、一寸法師、広義では桃太郎やかぐや姫、などなど。


 ・神隠し譚

 →ハーメルンの笛吹き男、などなど。


 ──って、挙げたらキリがないよ!!

 ダメだ。

 ここからではヒントを見出せない。


 既存の昔話や伝説から、『元裏稼業の地味女が事件を解決する痛快活劇に合うものを探すのではなく、

『元裏稼業の地味女が事件を解決する痛快活劇』の方から、合いそうな物語をチョイスした方が早くないか?


 だよね?!


 もっと早くに気づけやコラぁ……

 ただでさえ残り少ない人生の時間が無駄になったやろがぃ……


 すみません……


 さて。

『元裏稼業の地味女が事件を解決する痛快活劇』と相性がいいものは何かというと。


 その昔話や伝説に関わったものが『残ってる』のがいいね。

 子孫でもいい。アイテムでもいい。関わった人物でもいい。

 そして、それが問題に発展する可能性を秘めているものがいい。

 例えば、伝説の登場人物の子孫、打出の小槌。魔法のランプ。呪いの指輪とか絵画とか。

 八百比丘尼やおびくに伝説ならその本人とか、鬼とか、とかとか。


 そういえば。

 タカナシさんが応援コメントでアドバイスくれてた。

『あえて、バッドエンドの話をモチーフにして、裏の側面としてハッピーエンドに持っていったら爽快感ありそうですね!』との事。


 おお! 確かに確かに!

 実はバッドエンドではなかったんだぞ! 的な!!


 ……バッドエンドというと、人魚姫が出てきてしまう。アレ、人魚姫、泡となって消えとるがな。

 あとは、マッチ売りの少女とか……?


 うーん、確かに難しいですぞタカナシさん……


 と。

 ここで、タカナシさんへの応援メッセージの返事を書いていて、ふとアイディアが降りてきました。

 そのモチーフは「七匹の子ヤギ」です。

 タカナシさんと私が愛読(?)する、『キューティクル探偵因幡』に出てきたネタですが。


 アレ、留守番をいいつけられた七匹の子ヤギたちが、騙して食べてしまおうとする狼から逃げる話ですね。

 6匹は食べられてしまうんですが、柱時計に隠れた1匹だけは助かって、満腹で眠りこけている狼の腹を、帰ってきた母ヤギがハサミで割いて助け出す。そして代わりに石を腹の中に詰め込まれてしまう。

 目覚めた狼は、のどが渇いたと井戸へ行くが、腹に詰められた石が重すぎてバランスを崩して井戸に落ちて死んでしまうっていう話。

 子供心に、「6匹よく咀嚼そしゃくされなかったな。……胃酸は?」「腹を割くって……」「井戸……もう使えない……」と、なんだか微妙な気持ちになった話でしたね。


 これ、ヤギ側からの話なので「めでたしめでたし」だけど、狼側から見たらたまったものではない話ですな。

 まぁ、満腹になったからってその場で寝てる方が不用心って事なんですけど。


 もしこれが、狼側を主人公として考えたとしたら、ハッピーエンドと思いきや、最後に大逆転されて痛恨のバッドエンドですよね。


 もしこれが、

「ヤギ=悪さをする悪いモノ」

「狼=悪いものを退治するハンター」

 だったとしたら。


 面白いですよね。

 過去あった討伐失敗の教訓話みたいじゃないですか。

 最後まで油断すんなよっていう。


『七匹の子ヤギ』をそのまま逆転させて使うんじゃなくて、他のハッピーエンドの話も、悪役の方からの視点で見たらバッドエンドで、モチーフとして面白い作品が見つかりそうな予感がする。

 これ、悪役令嬢ものの王道パターンだね。


 もしくは、「ヤギ」と「狼」が何かの比喩で、物凄くヤバイ悪鬼みたいなヤツを倒した逸話を、子供に語り継いでいく為の物語だった、というテイでも面白いかもしれない。


 やっぱり頼りになるのは皆さまからの応援メッセージですな!

 じゃんじゃん受け付けておりますから、どしどし応援してください!

 喜んで小躍りします(真顔


 さて。

 それではまた、モチーフになりそうな情報を探して、ネットの海にダイブしてきます。

 ホント、便利な世の中になったなぁ。

 ありがたいこった。


 それでは次回!!


 ではね!!

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